【雑短歌】 社会の矛盾を詠む一首
お金が無くなってなるのが「貧乏」ならば、貧乏になって無くなるのは“暇”である。貧乏暇無し。
貧乏の無限ループから脱しようと、釈迦力になって働けば働くほど、暇はますます無くなってゆく。暇が無いというコトは、すなわち「貧乏」というコト。 「ぢつ」と手を見ていたって、掌からお金が湧いてくるはずもなし。働かなくては、お金は手元にやって来ない。
それに対し、富豪は持て余すほど「暇」に恵まれている。暇が有るから財も有る。
お金同士は仲が好い。類は友を呼んで、お金はお金を呼ぶ。アクセク働かなくともお金の方から集まってくる。
まさに、濡れ手に粟は金の粒。嗚呼、羨ましき限りは有閑階級。そんな身分に身を置いてみたいモノ。
けど、この世に「質量保存の法則」があるように、「労働保存の法則」もあるに違いない。
この世に存在する全仕事は、人類全員に平等に割り当てられているわけではない。働かない人の分を働く人が代わりに熟しているのだ。だからといって、その労働の対価のすべてが労働者の懐に入る道理ではない。働かない人は「働かせてやった」と言って、労働者から利益を搾取する。毛細管現象の如く吸い上げる。
そんな調子で働かぬ者は益々「暇の有る富豪」となり、働く者は益々「暇の無い貧乏」になる。
苦労した者が報われぬ──この世は矛盾で成立ている。
世の中は金と権力がモノをいう
ウマ味は強者 ツケは弱者に
(よのなかはかねとちからがものをいう
うまみはきょうしゃ つけはじゃくしゃに)