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枚方市議会議員が考える計画策定~トップダウンとボトムアップ~

こんにちは。
枚方市議会議員の松本佑介です。

皆さんは、自治体が作成する
総合計画実行計画
というものをご存でしょうか。

枚方市の表現をお借りすると、

総合計画とは、
「市のめざすべき将来像を定め、
長期的な視点に立って
計画的に市政を運営していくため」
の12か年の計画で、

実行計画とは、
「総合計画基本計画を推進するため、
基本計画に掲げる重点施策などを
踏まえながら、
4年間で実施していく具体的な実現計画」
とあります。

実は今年度は、
ちょうど第2期実行計画の最終年度で、
来年度から始まる第3期実行計画を
策定するべき年度
でもあります。

また、第3期実行計画は、
平成28年から始まる第5次総合計画の
最終期を担う集大成の計画
になるので、
12年間で枚方市がコミットしてきたものの
成果を左右する大変重要な計画になります。

それでは、
そもそも組織全体の計画というのは、
どのように策定されていくのでしょうか。

先日の令和5年度12月定例月議会の
一般質問の質問項目の1つ、
「1.(2)第3期実行計画を構成する
事務事業の策定方法について」
で、
枚方市の計画策定について
質問させて頂きましたので、
今回も、その解説も兼ねながら、
お話しさせて頂きたいと思います。


計画策定のための2つのアプローチ

一般的に、計画策定のアプローチは
2つあると言われています。

「トップダウンアプローチ」と、
「ボトムアップアプローチ」です。

トップダウンアプローチ

まず一つめ、
トップダウンアプローチの手法は、
最初に大目標や全体戦略を定め、
そこから必要な計画を逆算して考えていく

というものです。

トップダウンアプローチのメリットは、

「大方針に合致した計画を立てやすい」、
「計画の進捗、特に計画との乖離を
把握しやすい」、

などが挙げられ、
中長期の計画策定に向くとされます。

ボトムアップアプローチ

一方、ボトムアップアプローチの手法は、
現場が主体になって施策を検討し、
それらの積み上げによって、
全体計画を策定す
るというものです。

ボトムアップアプローチのメリットは、
実情をよく知る現場が施策を作るため、

「施策の策定が比較的容易である」、
「現実感のある計画が出来上がる」、

などが挙げられ、
比較的短期の計画策定に向くとされます。

では、皆さま、実行計画を策定する際には、
トップダウンアプローチと、
ボトムアップアプローチの
どちらがより適しているでしょうか?

ここから先は、皆さまの中でどちらが良いか
答えをイメージした上で、お読みください。

デメリットもある

当然ですが、それぞれのアプローチには、
デメリットも存在します

基本的には、デメリットは、
それぞれ先程説明したメリットの逆です。

では、ボトムアップアプローチから
見ていきましょう。

ボトムアップアプローチのデメリット

ボトムアップアプローチのデメリットは、

「既存の運営の延長線上になり、
斬新な施策が出されにくい」、
「各案件の推進自体が目的化し、
大目標を達成する意識が弱くなりやすい」、
それゆえ、
「案件目標の達成が全体目標の達成と
ズレている場合に軌道修正しにくい」、

などが挙げられます。

如何ですか?

ボトムアップアプローチの
デメリットを見てみて、この時点で、
どちらのアプローチで計画を策定すべきか、
予想に変化はありましたでしょうか?

次は、トップダウンアプローチの
デメリットを見ていきましょう。

トップダウンアプローチのデメリット

トップダウンアプローチのデメリットは、

「現場の実情と乖離した計画になりがち」、
「企画部署と現場部署の調整が大変」、
「アイデア出しに時間がかかる」、

などです。

この、部署間の調整が大変になる
というのが大変厄介
です。

大きな組織の計画策定方法

実は、大きな組織の全体計画は大抵、
ボトムアップアプローチで作られています。

理由は、大きな組織の企画部署や
現場の計画立案担当者は大変忙しく、
今以上負荷が発生するのが苦しいからです。

しかし、ボトムアップアプローチには、
大目標を達成する意識が弱くなるという
なかなか苦しいデメリットがあります

そこで、大きな組織は
組織目標達成の進捗状況を可視化した
KPIを策定する等して、
ボトムアップアプローチの弱点を
補おうとしています。

しかし、
「既存の運営の延長線上になり、
斬新な施策が出てきにくい」
というデメリットについては、
依然として、どの組織にも通用するような
効果的な対策は出てきていないようです。

ちなみに、KPIについては、
これまた私の一般質問
「1.(3)KPIの設定」
質問しておりますので、
また別の機会に書かせて頂こうと思います。

実行計画の策定方法

本題に戻ります。

では、行政の実行計画
どちらのアプローチで策定するのが
理想でしょうか。

私の考えでは、
トップダウンアプローチです。

そもそも実行計画は
総合計画を推進するために作られる
のですから、策定する意義からして、
トップダウンアプローチが自然です。

枚方市の場合

それでは、枚方市の実行計画は
どのように策定されているのでしょうか?

私は、令和5年12月定例月議会で
「1.(2)第3期実行計画を構成する
事務事業の策定方法について」
という質問をさせて頂いています。

質問の概要はこうです。

「第2期実行計画はボトムアップ
まとめたような印象を受けているが、
第3期実行計画はどうするのか?」

これに対する行政の回答はこうです。

所信表明の具体化新たな課題への対応
第2期実行計画の総括評価を踏まえた見直し
による事務事業などを対象として
整理を進めている」

トップダウンアプローチの強化

所信表明とは市長が掲げる方針ですから、
所信表明を具体化して計画を作るというのは
トップダウンアプローチに他なりません。

実は、枚方市の第2期実行計画は、
総合計画や市長の所信表明と、
各施策のリンクが不明瞭でした。

これでは、個別の施策を頑張っても、
枚方市全体の戦略を
効果的に達成することが出来ません。

しかし、第3期実行計画では
トップダウンアプローチが強化され、

加えて、
新たな課題への対応
第2期実行計画の総括評価を踏まえた見直し
も行われるのですから、

第5次総合計画の最終期としての
第3期実行計画は、
第1期・第2期実行計画で
不十分だった箇所を放置せずに
補完する意思を持って策定される計画
になります。

これは、
第2期実行計画策定時の考え方と比べると、
本当に大きなマインドの変化です。

現場との調整の“壁”

ところが、実際にトップダウンアプローチを
推進する際に、必ず苦しむことになるのが、
「トップは戦略上必要だと思っているが、
現場は経験上不可能だと思っている施策」

の具体化です。

現場は経験上不可能だと判断している施策を
トップ、または企画部署が、
「それでもやってくれ。」と言うのですから、
その調整は本当に大変です。

単に「無理!」と突っぱねるだけでは、
組織の全体戦略は機能しませんし、
現場に無理やり施策を押し付けるのでは、
現場が感じている無理な理由を放置したまま
取り組むことになるので、
施策が最後まで完遂されることは困難です。

出来れば、両者で前向きに、
「どうやったら実現できるか」を考えて、
枚方市役所にブレイクスルーを
もたらしてくれたらと思います。

実はこの他にも、
枚方市にはKPI設定という課題がある
のですが、このことについては、
また別の機会でお話しさせて頂きます。

さいごに

私はこの記事の中で、
トップダウンアプローチのデメリットとして、
部署間の調整が大変で、
忙しい組織では対応が苦しいということを
書かせて頂きました。

しかし、枚方市役所は、
忙しくても、「それをやる。」
議会で表明してくれています。

私は自分の記事で何度も書いていますが、
枚方市役所の職員さん達は、
本当に真面目で、市民目線です。

今回の第3期実行計画が、
第2期とは打って変わって、
枚方市の全体戦略の実現に資する計画
になっていて、

これまで必要だと思っていたが、
なかなか手を付けられなかった施策
が、推進されるようになったら、

「この計画策定手法の変化が
ターニングポイントだったんだな。」
と、枚方市役所の職員さん達の努力に
想いを馳せて頂けましたら幸いです。

私の考え方に賛同して頂ける方は
是非、スキをお願いします。

松本 佑介 @ 枚方を動かす新しいチカラ


最後まで読んでいただいて
ありがとうございます。

次に書く記事に生かしますので、
ご感想をお待ちしております。

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