【雑詩】 雨
雨 冷たい雨
それは哀しい雨
朝 笑顔で部屋を出た君が
この部屋に 二度と
笑顔で戻って来ることはない
そんな現実を
僕は受け入れられないでいる
僕は見つめるだけ
白磁器のような
君の冷たい素顔を
外は雨 冷たい雨
それは哀しい雨
こんなにも 寂しいのに
こんなにも 心細いのに
こんなにも 空虚なのに
僕の瞳から 涙は流れない
君を連れ去った運命は
僕からすべてを奪い取った
涙さえも ひと雫も遺さず
乾ききり ひび割れた僕の心
外は雨 雨粒の奏でるリズム
君が弾くピアノの調べが甦る
夜の帳に響く誰かの声
それは雨 冷たい雨
やむことのない 哀しみ雨