見出し画像

How Google Works(ハウ・グーグルワークス)邦題「私たちの働き方とマネジメント」

グーグル会長で元CEOのエリック・シュミットと、元プロダクト担当プレジデントのジョナサン・ローゼンバーグ著書で
2015年HRアワード書籍部門最優秀賞、ハーバードビジネスレビュー経営書2位、ビジネス書大賞2015準大賞、という売り文句に非常に興味があり選びました。

https://www.amazon.co.jp/How-Google-Works-%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%88-ebook/dp/B00OJVMK5O/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=How+Google+Works&qid=1590470414&sr=8-1

それぞれ2001年入社と2002年入社でグーグルがシリコンバレーのベンチャーからハイテク業界の世界的リーダーへ成長する時期の経営者が著者。
創業者であるラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは他とは違ったやり方をすることで有名で(創業者2人はスタンフォード大学在学中に企業)
エリックとジョナサンもグーグルで成功するには、また、IT業界で勝ち抜いていくにはこの「他とは違ったやり方」でやらなければ成功はない、
今までの経験や20世紀の経営ルールはこれからは通用しない、と悟ったと言ってます。
その中でも、前時代的(20世紀的)企業の考え方から全くもって違う、「時間」「人材」「商品」の考え方が非常に印象的だった。

グーグルはインターネット創設期から、PCからモバイルに移行していく時代になることを先読みできていた。
「10倍の規模で考える」という言葉がグーグルにあり、技術的な情報を公開して市場規模を「スケールする」。
規模を一気に拡大してしまって、そこに圧倒的な技術を持ったGoogleが存在することで追随できない存在になる。そのためには敢えて技術情報を公開する方針だと言います。
googleが各社モバイル端末にandroideを搭載させたこととAppleが自社で機密にしたことの圧倒的な企業の考え方の差がここにあると思います。
10年経つとGoogleは圧倒的です。この著書が2015年に書かれたものであると考えると、この約5年で圧倒的に世界市場を制圧しました。

「20世紀的企業」は意思決定のプロセスにおいて、重要な情報を上に流し、判断した内容を戻す。
この「意図的な」スピードの遅さ。
全体的な情報を握っているのは経営トップだけで、リスクを抑え、情報量の多い一握りの経営者だけに意思決定を委ねることを主眼としている。
伝統的な指揮統制を旨とする構造では、組織の末端から経営陣へとデータが上がっていき、意思決定がなされると今度はそれが逆方向に下がっていく。
あえてスピードを遅くする設計がされており、これこそが前時代的な構造と説いていて、更にこれは企業の規模の限界を自ら造り上げるものだと思う。

それから、Googleが「スマートクリエイティブ」と呼ぶITにとことん精通した人材で自己発信できる人材を「採用を何よりも優先に」「圧倒的な技術の優位性を何よりも重要視してきた」
ことに成功の秘訣があると思います。
プロダクト30、営業広告70の時代から、今もこれからもプロダクト70、営業広告30の時代に。
これまでは情報が手に入らなかったから、いろいろな情報を手に入れるのに時間もお金もたくさん掛けてきた。
今はもう手持ちのモバイルで企業だろうと個人だろうと情報が手に入り、しかも個人が情報を世界に発信できる時代になっている。
しかも無料で。シュミットは更に近いうちに更に50億人がこの情報を持てるようになるだろうと説いてます。
こうなると、より製品やサービスの持つ意味合いが強くないと生き残れない。

IT業界創設期から淘汰され、更に全てが加速化している時代にあって、グーグルがビジネスで成功してきた要因はスマートクリエイティブを惹きつけ、
彼らが大きな目標を達成できるような環境を与えてきたことに起因する。
スマートクリエイティブは日本語的に言うとクセが強い人間が多い。
ライバルには追随するな、時間と労力をかけるのは自社の技術。
優秀な人材を採用し、その人たちに自由を与える。優秀な人間は自ら実行する。
優秀でさえあれば「一緒にビールを飲みたくない」でも構わない。政治的に逆の思考、宗教的に逆の思考、白人と黒人、ユダヤ教徒とイスラム教徒、退役軍人と民間人、車いすの人、
多様な人材が同じ職場で働くことで生まれる幅広い視点には、はかり知れない価値がある。
素晴らしい才能の持ち主の外見や行動は、あなたとは違っていることも多い、そんなダイバーシティを認める企業文化も素晴らしいと思う。
まさしく、これからの企業に求められる、求められている方針であり、理念だと思う。

グーグルの文化としてスピード感を重視しており、2012年にニケシュ・アローラ(後にソフトバンクに移籍して有名になりその後辞めた)が
セールス、オペレーション、マーケティング部門の数千人が所属する事業部再編を数週間で計画実行してしまったほど。
この中で、「エンジニアは物事を複雑にし、マーケティングの人間はマネジメント階級を増やし、セールスの人間はアシスタントを増やそうとするのが常」
というのが出てきて、どんな会社でも組織でもこの通りだと感じた。
組織においてはAmazon創業者ジェフ・ベゾスが「ピザ2枚で足りるくらいの規模にとどめること」と提唱していて、ウォーレン・バフェットの組織論、リーダー論もあり、どれだけスピード感を重視しているかが改めて具体例とともに気付きになった。
instagramの共同創業者ケビン・シストロムもGoogle出身でスマートクリエイティブの1人だったらしく、その後、FACEBOOKに10億ドルでinstagramを売却している。

GAFA(google,amazon,FACEBOOK,apple)…この言葉も著書に出てくる…が、IT創業期にどう生き残ってきたか。
これはスピード感が非常に重要だったと思った。
その創成期を経て、今は技術と市場規模…そのための時間と人材…が重要な時期にきていると思う。
アパレル業界も成熟した市場だと言われるが、だからこそ「存在意義」を問われ、そのために「時間」と「技術」が大切で、今回は自分の会社にとって「時間」と「技術」
を改めて見直して「スケール」したいと思いました。

今まで読んできた中でも、かなり名著と感じる内容で、この学びの機会をいただき本当によかったと思いました。
ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集