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ウーバー配達員の悲しみ ぼくの時給が587円になった話

タイトルだけ読むとなんのこっちゃ、
・・・という感じですよね。

これはきのう、ウーバー配達で出会ったお客さんの話。
ちょっと、
いや・・・、かなり愚痴めいた記事になります。

結論から言うと、
タイトルにも書いた通り『ぼくの時給が587円になった』
この記事は、そのてん末です。

それは豊洲への配達でした

11時58分。
かちどき橋の近くにある、パスタ屋さんから注文が入りました。

お店で結構な量のパスタとサラダを受け取り
お客さんの住所データを見ました。

すると、そこには建物らしき記載のみ、
部屋番号がありません。
そこでぼくは、配達に向かう前に、こうメッセージをいれました。

「戸建てでしょうか? 特徴あれば教えて下さい」

12時10分、出発。
そんなに遠い場所ではありません。
ぼくの中では遅くとも12時30分には配達が終わるだろうという
目測がありました。

およそ15分後、指定された住所に到着しました。
そこには超巨大なタワーマンションがそびえたっていました。
建物の名前も確認、届け先は分かりました。

しかし、部屋番号が分かりません。
そうです、配達前に送ったメッセージには返信がありませんでした。

そこで再びメッセージを打ちました。

「到着しました」
「部屋番号を教えて下さい」

10分経過。
返事がありません。

10分タイマー起動

お客さんと連絡が取れない場合、
ウーバーのアプリで『10分タイマー』を起動します。
10分待って連絡が取れなかった場合、
その配達は強制的に終了してOKなんです。

合わせて商品は破棄するように指示されます。

そのタイマーが3分進んだところで
ようやくお客さんからメッセージが入りました。

「30階のラウンジにきてください」

部屋番号ではなく、30階のラウンジ?
ちょっと変だなと思いつつも
ぼくは配送業者用の受け付けに行きました。

タワーマンションはセキュリティを考慮して、
入居者とは別に、
配送業者用の入り口があるマンションが多いんです。

ラウンジにいけない

受付で名前を書き、
行き先を書く段になって問題が起りました。

ラウンジは入居者のみが入れる空間なので
こちらの判断で部外者を通すわけにはいかない。

ここでのやり取りは詳しく書いても
うまく伝わらないので、割愛します。
どーにか、こーにか、マンション内に入りました。

40階を超える巨大なマンションですが、
配送業者用のエレベーターは一基だけ。
全然、エレベーターがやってきません。

エレベーターを待っている間に・・・

10分タイマーが切れました

この時点で配達を強制終了することも可能です。
受け取った商品を廃棄することも可能です。

でも、さすがにそれは無しです。
ぼくもちゃんと商品を届けたい。
とても美味しそうなパスタでした。
家族で楽しみにしているのだろうなと思ったからです。

ようやくエレベーターが来ました。

30階に着きました。

おばあさんが1人いました。
ぼくを見るなりこう言いました。

「ウーバーさん?」

ぼくが頷くと、他に家族がいるらしく
「こっちこっち」と言います。

少し手狭な廊下を進むと、
30代半ばの夫婦がいました。

奥さんらしき女性が
「〇〇〇さん?」
ぼくの本名を言いました。

そうです。
ウーバーアプリでは配達員のプロフィールを見ることが
できます。

商品を手渡すと旦那さんらしき男性が
「ぼくの返信遅かったですか?」と言ってきました。

ぼくはうなずき、
「はい、ちょっと遅かったです。
 部屋番号を教えて頂ければラクでした。
 この配達だけで30分以上かかっているので、
 正直、キツかったです」

最後の言葉は苦笑いしながら言いました。

旦那さんはニコニコ笑って
「いやー、それはスミマセンでした!」

彼ら3人はずーっと笑っていました

なかなか来ない帰りのエレベーター、
結局、配達が終わったのは12時50分過ぎ。

注文を受けてからほぼ1時間、
この1配達でつぶれました。
配送料587円。ぼくの時給です。

ウーバー配達という仕事は固定給ではありません。
一つ一つの配達をできるだけ早く正確にこなして
『自分の力で時給を上げていく仕事』です。

しかも つぶされた時間は、
注文が最も入り、配送料も高くなる、
貴重なピークタイムど真ん中の1時間です。

30階の狭い廊下でやり取りをする間、
彼ら3人はずーっと笑っていました。

おそらく悪意もないのです。
配達員の時給なんて、想像もしないのです。
だからぼくのやりきれない気持ちは1%も伝わっていないのです。

それがちょっと悲しい。

あ。
チップは1円も もらえませんでした。
だから時給は587円のままです。


「まあ、元気出せ!」
一部始終を見届けた、ぼくの相棒もこう言っているので。
今後も、コツコツ頑張ります。

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