高く飛ぶ仕事 と 土を掘る仕事
挿絵を担当した「愛蔵版絵のない絵本」のプロフィール用に、編集者さんが考えてくださった文章を読んだ時、じんわりと感動していました。
その紹介文では、商業出版物と自費出版物(*)、個人経営の本屋さんと作った出版物、ぜんぶを同じ列に並べてもらえていたのでした。それを見たとき、とても嬉しかった。
まだまだ商業出版物の数が少ないことも理由にはあるかもしれません。けれどそれでも、いろんなことを続けてきたのは無駄じゃないんだなあと、しみじみ思いました。
以前は、商業出版に到るためのステップとして作っていた自費出版物も、今は全然別の意味を持っています。
仕事と趣味ではなくて、上下もなくて、どちらも自分の仕事だと思ってやっています。それぞれの良さがあって、それぞれの届き方があるからです。
商業出版で、編集者の方と一緒に作る作業はすごく楽しいです。アイデアや意見を交わして、一つのものを良くしていくのは興奮します。自分の内側からは出てこない世界を広げてもらえることに感謝しています。
そして私個人では届けることのできないところまで、たくさんの方に本を手にとってもらえるチャンスがあります。
対して、個人で作る自費出版物は、すごく「個人的」なものを作れます。自分自身と深く対話して、もしかしたら誰にも分かってもらえないかもしれない、というものを、ポーンと投げることが出来ます。でも、そんな風に個人的に作ったものが、人の深いところと共鳴することが度々あるのが不思議です。それが自費出版物の醍醐味と言ってもいいかもしれません。
どちらも大事な仕事です。外に向かうことと内に向かうこと。高く飛ぶことと、土を掘ること。大きな声で話すことと、小声でささやくこと。
もちろん自費出版も続けていけなければ意味がないので、ちゃんと経済的に回していける計算もします。計算はすごく大事です。無理は続かないから、ちゃんと見積もりや計算、計画、段取りが必要なことは、ここに書いておきます。続けるということは、最も大事なことのひとつです。
ふと思い立って色々な本作りについてつらつらと書きましたが、とにかく本を作るのはどんな形でも最高に楽しいな、という話でした。ずっとずっと、体が動く間は本を作っていきたいな。
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