済州航空の事故で発生するインバウンドへの影響とは?
2024年12月29日に発生した、済州航空の着陸時の事故により、搭乗していた乗員乗客乗客・乗員181人のうち179人の方が亡くなったニュースは年末の日本にも大きな知らせとして報道され、驚きと深い悲しみに包まれました。まだご遺族の方々においては遺体の確認すらままならぬまま2025年を迎えるという結果となったことについて、心よりお悔やみを申し上げます。
できうる限り、斯様な事故が二度と起こらぬよう、再発防止の検証を速やかに行っていただきたい所存です。
韓国で起こった大規模な犠牲を伴う事故
さて、韓国では今に始まったことではなく、過去において数度数回、多数の方が犠牲となる事故・事件が起こっています。20世紀においては北朝鮮のテロ活動や冷戦に起因することが多かったですが、軍事政権下の政治が収束してからは、もっぱら安全対策への不備に起因するケースが多い印象を持ちます。
記憶に新しい梨泰院での将棋倒しの事故や、貨客船セウォル号の沈没事故などを思い返しても、本質は三豊百貨店の崩落の頃から、韓国における安全対策や運用時の意識改革がなされていないことが原因であることについて、世の中があまり変わっていないからなのだろうと見ております。政権がコロコロ変わる中で、どうしても日頃の生活における安全基準に関するルールや運用の厳格化が進まない傾向があります(他方で出入国や外国人対策など、安全保障と雇用に関する解決・改革はスピード感がある印象です)。
突然起こる自粛ムードから波及する影響とは
韓国社会で斯様な事故事件が起こり大量の犠牲者が出た場合、韓国国内は、一気に深い悲しみに包まれると同時に、突然の自粛ムードが広がります。
あえて言葉を選ばずに言うと「意味もなく」「突然に」「無作為に」自粛ムードが広がるのです。
それらの行動は、本心から鎮魂の気持ちで臨む方もいらっしゃいますが、他方で「他人の目が怖い」「ここで自分だけ騒ぐと他人から批判されそう」「なんとなく不安」という理由に基づく「社会への忖度」という理由が挙げられます。
イベントが軒並み中止へ
芸能人のイベントなども、年末年始において軒並み「中止」が告げられていることも、これらの理由に該当します。
これら現象に見られる突然の中止勧告などは、私たち日本人には全く予測ができないものであり、理由を尋ねても明確な回答を得られるようなことはないでしょう。日本においても「諸般の事情を考慮し」や「総合的に判断し」という考え無しな回答をするケースがありますが、その思考とほぼ同等であると考えておくとよいです。
インバウンドや、それ以外の事象への影響は?
キャンセルは既に発生。何をキャンセルしているのか?
最新の記事にあるように、チェジュ航空で予約をした人が、60000件以上のキャンセルをしたというニュースが流れています。この結果として、予約者のうち日本への渡航を計画した人については、以下の動きが考えられます
A:不要不急だから、しばらく日本には行かない
B:チェジュ航空で行くのは、止めておこう(他の便・他地区なら行く)
韓国の市場性を考えると、Aを選択する人は、ほぼいないと思われます。したがってBの選択者が増えます。
その結果、2025年は別便での振替 すなわち、t-wayやイースタン、エアソウル、エアプサン、ジンエアーなどのLCC便 または従来のアシアナ・大韓などのナショナルフラッグキャリア、さらには、パンスター・カメリアライン・関釜フェリーなどの船舶需要が一気に高まるものと推測します。
「チェジュ航空で行くのは止めておこう」で壊滅的な影響を受ける地域は?
となると、ここで重要なのは「チェジュ航空がメインの便であった、直行便」が危機に晒されます。
上記にあるうち、決定的な打撃を受けるのは…
●松山
●静岡
●広島
●大分
上記の4便です。特に松山は人気が上昇していたので、直行便での来訪は一気に減少し、おそらく休便に追い込まれるレベルになる可能性があります。なぜなら松山は比較的高齢者の方の人気が多かったからです。
静岡や広島、大分については、便が止まった場合は、航空需要はなくなるものの、地域への代替渡航方法が多いため、観光への影響が著しいとまでは言えないと考えています。
さらに、気の毒なのは 長崎空港
2024年12月からようやく韓国の国際線が再開となり、その第一弾として、今回不幸にも事故のあったムアン⇔長崎 のチャーターが飛んでいたのです。
これらもほぼ間違いなく休便に追い込まれると思います。長崎県としては新たな顧客獲得に乗り込み出す矢先でしたので、対応の準備が完全に画餅に帰すことになると思われます。
そのほかの影響
日韓でのさまざまな交流イベントなどが、少し先送りになるという可能性はあると思いますが、青少年が絡むイベント交流の場合に「親や親戚が意味もなく反対してくる」というケースがよく起こります。日本人の情弱な方がよく口にする「何かあったらどうするんだ?」というクレームですね。
こういった理不尽で過剰なクレームで、若い方々の可能性の芽を摘まれることの方が、今回の事故よりも痛ましい出来事なので、日本人である私たちとしては、常に冷静沈着な対応が求められると考えています。
さいごに
今回の事故は本当に痛ましく、改めてお悔やみを申し上げます。しかしながら航空事業に従事していらっしゃるすべての方の名誉のために敢えて申し上げますが、航空機は自家用車よりも飛躍的に安全な交通手段です。そのことを理論的に把握したうえで、冷静沈着な思考をいち早く回復してほしいと心より願うばかりです。