[2023/01/08] ロンボクだより(83):屋外避難生活の雨季対策(岡本みどり)
~『よりどりインドネシア』第133号(2023年1月8日発行)所収~
(編集者注)本稿は、2022年12月7日発行の『よりどりインドネシア』第131号に所収の「ロンボクだより(81)」の続きです。2018年に起きたロンボク地震の記憶をつづります。なお本稿は2023年2月発行の『よりどりインドネシア』第135号に続く予定です。
新年明けましておめでとうございます。インドネシアは去年まであげられなかった花火が打ち上げられ、新年らしい新年でした。私は今年ものびのび楽しくロンボク島での生活をお届けしたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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「もうすぐ雨季がくる」
乾季特有のカラカラの風に吹きさらされながら丘で避難生活をしていたころ、私たちの頭の中にはすでに雨季の存在がちらついていました。雨季になると丘の麓が小さな川になるからです。
例年、9月になると風が吹いて少しずつ乾季から雨季へと移行します。早いところなんとかしなければ、厄介なことになるぞ。雨季への懸念は、私たちがそこそこ安定して暮らせるようになっていた丘の上での避難生活を手放す時期を早めました。
8月17日、住み慣れた集落に戻ってきたあと、はじめにすべきことは寝床の確保でした。多くの家が全壊・半壊で、残っていてもみな怖くて家に入れませんでしたから、屋外で生活するしかありません。
雨季に備え、上は雨をしのげ、下はぬかるみにならぬように留意してテントを建てます。迫りくる雨季との見えない戦いが続きました。
・・・と書きたいところですが、私たち一家が一時的に身を寄せることになった叔父・叔母宅も、村の多くの人々も、ほとんど雨季対策をとらぬままテントなどで寝床をつくり始めているようでした。
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