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DL Japan 2024 「Keynote speech“Beautiful work 美しい作品” by Ron Berger」その2 美しい作品の例

前回の続き…
今回のテーマは「ロンの言う人格」について(を書こうと思ったけど、事例紹介で疲れて次回に持ち越し…笑)。
ロンの言葉の引用ではなく、彼から出る教え子とのエピソード、話すスピード、表情から「教師として本当に大切なマインド」に気付かされた。
そんなことについて記録を残したい。

美しい作品の例

「あなたはリスペクトできる作家です」


里親をみつけてもらうために…

アメリカの9〜10歳の学年のPJ。動物愛護団体と協力して、里親を探している動物たちのために、その動物の絵とその子のストーリーを載せたポスターを作成。
多くの人に見てもらうために、人々が足を止めるような場所に展示した。
その結果、学校に電話が来て、その子たちの里親が見つかった。
このPJは、子どもたちが「社会を変えていけるという実感」を感じられるPJだった。
PJを終えた生徒にはマインドの変化があった。ある子は、「この経験をしたら、もういい加減な作品はつくれない」と言っていたそう。

たぶん元の資料はこれのはず…

コミュニティを驚かせるような素晴らしい作品を作った生徒たちは変わります。
自分の可能性や能力、そして自分自身に対する新たな誇りを持つようになります。
新たな使命が生まれるのです。
美しい作品を生み出した誇りと達成感から、学校に対するより深いコミットメントが生まれます。
ワークシートやテストでどんなに高い点数を取っても、この生徒の輝かしい笑顔が物語るような、学びに対する心からの主体性を引き出すことはできません。

COVID-19と戦う医療従事者をエンパワーするために

COVID-19の影響で医療従事者の疲労感が気になる…
何かできない?実際に患者さんに聞いてみた。
待合室の壁に何もないから絵でも貼って欲しい。
スタッフの絵を描く
中にはアメリカのスーパーヒーローに模した絵も。

ホームレスも人間である

Lはlonely。私はlonely、誰も私に気が付かないから。
Hはheart。ホームレスの皆もheartを持っている。彼らは他のホームレスを助ける。

話を聞いていて、最も心に残り、PJをやる意義を考えさせられたPJ。
このPJは生徒発信のPJらしい(それがすごい…)。
地域にいるホームレスの方がどんな人なのか、どんな生活をしているのか知らない。
子どもたちが実際に会いに行って話を聞く(日本ではここに大きなハードルがある…)。
子どもたちは、「ホームレスの方が尊厳を失っていることに気がつく」
詩(A~Zの文)✖️絵で、「ホームレスも人間である」と訴える。
作成した本をワシントン中の学校へ。
PJ後の生徒インタビューでは…
「何が変わった?」
「最初は怖いと思っていた。でも今は友達だと思っている」子どもたちの中でマインドの変化が起こっていた。

ロンが国内の学校の視察をしていると、ある教師から「自分があの本のHのをかいた人です」と声をかけられた。

この取り組みは中々真似できない。というか真似してもロクなものにならない。
彼らが生活する環境、その社会がかかえる問題に真摯に向き合う題材。
Equityの精神がしっかりないと、変な解釈に陥りかねないPJ。
この題材を生徒が持ってきた時の先生の反応がどんなだったのかが気になる。
相当の想いと覚悟がないとなかなか扱えない…
でもだからこそ人の心を動かすし、社会的な意義がある。
社会的な意義と言っても、別に社会を変えなくていい。社会について考える時の見方が変わればそれでいい(たぶんんそんなニュアンスのことを言っていた気がする…メモにはなかったから不安…笑)

ヘビPJ

生徒が作成した電子ブック

PJデザインの内容

最終成果物の動画

ヘビについて研究して、電子ブック(イラスト+文+音楽)を作成。
このPJ にはこれまで紹介したPJと違って社会的意義は特にない…笑
でもなぜか子どもたちの学びに対する欲求は他のPJよりもずっと高いような気がした(僕自身がヘビの探究という意味のわからなさにワクワクしてみていたからかもしれないが…)
この先生はなぜヘビを題材にしたのかをロンに聞くと、
「まず子どもたちが動物のことが好きだった。教室に持って来れる動物がよかった。別にヘビじゃないといけない理由はなかった。その先生はヘビについて詳しいわけではなく、むしろPJ開始時はヘビが怖かった。ヘビが怖いという子どもたちと一緒の気持ちを持ちながらこのPJを行うことが、子どもたちにヘビを扱う勇気をもってもらうことにつながると思った(これはちょっとこじつけっぽい…?)」
この例から、教師は必ずしも対象の学習材について専門家である必要はないと感じた。専門家は外から連れてきたらいい。むしろ生徒と近い目線で学習材と向き合えるというメリットがある。
社会的意義はとても大事だけれど、子どもたちの自然な学びには社会的意義ありきの学びは不自然だと思う。
きっと子どもたちはこのPJの立ち上げの時、「え?ヘビ!?なぜ!?」という疑問しかなかったと思う。でも実物を観察したり、スケッチしたりすることで、「もっとヘビについて知りたい!」という学びへの欲求が駆り立てられただろう。
このPJでヘビについて学習する過程で、ヘビの種類や生態だけでなく、物語などでヘビが何を形容するものとして扱われてきたか、などまで学びを広げていったらしい。
個人的には、一見意味なんてなさそうな学びにとりあえず取り組んでいたら、気がつくと没頭してた。そしてその過程で社会的な意義についても子どもたちがそれぞれ勝手に感じてた、みたいな学びが素敵だなと感じる。
「教師として本当に大切なマインド」について書こうと思っていたが、ロンの事例の紹介でこんな量になってしまった。この内容を聞いて僕自身が何を感じたのか、については次回にしよう。

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