見出し画像

6歳とやり切った「星のカービィディスカバリー」

任天堂switchのゲーム「星のカービィディスカバリー」。カービィシリーズ本編初のフル3Dとして、2022年に発売されました。

僕たちの世代だと、ゲームボーイの初代や”スーパーデラックス”が思い浮かぶでしょうか。初代はおそらく僕が初めてプレイしたゲームだし、スーパーデラックスは様々なストーリーやミニゲームが合わさっている構成でとても面白く、やりまくった記憶があります。洞窟探検、楽しかったな。これはおそらく小学校低学年前後のことなので、今回息子が5~6歳にかけてカービィをやり始めたとなると、僕と同じ時期に同じ体験をしていることになります。とは言え、当時の単純な2Dに比べて今回はフル3Dで、どこまでできるかな…と思いながら始めさせました。

始めさせた経緯は、Youtubeにあります。始めた当時、5歳9ヵ月。テレビでYoutubeが見れる環境にあって、いつの間にか「とりあえずYoutubeをつけて”何か”を見る」が夜のルーティンになってしまっていました。「これ!」という見たいものがあるのであればまだ良いのですが、閲覧履歴からどんどん出てくるおすすめを掘り下げている状態で、面白いのはいいことですが、それが受動的で意思が弱く、あまり良くないと感じていました。
ただ、「とにかく禁止!」としてしまうのもまた違うと思っており、能動的にできる娯楽としてゲームを思いついたのです。他の様々な娯楽からゲームを選んだのは、Youtube(テレビ画面)からの滑らかな移行を考慮してのことでした。そして、スマブラのような単純バトルゲームなどよりは”自分の操作で進行する”もの、一人で淡々とやるよりは親(他者)との協働でできるもの、を考えた結果、星のカービィの最新作に行きつきました。
※Youtubeが絶対的に悪いとは思っていませんが、付き合い方、難しいですね。

検討中にぱっと見て思ったのは、景色がすごくきれいで壮大だということ。カービィという小さな身体から見上げるから余計そう見えました。ゲームの中とはいえ、自分が操作するカービィが壮大で美しい未知の世界を探検するのは、5歳の子どもの感性にいい影響を与えるのでは、と思いました。
後から制作陣のインタビューで知ったことですが、3Dとはいえ難しくなりすぎないように着地や当たりの判定をゆるくしていたり、カメラ(視点)操作をしなくていいようになっていたりと、小さい子どもでも楽しめる調整が多く行われているとのことでした。

そして、このゲームのいいところは、2人でプレイができるところです。1Pはカービィで、コピー能力含め進行の主軸になります。そして2Pは「バンダナワドルディ」。コピー能力等は使えませんが、槍を使ってカービィと共に戦い、進むことができます。もちろんカービィは息子に任せて、進むことや強そうな敵と戦うのをためらう場面では、僕が先行して敵を倒しながら進みました。これに、前述の”子どもでも楽しめる設計”もあってか、すっとゲームに入りこみました。
ただし、あくまで本体はカービィなので、カービィが進まないとワドルディがどんどん前に進んでも場面が進みません。そのため、じれったいところは多々ありましたが、一度僕がカービィ側をやってしまうと難しいところや嫌なところを交代する癖がつきそうなので、あくまでカービィは息子で進めることを徹底しました。
途中、大人げなく「そっちじゃない!こっち!」とか「早くきてよ!」とか息子に言って争ったりもしましたが(笑)、それは逆に息子を子どもと思いすぎず、僕と同じ目線に引き上げて接することができた、ということでもあると思います。当たり前のことではありますが、親はどうしても息子を子ども扱いしてしまいます。0歳からの地続きで見ているので、他の子どもよりも余計そうしてしまうのだと思います。子どもは親が思っているよりもよっぽど成長している、しようとしている、のに、それを引き下げてしまっているのもまた親なのではないかと思います。ゲームを通じて強制的に親が少し低くなり、子どもが少し高くなり、同じ目標に向けて並走する。こんな効能?があるなんて思ってもいませんでした。



本作は「かつて文明があった場所」を舞台に、多種多様なステージが用意されています。それだけではなく、拠点となる「ワドルディのまち」が発展していったり、コピー能力やフィギュアのコレクション要素があったり、ミニゲームもあったりと、やりこみ要素も多くあります。

やり始めたのは1月19日。そこからは、ほぼ毎日やるようになり、僕が仕事でいない日はダンジョンを進めるのではなく、上記のやり込み要素や、単純に世界のなかをお散歩することを楽しんでいるようでした。進めるごとに難しい場所も増えていきましたが、息子の操作も成長しており、順調に進んでいきました。焦って操作するとき自分も前に進んだり、なぜか身体を右に捻っちゃうのは変わらずですが、それはご愛敬。笑

このまま一気にクリアしてしまうのでは?と思っていたのですが、後半ステージのボス戦を前にして急に進むのを拒むようになりました。2月上旬ごろのことです。
確かに、物語も後半に入り、世界観がやや不気味で危険な印象になっており(あくまで子ども目線の域ですが)、進むのをやや躊躇していた節はありました。そのため、ボス戦に何が出てくるのか不安だったのでしょう。僕もわりとビビりな性格なので、気持ちはよくわかります(笑)ここで無理に行かせるのも良くないと思い、息子からの誘いを待っていたのですが、延々と”ワドルディのまち”で遊んでいます。コピー能力試しながら町を散策したり、シアター見たり。
これが楽しいと言うのでまぁいいかと思いつつ、上でも下でも兄弟がいたらこうはならないのかなぁ、とか思ったりもしました。考えてみれば、僕は子どもの頃、親からなにかを強制されることはなく、かなり自由に遊ばせてもらいました。今の息子みたいな、ストーリー以外で変な楽しみ方することもあった気がするけど、弟がいたので、それには負けまいと進めていた気もします。小学生になると、自分より進めている友達から刺激受けたりとかも。

少し促すことはあっても無理にやらせることはしないでいたら、そのうち違う遊びやゲームに進むようになり、気づいたら6歳の誕生日を遥かに超えて、10月になっていました。カービィが世界を救わずにワドルディのまちで遊び始めてから、8ヵ月です。笑

この8ヵ月の間に息子は、ゲームでいうとドラクエモンスターズ3、マリオカート、スマブラなどを楽しんでいました。マリオカートは簡単な操作にしていることもありますが上位に食い込むようになってきたし、スマブラも想像以上に戦えるように。そして、何がきっかけになったのかはわかりませんが、急に「カービィやろう!」と言い始めたのです。

そして、やり始めてびっくり。8ヵ月前には敵にビビってまったく進めなかった場所も躊躇せず突っ込むようになっていて、技術的に難しかったところもできるようになっていました。もちろん、ゲームも終盤戦に入っており難しい部分も増えているので、一発クリアとはならないところもありましたが、それでも取り乱したりせずに落ち着いて工夫する、嫌にならずに何度もチャレンジします。これには本当に感動しました。8ヵ月の間が空いたからこそこれだけ成長したのだと思いますが、ゲームという基準があることによってその成長が非常にわかりやすく、その幅に驚かされました。まさに、大人が思っている以上に子どもは成長している、です。

そこからほぼ毎日一緒にプレイして、10月13日に全編クリア!ラストに近づけば近づくほどボスも手ごわくなり、その分お互い声を掛け合って工夫して戦い、まさに2人での達成。エンディングを見終えた後には2人とも高揚感に包まれていて、思わずハイタッチをしました。

順調にいけば1ヵ月前後でクリアできた計算ですが、息子の自発性を大切にした結果、9ヵ月もかかってしまいました(笑)それでも、自分の意志でやりたいと言って、ゲームとは言え困難に立ち向かい、その過程で精神的に成長し、そしてやり切りました。この”自分の意志でやり切った”という経験、感覚が、とても大切だと思います。また、最初の方に書いた本作の綺麗な世界や登場キャラクターとの交流なども、心に優しいものになったと思います。

”受動的なYoutubeから、能動的な意思”という狙いは、このゲームによってもたらされたのかどうかはわかりませんが、かなり育ってきていると思います。好奇心旺盛で親が困るくらいたくさん細かく質問をしてくるし、本や図鑑から得た知識はすでに大人以上の分野もあります。インプット、アウトプット(しゃべる)がいかに大切か、息子によって思い知らされています(笑)
古い考え方になるかもしれませんが、近年増え続ける受動的な遊びやメディアは、付き合い方をしっかりと考えなければ、自分というものを見失ってしまうのではないかと思っています。とはいえ、時代は時代。規制しすぎたり、コントロールしすぎるのもまたよくありません。ただ、ちゃんと自発的で能動的な意思も育ててあげるのは、親の役目だと思います。

また、ゲームに限らず、最近は”息子と一緒に何かを経験する”ことを意識して行動しています。息子にとっての経験のみならず、僕にとっても純粋な視点やスローな感覚を養うきっかけにもなっています。息子がいなかったら、もっと社会に乗っかってせかせかと、狭い世界を突き進んでいってしまったかもしれません。息子がいるからこそ、せっかちな世界から引き戻され、視野が広がっていると感じています。
そして、父と子で一緒に達成したことが何よりとても良い想い出であり経験です。「ここ、ビビっていて進めなかったよね」とか「ここ、息子くんが見つけたんだよね」とか、各ステージに2人の想い出が散りばめられています。何だかんだ言って、僕の今の生活は息子によって彩られてる、救われてるなと思いました。

これからもこういうこと、増やしていきたいです。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集