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[2024/12/23] ロンボクだより(116):ムシャワラってなんだ?(岡本みどり)

~『よりどりインドネシア』第180号(2024年12月23日発行)所収~

みなさん、こんにちは。師走ですね。子どもたちも学校が終わって、年末年始の休暇に入りました。休暇の前に返却された、娘の期末テストの解答用紙を見ていると、「よくこんなに難しい勉強を頑張っているなぁ」と思います。今回は、テストよりもっと難しいかもしれない、親族会議の話です。

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その単語とはじめて出会ったのは、今から4年前、娘が小学一年生のときでした。

「パンチャシラ(建国五原則)を覚える」という宿題が出たのです。

当時、ちょうど、私もパンチャシラを覚える必要がありました。国籍をインドネシアに変更するつもりでいた私は、その面談の席でパンチャシラと国歌を暗唱させられると聞いていたからです。

よーし、覚えるぞー!

どれどれ・・・と、娘と5つの文章を声に出して読みました。が、4つ目が長いわ、知らない単語だらけだわ。匙を投げたくなりました。

『よりどりインドネシア』の読者の皆様はきっとご存知だと思いますが、その4つ目の原則を引用します。

Kerakyatan Yang Dipimpin oleh Hikmat Kebijaksanaan, Dalam Permusyawaratan / Perwakilan.

・・・全然わからへーん(困)。

特に後半がボロボロです。

日本語訳を読みました。

「合議制・代議制による英知に導かれた民主主義」

・・・。

「日本語でもわからんやないかーい」

こう思ったことをはっきりと覚えています。

なかでも最もわからなかったのが「合議制」でした。私の人生で聞いたことのない単語です。

辞書には、「複数の人物の合議によって物事を決定する制度のこと」と載っていました。さらに、合議とは「集まって相談すること」とあります。

つまり、合議制とは、「複数の人物が集まって相談することによって、物事を決定する制度」のことのようです。

インドネシアでは、物事は独裁的に誰かがホイホイ決めるんじゃなくて、みんなで相談して決めるシステムでやっていくと言うんだね。うん、やっとわかりました。

「でも、私のロンボク生活では一生使わなさそうな言葉だな~」

それでも、とにかく暗唱するのみ!

気持ちを切り替えて、憲法のいくつかを暗記した中学生の頃と同じように、「ともかく暗唱」することにしました。

苦手の「Permusyawaratan」は、基語の「ムシャワラ(musyawarah)」の音の響きからアラビア語由来の言葉なのだろうと予測しながら、「ムシャムシャ藁食べる」と語呂まで作ってなんとか覚えました。

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この数ヵ月後に、義母があの世へ旅立ちました。

朝一に亡くなり、大慌てで様々な準備を行うなかで、たくさん聞いたのです、「ムシャワラ」という単語を。義兄たちや夫が「ムシャワラに◯◯さんと◯◯さんを呼んできて」「ムシャワラ用のタバコを用意して」と指示を出しています。

「わ、『ムシャムシャ藁食べる』やん!」

久しぶりにちょっと苦手な知人と会ったような気持ちになりながら、耳をそばだてました。

「Permusyawaratan」は「合議制」だけど、「ムシャワラ(musyawarah)」だけだと「話し合い」の意味になるんだな。ふむふむ。

文脈からおおよその意味を推察しながら、様子を見ていました。が、残念ながら私はムシャワラに参加することはできませんでした。なぜなら、お葬式の準備で手一杯だったからです。

しかし、いつもモスクでお世話になっているイマーム(礼拝を先導する方)たちが続々とやってきて、親族の男性たちとお葬式の段取りを決めているのはわかりました。

「詳細はわからないけど、あれがムシャワラなんだな。」

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その後、親族の冠婚葬祭のたびに、何度か「ムシャワラ」がありました。が、いつも女性陣は「ムシャワラ」の中に入ることはなく、料理の手伝いをしながら輪の外で耳だけ参加をしているように見受けられました。

なんとなくそうなっているのか、それともルールがあるのか・・・?

「ムシャワラって女性は参加しちゃいけないの?」

つい先月、気になって義姉たちに尋ねました。

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