吉野山で西行の闇に思いを馳せた話
「願はくは 花の下にて 春死なむ その如月の 望月のころ」(旧暦2月の満月の頃、満開の桜の下で死にたいなぁ)
平安時代末期から鎌倉時代初期を生きた歌人・西行法師の和歌です。現代語訳の必要もないストレートな歌。しいて解説を入れるとするなれば、お釈迦様の入滅が旧暦2月15日で、出家していた西行も、単に桜がきれいだからだけではなく、それも意識して詠んだのでしょう。満開の桜、満月、その下で死に向かう自分。実に耽美な歌です。実際、西行法師は73歳、旧暦2月16日に亡くなったそうです。