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【温泉】隠れ温泉大国?ブルガリアのスパに行った話

仕事を辞めて久々に長い休み(有給消化期間)ができたので、20日間余りの海外旅行に出ることにしました。アイスランドに続いて訪れた東欧のブルガリアでも、地元のスパを楽しんできました。

アイスランドの記事はこちら↓

ブルガリアってどんな国?

ブルガリア、日本では明治の「ブルガリアヨーグルト」、大相撲の元大関の琴欧洲(現:鳴門親方)、男子プロテニスプレイヤーで元世界ランク3位のグリゴール・ディミトロフなどで知られている国だが、2015年時点の日本からの入国者数はわずか1.2万人(うち観光客数は約1万人)と、日本から見ればまだまだマイナーな国と言っていい。ちなみに、2024年5月単月で日本からのアウトバンド旅行者数が最も多かった韓国への出国者数は278,423人と、比べ物にならない数であった(出所:在ブルガリア日本大使館JTB総合研究所)。

ブルガリアは北にルーマニア、南にギリシャとトルコと国境を接している。東は黒海に面したリゾート地もあり、夏の時期はバカンス客でにぎわう。面積は日本の約1/3で、西部に位置する首都ソフィアからバスや鉄道で多くの都市にアクセスが可能。

ブルガリアの地勢図(出所:外務省ウェブサイト

同国はいわゆる東方正教会(ブルガリア正教会)の長い伝統を持つが、現在もトルコと隣り合っているように、14世紀から19世紀の長きにわたってオスマン帝国の支配下にあった。このことから、キリスト教とイスラム教との折衷的な文化所産を各地に見ることができる

さらにブルガリア語で使われる文字はスラブ地域で広く用いられるキリル文字だが、これはブルガリアで発明されたものだ。同国のEU加盟に伴って英語アルファベット・ギリシア文字に続いて欧州の公式な文字となった。文化的にも、欧州で非常に重要な位地を占める国なのである。

サパレヴァ・バニャの温泉スパでリゾート気分

さて、首都のソフィアの南方、車で1時間程度走ったところに、「サパレヴァ・バニャ」(Сапарѐва ба̀ня / Sapareva Banya)という小さな街がある。

サパレヴァ・バニャは天然温泉が湧いており、国内有数のリゾート地になっている街だ。今回は見ることができなかったが、間欠泉もあるそうだ。なお「バニャ」は温泉や風呂を意味する言葉で、ヤングジャンプ連載漫画の「ゴールデンカムイ」でも、ロシア式サウナを「バーニャ」と称していたのと同じである。

現地ツアーを利用して、近隣の世界遺産「リラの修道院」(Рилски манастир)と、このサパレヴァ・バニャの天然温泉を用いた大型のスパに行ってきた。

「Hot Mineral Pools」と書いてある看板

入場料は30レフ(約2,600円、1レフ=88円として換算)。うち10レフはデポジットなので、出る時に返してもらえるので、実際の費用は1,600円程度。支払いが済むとリストバンドとロッカーキーを渡されて、入場ゲートにタッチして入り、割り当てられた脱衣所のロッカーで着替えたら、あとは自由に楽しめる。ちなみに、脱衣所やロッカーは入ってすぐのところ以外にも園内に複数あるので、自分のロッカーキー番号を参照して探す必要がある。

プールの様子

見た目以上に奥行きがあって園内はかなり広い。某とし〇えんやスパリ〇ートハワイアンズなどを思い浮かべてもらえればよいが、深さがさまざまなプールが3つあり、周りにビーチチェアとパラソルが数多く設えられている。

現地の最高気温は35℃を超えたよく晴れた日のこと、プールで泳ぐ人あり、チェアで焼いたり昼寝したりする人あり、さらにバーやレストランで飲食する人あり、欧州のローカルな避暑地といった風情だ

まさかの交互浴@ブルガリア

もちろん、ここを訪れたのはプールでぱちゃぱちゃやるためだけではない。園内には複数の温水ジャグジーや、本格的な温泉浴槽もあるのだ。サウナもあるとのことだったが、残念ながら故障中で入れなかった(アイスランドの市民プールでも入れなかったし、結局この旅でサウナに入ることがなかった)。

温泉(あつ湯)浴槽

上の写真は天然温泉の浴槽で、体感で40℃超と、都内の銭湯に慣れきっている筆者からしても熱め。浴槽床のタイルや、壁面のレンガ使いといったデザインが日本とは根本から違っていておしゃれだ。なぜか奥に仏像が置いてあるのはタイ風リゾートの雰囲気を出そうとしているのだろうか…?

そして素晴らしいことに、すぐ隣に水風呂があるのだ。温度が13-15℃とかなり冷たくなるよう管理されていて、なおかつ足がつかないくらい深くて、泳ぐようにして使う。日本の銭湯ではなかなかないタイプの水風呂で、温水プールと違ってしっかりクールダウンができるのである。さらに、寝そべるためのビーチチェアが使い放題。まさか海外の、しかも遠いブルガリアで交互浴ができるとは、想像だにしていなかったポジティブサプライズだった。

温泉(手前)と水風呂(奥)

これ以外にも、洞窟風呂的なジャグジー、プールの中の打たせ湯や座風呂など、日本の銭湯らしい要素も多々あって、このあたりの設備は万国共通なのかと感じながら面白く楽しめた。筆者もプールで泳いだり、あつ湯→水風呂の交互浴のサイクルを2回ほど後、パラソルの下でのんびり過ごした。

ゆっポくん@ブルガリア

(補足)水資源豊富なリラの地

前述の通り、近隣には世界遺産に指定された正教会のリラ修道院がある。ブルガリアで今なお崇敬を集める聖イヴァン・リルスキが10世紀に創建したと伝えられ、急峻な山地に多数の修道僧が集まり住んだと言われている。大火で往時の建物はほとんど消失してしまったものの、オスマン帝国支配下からの復興期に修復され、現在に至っている。

リラの修道院

車でぐねぐねとした山道を登って行った先にある修道院は、ブルガリア1の高峰に由来する豊富な水資源を有する土地にあり、敷地内の蛇口からは天然のミネラルウォーターが滾々と湧き出ていて、汲んで帰る旅行者も目立った。

ミネラルウォーターの出る蛇口

豊かな温泉は首都にも

さて、同国の首都ソフィアにも、今なお温泉が湧いている。首都中心部の「セルディカ」周辺には、ブルガリアの歴史について展示する博物館があるのだが、この建物はかつてオスマン帝国支配下での公衆浴場(バニャ)だったのである。

元・中央公衆浴場の博物館

残念ながらすでに浴場としての機能は失われて久しいが、この建物の周りにはいくつか蛇口が設置されていて、無料で30℃台後半から40℃ほどの温泉を汲むことができる

湧き出しているのは温泉。温かい

筆者が訪れた時も、中国人旅行者と思しき観光客がペットボトルにお湯を組んで持ち帰っていた。

温泉を汲む旅行者たち

さらに、隣には、イスラム教のモスク「バニャ・バシ・ジャーミィ」がある。バニャはすでにご案内の通り、浴場のことだ。このように公衆浴場の名前を冠した建物が現在にも残っているなど、ブルガリアはあまり知られていないが、実は温泉や風呂文化を強く保持している国なのだ。

ここまでお読みくださりありがとうございました!

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