#7 出国じゃい! …ようやくね

なんやかんやでチェックインまで終えたのだが、ここから出国まで、実はあまり記憶に残っていないのだ。

出国審査もセキュリティチェックもあっけなく済んだ。
これまであれこれ悩みながら順番に関所を突破してきたにも関わらず、当初のイメージだと一番何か起こりそうな箇所を思考停止状態で通過することができた。
おそらくベルトコンベアに乗せられた出荷間際の製品のように、ただ流れに従って進んでいく様があまりもマッチしていたのだろう。

まるで僕自身の人生のようだ。

一つだけ記憶に残っていることといえば、セキュリティチェックを終え荷物を纏めていたところ、何やらご年配の男性の方と職員が揉めていたことだ。

「話ちゃうやんけ!筋通っとらんやないか!!」
「責任者よべや!!」

などとかなりの剣幕で職員に怒鳴り散らしている。
職員側は「話は違いません」などと冷静に対応しているが、この男性の勢いは止まらない。
何をそんなに青筋立てることがあったのか、後学のためにご教授いただきたいところだが、その時の僕にとってはどうでもいいことだ。

ただ、帰国時のトランジット先フランクフルトにて、同じくらいの年齢の中国人男性が同じような剣幕で職員に怒鳴り散らしていた際にこの一件を思い出すことになる。やれやれ。

その後、心残りのあった元への換金も難なく終え、全ての関門を突破した勇者僕は、訳もなく免税エリアを何度も往復した。

あとは飛行機に乗るのみ。

ようやく。

ようやくね。。

時間かかりすぎだろ!!

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