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【温泉】アイスランドのブルーラグーンはやっぱりすごいという話
仕事を辞めて久々に長い休み(有給消化期間)ができたので、20日間余りの海外旅行に出ることにしました。最初の目的地アイスランド滞在の締めくくりは、やはり同国を象徴する温泉施設。
はじめに
前回に引き続き、アイスランド旅行にまつわる話。アイスランドには2024年7月初旬から、都合4泊6日を過ごした。泊数と日数に2日のずれが生じているのは、同国を発つ便が最終日の日付が変わった直後だったためだ。
さて、滞在の最後は、ケフラヴィーク国際空港近くにある「ブルーラグーン」を訪れることにした。
ブルーラグーン(Blue Lagoon)というのは、世界最大規模の露天温泉施設で、その広さは5000平方メートル以上にも及ぶ。青みがかった乳白色のお湯が特徴で、水着着用でゆったりとくつろぎながら名物の泥パックでスキンケアしたり、温泉につかりながらお酒を飲んだり、あがってレストランやマッサージを楽しんだりと、豊富なレジャーを楽しめる施設になっている。
なお、誤解されがちだがブルーラグーンは天然温泉ではない。とはいえ、成り立ちにはアイスランドの地熱資源がやはり大きくかかわっている。以下のブルーラグーンの成立経緯は公式サイトと、同国の旅行会社の記事を参照した。
参考:ブルーラグーン公式ウェブサイト(https://www.bluelagoon.com/about/our-story)
Guide to Iceland
ブルーラグーンの成立経緯
1970年代、ケフラヴィーク近郊でスヴァルスエインギという温水採掘施設が稼働を開始した。夏場でも気温が20度に達しない日がほとんどの寒冷なアイスランドでは、地熱を家や建物の暖房に利用することが昔から行われており、この施設では海水を含んだ高温の水を、真水を温める目的でくみ上げていた。
真水に熱を移して冷めた海水は、施設の外の溶岩質の大地にそのまま廃棄されていたが、この海水が含んでいたシリカ(珪素酸化物)が冷えて水と分離し、溶岩に空いていた小孔を塞いだことで、溶岩を器として池のように水が溜まっていったのだという。シリカ質によって独特の色味が生じ、皮膚病に対する薬効も確認され、世界有数の温泉施設として本格的に開発されて今に至るというわけだ。
訪問時にも、ブルーラグーンの近くの大地からもうもうと煙が昇り、今でも足元では活発な火山活動が展開されていることを予感させた。また数か月前にも、近隣にある火山が噴火したことでブルーラグーンは一時的に営業を休止していた。
(参考記事:在アイスランド日本国大使館)
https://www.is.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_00205.html
日本も然りだが、火山国というのは温泉や地熱資源の豊富さと裏腹に、こうした災害リスクも抱えていることを思い知らされるニュースである。
入場券と交通手段を併せて事前予約がマスト
まず、これだけは言っておきたい。ブルーラグーンには、絶対に数日前に予約してから行ってほしい。筆者は、本来到着日に空港から直接訪れる予定だった。空港でブルーラグーン行きのバスを予約したまではよかったのだが、体験記等を読んで「え?予約いるの!?」と気づいた時には施設のほうの予約がいっぱいになってしまったという事態が生じた。完全にリサーチ不足である。
ただ空港のカウンターで相談したところ、行先変更はできないが日時変更は可能とのことで、日程だけ変えてもらって空港から市内に向かうバスを別に手配することで事なきを得られた。
入場券の予約は公式サイトから簡単にできる(下記公式サイトリンク右上:画像赤枠部分)。
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入場券は3種類あり、一番リーズナブルなコンフォートプランで11,490アイスランドクローナ(ISK)で、日本円に換算すると約13,000円。(1ISK=1.15円で換算。24年9月の日程での調査。季節や時間帯によって可変)
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最も安いコンフォートプランでも泥パック1回分と園内でのドリンク1杯分が含まれるので、数時間滞在するだけなら、これでも支障ない。筆者はプレミアムプランという、コンフォートプランに加えてバスローブ、泥パック追加2回、ドリンク追加1杯が含まれるプラン(最低価格で約16,500円)にしたが、バスローブはほぼ使う機会がなく、泥パックをいろいろ試せる程度の利便性しかないので、あえてこちらを選ばなくてもよい気がする。
ちなみにアイスランドは、日本以上にキャッシュレスが徹底されていて、有料トイレすらもクレジットカードのタッチ決済で済むくらいなので、当然のようにカード決済できる。
決済が完了すると、以下のようなメールが届くので、これをスクショかなんかしておいて受付に提示すれば入場できる。ちなみに入場枠は1時間ごとに区切られていて、遅れると入場できないという情報もあるので、遅れないように注意されたい。
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入場券を確保したら、次は交通手段を抑える必要がある。アイスランドの場合は国際免許証を使ってレンタカーでの周遊も有力な選択肢だが、ここでは公共交通機関での移動について述べる。
出発地は、おおむねケフラヴィーク国際空港か、首都のレイキャビクに二分される。いずれもブルーラグーンまで車で40分程度なので、アクセスは良好だ。ネット予約ももちろんできるが、空港の到着ロビーでも複数のバス会社が窓口を持っていて、カウンターでの対面か、自動発券可能なキオスクで予約ができる。
市内から向かうバスは、市内の中心部から少し外れたところにあるバスターミナル(通称Bus Hostel Reykjavik)から出発する(下記地図参照)。トランクにスーツケースも載せられるので、荷物が多くても安心だ。
中心部から歩いていけないこともないが、ターミナルのあたりはジャンクションっぽくなっていて車通りも多く、直線距離以上に時間がかかるので、あまり徒歩ではお勧めしない。なお、送迎方法によっては、市内のホテルからミニバスでピックアップしてもらうこともできるはず。
入場~温泉利用まで
市内か空港からバスでやってくると、施設入口付近の大型の駐車場に止まる。スーツケースなど、大型の荷物は駐車場そばのストレージに預けられる(1つあたり800ISKとのことだが、実際には1つのタグでまとめられる範囲なら1つ扱いになるので、スーツケース+お土産の紙袋とかでも800ISK=910円)。駐車場から徒歩順路を数分歩いて、施設の入り口にたどり着く。ある程度の大きさのリュックなどはロッカーに入るので、そのまま持って入ってよい。
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入場の手続は上で書いた通り、予約番号を示せばあとは係員が説明してくれる。ちなみに筆者の時は、日本語をちょっとだけ話せる係員が担当だったが、「日本人って結構来るの?」と聞いたら「そんなに来ない」とのことで、説明は英語だった。それもそうか。
一般的な説明を受けたのち、ここでリストバンドを発行してもらう。このリストバンドで、ロッカーの開閉や、プランに含まれない追加料金の精算などができるという優れもの。水着を持ってきていない場合はここで借りることになると思われる。温泉から上がる際に係員に言えばバスタオルがもらえるので、タオルを持参する必要はない。
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リストバンドと(結局使わなかった)バスローブを受け取ってロッカーへ。
ロッカーは空いているところを好きに使ってよいシステムだが、最初よくわからなかったので詳細に書いておく。
着替えてロッカーに荷物を入れてからロッカーを閉めると、最寄りのタッチパネルが10秒ほど点滅するので、点滅中にリストバンドを当てると施錠される。逆にタッチパネルにバンドを当てると、施錠中のロッカーが開く仕組みだ、もちろん何回でも開閉可能。
前回の記事(リンク)でも書いたように、温泉に入る前は全裸になって石鹸でシャワーを浴びて体をきれいにしなさいと言われる。言われた通りシャワーを浴び、階段で1階に下がると、ブルーラグーンへの入口がある。入口は大きなものと、小さなものとあるが、どちらから出入りしても一緒だ。
温泉を楽しもう
入口からすでに広大な露天風呂が広がっている。お湯の温度は38℃程度を基準に、一番熱くても40℃を超えないくらい。夏でも20℃に達しない現地の寒い気候と相まって、ひたすら長湯できる。
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また、シリカや火山灰を使った泥パックも名物。ブースで係員からスプーンですくって手のひらに乗せてもらい、顔に塗ってから洗い流すというもの。
筆者が選んだのが3種類までパックを体験できるプランだったためかわからないが、最初は火山灰を練りこんだ黒っぽいのをもらえた。塗って3~5分程度してから流す。ほかにも、もっともベーシックなシリカのみのパック(こっちは10分くらい放置してから流す)や、藻類を混ぜたパックなど5種類ほどが用意されている。
ブルーラグーンのお湯は海水交じりなので、目に入ると当然痛い。泥パックブースの近くに真水の出る蛇口が2基設置されているので、そこで流すことになっているが、みんな集まるので混雑する。
なお、カメラやスマホの持ち込みも自由なので、好きに写真を撮ってもよい。ただ、湿気と万が一の落水にはくれぐれも注意。水が濁っているので、探すのも一苦労だ。
※入っているとき時々足先に何か触れると思ったが、たぶん落水した飲み物のプラスチックグラス
温泉内と、館内にそれぞれバーがあり、アルコール・ノンアルコールとも多様な品ぞろえから選べる(プランごとのドリンク上限は2か所で共通)。フローズンフロートっぽいのもあった。温泉旅館で日本酒の入った徳利とお猪口を盆に浮かべて~みたいなシチュエーションの洗練されたバージョンみたいなのができるわけで、否応なくラグジュアリー感も出る。
ちなみに、温泉から上がって服に着替えてしまうと館内のバーが使えなくなってしまうので、チケットについてくる既定のドリンク杯数を使いきれなかった場合は受付に申し出ると、引換券を発行してもらえる。
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終わりに:なんだかんだ言ってブルーラグーンはすごい
世界最大の露天風呂、ブルーラグーン。もはや銭湯ではなくスパラクーア、というかそれ以上に高級な温浴施設。同国に来たからには、じっくり時間をかけて堪能したい。
筆者は町中の銭湯を愛好するので、完全に観光地化されたブルーラグーンをちょっと甘く見ていたところもある。とはいえ、神秘的な青白い水面がどこまでも広がる光景は、世界でここでしか見られないだろう。
ついでに、ただでさえ旅行中で荒れがちな肌も、少なくとも温水と泥パックのおかげで、その後飛行機で次の国に着くくらいまでの間はつるつるになった。
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ここまでお読みくださりありがとうございました!