DL Japan 2024 「Deep Dive Part 1 “エクセレンスを追求する学び方 〜Model & Critique モデルと批評〜” by Ron Berger」
Deep Dive Part 1 “エクセレンスを追求する学び方 〜Model & Critique モデルと批評〜” by Ron Berger
前回、前々回の記事はこちら
ロンからの美しい作品の紹介の後、“エクセレンスを追求する学び方〜Model & Critique モデルと批評〜”と題して、モデルがあることと批評があることが「どう子どもたちの学びを助けるのか」、そして「子どもたちが美しい作品をつくることへの誇りをもつ学校文化の形成の鍵になる理由」について考えた時間だった。
このセッションで強く感じたことが、今回のワークショップで一番考えさせられたロンの人格について。
まずこの動画をみてください。ロンを有名にした、オースティンの蝶々の動画です。
動画の中で、最初のドラフトを提出した子どもに対して先生がかけた言葉が「いいスタートを切りましょう」だった。
僕はこの言葉の深さを痛感した。安易に褒めるわけでもなく、至らないところを指摘するでもない。ここからあなたの成長(変化)が始まるね。という声かけが素敵すぎた。
実はこの言葉がけが成立する種が複数ある。
1つは課題の量が少ないこと。だから1つの課題の質を時間をかけて追究することができる。
もう1つは、PJ開始時の子どもたちとどんな作品を作るか話し合って決める際に、子どもたちとどの程度素案が必要そうか一緒に考えるらしい。この時間はめちゃくちゃ重要だと感じた。ここで何回も作り直さないと納得できるものはできないよねという双方の同意があるから、「ここがスタートだね」という声かけが成立する。
もし何も相談せずにこの声かけだけを日本の学校でやったら…笑
この最初に行う子どもたちとの相談(取り決め)を丁寧にする必要があるなと感じた。
ロンは「意図が大事」と言う。美しい作品をつくることがゴールなのであれば、1回でできるはずがない。世にある美しい作品は全て、たくさんの人が協力して、何度も作り直されて私たちのところに届けられている。美しさを追究したり、何かの上達をめざすなら、トライしてフィードバックをもらってまたトライして…のループが当たり前。
この批評(フィードバック)を学校の中で行う時、
・オープンにすること
・一方通行にせず何往復かすることが大事
が学校の文化をつくるきっかけになる。
いい作品を皆で見て「なぜいいのか」、具体的なストラテジー(方策)を分析したり、何度も草案を作り直すことで作品にどんな変化が起こったかを皆で一緒に共有することが必要なんだと思う。
この動画は先ほどの蝶々の動画にでてきた子どもが1200人のオーディエンスの前で学校で学んだことを話してくれている動画。動画をみている私たちも心の中で「がんばれ〜!」って応援する気持ちになった暖かい動画だった。
この後はスピードデーティングというアメリカで異性のマッチメイクをする時の方法を模倣した、ライティングの批評方法で複数の作品を使って、実際に批評の練習をした。
まず「〇〇という点についてのみ批評をしてください」と焦点を絞る。
そして、5分読む、5分書く、5分フィードバックする。
このワークをした後にグループで話し合って印象に残っていることは、
・批評がほしいところを本人が絞って提案することの重要性(焦点がないと粗探し合戦になりがち…)
・フィードバックのリフレクションの時間(自分のフィードバックが他者の作品に反映されているかどうか完成品を見て自分でリフレクションする時間)って大切かも。その時間があればフィードバックの質が上がり、製作者の視点に立ったフィードバックができるようになる気がする。