[2024/08/08] ロンボクだより(112):ドキドキしたこと(岡本みどり)
~『よりどりインドネシア』第171号(2024年8月8日発行)所収~
みなさん、こんにちは。今年の夏、東京は気温37度と聞きました。日本は酷暑のようですが、お変わりありませんか。ロンボク島は観光シーズン真っ只中。地震にコロナと続いた後のうれしい、うれしい、大入り満員御礼です。今回は、最近ドキドキしたことをお届けします。
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朝、娘を学校へ送り出すために扉を開けると、庭にパパイヤが一つ落ちていました。皮はまだ緑色で、ところどころ黄色くなりかけています。
そのまま台所に置いて待つこと数日。表皮は夕日のようなオレンジ色になりました。もう完熟です。これにジェルック・ニピス(ピンポン玉ほどの大きさで、スダチやカボスのような緑色の柑橘系果実。日本ではキーライムまたはメキシカンライムと呼ばれる)の果汁をキュッと絞って食べると、暑い日に最高のおやつになります。
よし、ジェルック・ニピスを買ってこよう。
我が家のジェルック・ニピスの木は久しぶりに咲いた花が散りかけたばかりで、まだ実はなっていませんでした。
市場で贔屓にしているスパイス売りのお店へ行き、ジェルック・ニピスを探しましたが、見当たりません。それより数回り小ぶりのジェルック・リモはありましたが、これだと酸味が強すぎます。
ほかのお店も2~3軒まわりましたが、この日はジェルック・ニピスに出会えませんでした。仕方なく、パパイヤの半分を一口大にカットして、家族でそのままいただきました。
「ジェルック・ニピスがあるほうがおいしいなぁ」。娘がそうこぼしたので、市場で探したけどなかったんだよ、と言い訳をしました。
「ナオラさんちにあるやん!」
そうだ、忘れていました。近所のナオラさんの庭には、我が家の2~3倍ほどもある、立派なジェルック・ニピスの木があるのです。実もたわわになっていて、これまでに2回ほどいただいたことがあります。
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翌日、お昼前にナオラさんのお家へ伺いました。門の前から「こんにちは!」と声をかけましたが、返事がありません。留守のようです。
「ナオラさーん、ジェルック・ニピスもらっていいー?」
シーンと扉は閉じられたまま。やっぱり誰もいないのかな・・・。
ナオラさんちのジェルック・ニピスの木は枝葉を門の前にまで伸ばしており、敷地内に入らなくても実をもぐことができます。
私たちの集落では、近所の家の果実や植物(葉っぱ、花など)は、特に声かけすることなく持っていっても、誰も文句は言いません。
もちろん、一つしかない実だったり、まったく面識のない家庭だったりすれば別です。が、はじめに1~2度声をかけていれば、あとはフリーパスで、いつでも自然に門を開けて、必要なものを持って帰れます。
「私も、いただこうかな」
頭上だけでも8~10個ほど実っています。左右の枝の先にもたくさん実が見えました。これだけあれば1個いただいても問題ないでしょう。もし今ナオラさんがおうちから出てきても、いつものように「いいよ、いいよ」と5個6個と持たせてくれるはずです。
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