あなたに合う石けんはどれ?皮脂成分と美肌菌に合わせた7種類の石けん
先日のことですが、とあるメディアの記者さんからこんな質問を受けました。
「どうしてマツリカさんの石けんは、他社メーカーと違ってこんなたくさんのラインアップがあるのですか?」
他社メーカーが石けんが1〜3種類程度に対し、MATSURIKAの基本の石けんのラインアップは7種類。
気分に合わせて様々な見た目や香りを楽しみたいとのはもちろんのことですが、MATSURIKAの石けんは肌質に合わせて7種類。
すべて成分の配合を変えてあるのが大きな特徴です。
今回は、こうした個々の肌質に合う石けんの開発に至った経緯を書いていきたいと思います。
もともと前職で学校の保健室に努めていた頃、様々な生徒の肌トラブルの相談を受けました。
アトピーなどによる乾燥肌、肌荒れや蕁麻疹、敏感肌、ニキビ肌、日光アレルギーなど、
肌は人から目に見える分、当人たちにとっては切実な問題です。
(私自身も幼少期から紫外線に弱く、強い日差しに当たると肌が炎症を起こしてしまうのが悩みでした。)
そして、石けんを作る大きなきっかけとなったのが、アトピーの生徒からの
「どの石けんもヒリヒリしたり乾燥しすぎたりして肌に合わない」という訴えでした。
それをきっかけに私は、肌や石けんについていろいろと勉強するようになりました。
そして、まずは肌に良い石けんを選び使うことが肌ケアの第一歩だと考え、石けんを自分で作るようになりました。
石けんの話の前にまずは肌のメカニズムから紐解いていきたいと思います。
皮膚の役割で最も重要な「肌バリア機能」
私たちの皮膚は、水分など体内のものを流出させないようにするなど、様々や役割がありますが、
その中でも、とても重要な機能が「外部刺激から体を守るバリア機能」です。
外部刺激とは、細菌、ウイルス、アレルギー物質、ホコリや摩擦、紫外線など様々なものがあります。
図の表皮の中でも特に「角質層」という部分がバリア機能の要となっています。
角質層は角質細胞が死んだものが石垣のように堆積している層です。
この角質の石垣が乱れた状態が、肌バリア機能が低下した状態と言えます。
図のように、角質層が乱れ、皮膚のバリア機能が低下した状態だと、細菌やアレルギー性物質など、あらゆる外敵刺激の影響を受けやすくなり、体内の水分も蒸散しやすくなるので、ますます肌荒れや乾燥が進行するという悪循環になってしまいます。
角質を守り肌バリア機能を保つシステム
石垣のように堆積している角質層の厚さはわずか0.02mmほど。そのままでは容易に外部からの侵襲を受けてしまいますが、私たちの肌には本来、角質層を守り水分を保つしくみが備わっています。
角質細胞内に存在する物質で、肌に元来備わっている保湿成分のMNF(天然保湿因子)や角質層内部の水分蒸散を防ぐことで、肌の潤いを保つ角質細胞間脂質などが、角質に水分を蓄え、肌をなめらかに保つ働きがあります。
そして外部刺激から最初に角質層を守るのが皮脂膜です。
よく鼻のまわりやTゾーンがオイリーになることがありますが、それは毛穴にある皮脂腺から分泌される「皮脂」です。
皮脂の成分は油と脂肪酸(脂肪酸グリセリド、脂肪酸エステル、ろう類、高級炭化水素など)、そして水と弱い界面活性成分から成り立ち、その成分や量は人によって大きく異なります。
この皮脂が、肌表面に膜を作ることで、角質層の乾燥を防ぎ外部の刺激からお肌を守る重要な役割を担っているのです。
皮脂には、水と油を混ぜる性質の弱い界面活性成分が含まれることにより、皮脂と汗が混ざり天然のクリームの皮脂膜となります。
この皮脂からできたクリームは肌にとって最高のクリームと言われていますが、時間が経ちすぎると、脂性肌の人には過剰になってしまったり、皮脂が酸化して、お肌の状態によっては刺激になってしまうこともあります。
ただ「酸化した皮脂=悪者」ではなく、これがおだやかな刺激となって皮膚の再生が促されているという説もあります。
運動で適度な汗をかいたり、皮脂を落とし過ぎない肌にやさしい石けんで清潔を保つのは肌のターンオーバーを促すのにとても有効なのです。
皮脂はお肌にとって最高のクリームで皮膚常在菌のエサになる
また、私たちの肌には、皮膚の健康維持に役立っている皮膚常在菌が棲んでいます。
その数は約200種類で、代表的なものに「表皮ブドウ球菌」「アクネ菌」「酵母菌」など、皮膚1㎠あたり、およそ20万個の常在菌が棲んでいるといわれています。
この常在菌は、皮脂を食べて消化し脂肪酸に変えます。
脂肪酸は肌を弱酸性にする役割があり、弱酸性=除菌効果がある状態に肌を保ってくれるのです。
ですから、顔用の強すぎる洗浄剤(洗顔フォームやクレンジング)やシャンプーやボディソープは、強すぎるものだと常在菌のエサである皮脂を洗い流しすぎてしまい皮膚の環境を大きく悪化させてしまいます。
肌の常在菌バランスが崩れ、肌を守る「表皮ブドウ球菌」などの善玉菌が少なくなってしまうと、普段は日和見菌の「アクネ菌」が増えてニキビができやすくなったり、悪玉菌の「黄色ブドウ球菌」が増えて痒みや肌荒れを引き起こしたりします。
(手指消毒のアルコールもやりすぎると、こうした皮膚常在菌を除菌してしまうので、手荒れしやすくなるのは当然のことなのです。)
美肌へのファーストステップは石けんから
さて、肌バリア機能を保つ肌ケアについて、ファーストステップとして何をすればいいのでしょう?
睡眠や栄養バランスなどの生活習慣もとても大事ですが、肌バリア機能が直接的に阻害されやすいのは、入浴や洗顔時だと思います。
下記の項目をチェックしてみてください。
上記の行為は、皮脂や皮膚常在菌を洗い流しすぎてしまうので肌が敏感な人は注意が必要です。
また43℃以上の熱めのお湯で長湯をしてしまうと、皮脂やNMF(天然保湿因子)、角層細胞間脂質など、本来肌に備わっている保湿物質が一時的に流出しやすくなってしまいます。
(お風呂は39℃〜42℃程度のお湯で15分くらいまでが良いとされていますが、温泉などミネラルや保湿成分を含むお湯だと長く入浴しても大丈夫と言われています。)
特にお肌が敏感でダメージを受けやすくなっている人は、お湯洗いから始めて、大丈夫そうだったら石けんの泡と手でやさしく洗ってみてください。
泡だけで洗うのは物足りないという方は、シルクに含まれるセリシンがお肌をケアしながら洗ってくれる、シルクの浴用タオルキビソ→☆もおすすめです。
クレンジングや洗顔フォームなど多種類のものを使っていている場合は、種類が多いと様々な界面活性剤や防腐剤などの添加物に肌が影響を受けてしまうので、なるべく添加物の少ないもので、シンプルにしていく工夫が必要です。
このように、洗顔・入浴時に肌バリア機能が壊れやすくなるため、美肌へのファーストステップとして石けん選びはとても重要です。
石けんも、水と油を結びつけ油を洗い流す界面活性剤の一種ですが、比較的安全と言われています。
それは、石けんは肌バリアを壊す力が弱いためです。
「皮膚の汚れを落とす」という役割を終えたあと、石けんの成分はすばやく洗浄力のない物質に変化します。
石けんは「弱アルカリ性」で、肌は弱酸性の性質なので、洗顔後、石鹸の成分(アルカリ性)は皮膚の酸や汚れによって中和され、洗浄力を失って無力化します。
そして肌に残った石鹸成分(石けんカス)は常在菌のエサになり、常在菌はより肌を健康にしてくれます。
肌バリア機能を保つためには、余分な汚れを落としながらも、角質や皮脂を落としすぎない、添加物や合成界面活性成分を含まない常在菌も喜ぶ石けんが理想的なのです。
肌にとって最高のクリームの「皮脂成分」に注目したMATSURIKA SAVON
このような肌のメカニズムについて学んだ後に、私が石けんのレシピを作成するときに一番こだわったのは、洗浄するための界面活性成分を強くしすぎないことと、皮脂にできるだけ近い成分組成のオイルで作る石けんを目指すことでした。
アトピーや敏感肌でもともと皮膚バリア機能が弱まっている人にとって、必要なことは強い洗浄成分で単に洗うことではありません。
洗いながら角質に足りない皮脂成分を補給すること、そして余計な防腐剤などの添加物を一切入れずに皮脂成分に近い素材で作ることが常在菌が喜ぶ石けんになると考えたのです。
皮脂の成分は「油、脂肪酸、水と少しの界面活性成分」です。
この油も一種類ではありません。人の皮脂は非常に複雑で、いろいろな油を混ぜたような特徴があります。
だからMATSURIKAの石けんも7〜8種類の油脂をブレンドして作っています。
皮脂の脂肪酸成分には例えば、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸などがあり、その他にロウ成分もあります。
この肌の皮脂の成分をオーガニックの植物油脂に置き換えて配合レシピを考えています。
石けんは鹸化反応という化学反応を経ているので、すべての植物油脂の成分が残るわけではないのですが、100%鹸化せずに、数%だけ上質なオイルが肌に残る鹸化率としています。
例えば椿オイルはオレイン酸含有量が85.0%と、かなりの割合で含まれており、高保湿な「酒かす椿」は、この椿油をメインにしした石けんです。
椿油だけだと、とても柔らかい石けんになってしまうので、ココナッツオイル、シアバターなど泡立ちを良くしたり、硬さをだす油脂も配合していており、アトピーや乾燥肌の人に人気No1の石けんとなっています。
また、一番低刺激にこだわったピュアベビー石けんは、保湿力が高いオリーブオイル(オレイン酸73.8%)とホホバオイルをたっぷり配合した石けんです。
ホホバオイルの主成分はワックスエステルでその組成は97%。
この「ろう成分」のワックスエステルは人の皮脂にも含まれており、肌に刺激となる香料も入れていないので赤ちゃんや敏感肌の人にもおすすめの石けんです。
ヤマブドウ石けんや、クロモジ石けん、奥出雲ローズ石けん、季節限定和ハッカ藍石けんは、年齢とともに減少すると言われている、パルミトレイン酸を含むマカダミアナッツオイルをたっぷり配合している石けんでエイジングケアにもおすすめです。
石けんで洗うときに、オイルが肌の奥に浸透するまでいかなくても、皮脂膜の保護や常在菌のエサになるので、使った直後から肌がつるつるになったりしっとり落ち着く感覚を得られるのです。
こちらは夏季限定の和ハッカ藍石けん→☆
強い日差しでダメージを受けたお肌へのやさしいオイル配合。和ハッカ香りとのメントール効果でお肌がスーッとする使用感がたまりません。
一方で、MATSURIKAの石けんの酒かす椿など、オレイン酸メインの石けんが肌に合わないという人もいます。
例えば脂性肌でニキビのできやすい人は、オレイン酸メインの石けんを使い続けるのは要注意。
オレイン酸はニキビを作りやすくすると言われるアクネ菌の大好物のため、逆にニキビができやすくなってしまう場合もあります。
こういう脂性肌の人はさっぱり感の強いひまわりオイルなどのリノール酸メイン石けんが向いていたりします。
リノール酸が多い、ひまわり油やごま油を加えた、ひのきベルガモット石けんやラベンダー石けんがおすすめです。
このように、お肌のタイプ(皮脂の成分)は人により様々で、体質や食べ物、ホルモンバランスや体調、季節、男女差、年齢によっても変わってくると言われています。
こうした理由から、ひとりひとりのお肌の状態に合わせて使い分けられるように、7種類の石けんがあるのです。
肌タイプが「ふつう肌」の人は香りの好みでどれを選んでもOKですが、特にトラブル肌のある人は、トライアルセット☆からお肌に合う石けんを探すのがおすすめです。
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石けんを使うことで体臭が無臭になった!?
石けんの成分を皮脂組成に合わせて皮膚常在菌が喜ぶ石けんを、と考えたのは当初は私の仮説でしたが、気が遠くなるほど試作して自分たちや超敏感肌の息子の肌で試した結果いい石けんができて、今ではたくさんのお客様に買っていただき、嬉しいレビューを数多くいただいています。
先日、キビソタオルと無香料のピュアベビー石けんを使用したお客様からこんなレビュー投稿をいただきました。
こうした、「ニオイにも効果があった」というお声をいただく機会が多いのですが、体臭(加齢臭)は、過酸化皮質を皮膚常在菌が酸化・分解してできる物質の一つ『ノネナール』が関与していると言われていますが、石けんを使うことで皮膚常在菌のバランスが変わったことが予測されます。
本当に上質な石けんを使っていると、皮脂をとりすぎず、石けんのオイル成分が肌をうるおし、美肌菌のエサとなってくれるので、入浴後すぐに乳液やクリームをつけなくても肌がつっぱりにくくなっていきます。
お客様からも「痒みがなくなった」「クリームや美容液がいらなくなった」と嬉しいレビューをたくさんいただいています。
肌ケアや石けんへのこだわりの話は、話し出すとまだまだ止まらないくらい奥が深く、食事や栄養と肌に関する記事もいずれ書きたいとは思っていますが、ひとまず良い石けん1個あるのが美肌へのファーストステップかと思います。
ぜひこの機会に、見目麗しく香りに癒やされ、お肌本来の機能を取り戻す石けんを使ってみてはいかがでしょうか?
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