『死体で遊ぶな大人たち』倉知淳著よりタイトルネーム作品読了・遊びすぎにしては面白過ぎるやん!
ラストになりました
私の好きな『死体と遊ぶな子供たち』は
映画ですが、そのタイトルに似ていて、
つい購入(映画はゾンビものです)
読みやすいので
サクッと読めそうなのですが、
本を掛け持ちしたり、
諸事情でコンスタントに読めない為、
こちらについては読めた短編から順に
読書感想文を書く事にしました
ここまで、
「本格・オブ・ザ・リビングデッド」を
大学生の種子島さんが解決し、
「三人の戸惑う犯人候補者たち」を
修行僧の万念さんが解決し、
「それを情死と呼ぶべきか」を
ミュージシャンのタクトさんが解決し、
理路整然とした推理で
楽しませてくれました
そして
今回は最終夜として、タイトル作品
「死体で遊ぶな大人たち」になります
なぜ腕だけ別人に“すげ替え”られたのか?
そして内表紙の裏書はありません
今回分も、ゾンビものではありません
死体で遊んでいるのは…誰?
ゲリラ豪雨が明けたある朝、川の氾濫を気にした爺様がずぶ濡れになった男の死体を見つけます
ただ、その死体は…両腕が女のそれに“すげ替え”られていたのです…
警視庁管轄での事件、その猟奇性、目立つ死体の状況から程なく解決すると思われましたが…三ヶ月経った今も未解決状態でした
マスコミが騒いだのも最初だけ、今は新しい情報がSNSで賑やかになり、忘れ去られはしないけれど…な感じです
ここで、北見という独身社会人が登場します
歳の頃なら三十代、仕事が多忙を極め、彼女とも逢えずで仕事に邁進していましたが、さすがの上司もその状況を見かね、その日はみんなに帰れと言います
彼女に逢って今までの詫びでもするかと北見は思いますが、彼女も今日は多忙で午後9時ぐらいまでかかるという…
そこで、彼女の仕事場に近い所にあり、前から気になっていたBAR『ドラキュラ』に入り時間を潰します
居心地の良い所で飲んでいると、後ろの席から例の事件の話が聞こえてきます
主に話しているのは小木という男で、それを聞くのは海外から帰ってきて髪は散切り、髭むくの男、久我山で、二人とも二十代の青年の様です
小木はこの不可解で何か面白そうな事件について、SNSからの写真等を見せながら知る限りを詳しく話します
男性は腕がなく指紋は採取できませんが人相からその身元が判明しています
女たらしな闇商売の上手い男でした
となると一番の不可解は、死体の両腕…
未だに女性のものとしか分からない身元不明のものです
久我山は海外が長いからか、アメリカの検死現場で使う“ミズ・ジェーン・ドゥ”と呼びます
“ミズ・ジェーン・ドゥ”は一体何者なのか
警察も苦労しているらしい…
そんな話をほりほりと聞いた久我山は、「犯人は分からないが、捜査の道理が分かった」と小木に話すのです
これには、小木だけでなく、聞き耳を立てていた北見も驚きます
そして失礼とは思いながらも話に加えて欲しいと二人に頼み込み、そこからは三人同席になります
ほぼ、読まれている方はお分かりと思いますが、北見はその事件を担当する刑事です
どんな事でも手に入れたいですよね
飄々とした久我山の推理や如何に?です
今回もまた、さりげなく、理路整然と事件は謎解きされていきます
いゃあ、お見事です、本当に
腕がすげ替えられた死体、とあったのを読んだ時は、蘇部健一先生の『六とん』
正式には『六枚のとんかつ』を、いやいや、正式には元ネタとなる小説である、島田荘司先生の『占星術殺人事件』系かいなと思ったのですが、全くの私の先走りでした…わはは
✳︎こちらも面白いのでまた書きますかな
いや、そして、
何よりお見事なのがこの本です
全体、です
全く異なる事件ですのと、先に書かせていただいた諸事情もあり、この本については一話ずつ別々の日に読み進めたのですが、ラストに来てまぁ、感動しましたね、この本に
どのお話も、とある死体についてになりますが、ここまで死体で遊べるとは…!倉知淳先生は建築家か?再構築の雄じゃあないか!
拍手ものです、買って良かったです
ネタバレしてない様ですが、
ネタバレっぽい読書感想文にしてしまいましたので、よく読んでみてください
何より、
この本は面白くてサクッと読めます
面白いので、読んでみ