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【絵本はスンゴく面白い!】第5話 なむちんかむちん

※この記事は2021年1月に執筆した記事に加筆・修正したものです。

どうもこんにちは、絵本専門士のMATSU-Gです。
そしてあけましておめでとうございます!2021年がスタートしましたね。今年も絵本で皆が楽しいひとときを過ごせたらいいな、もっと絵本の魅力を伝える場が増えないかな(仕事も)と思っている私です。
今年最初のテーマは「おくちであそぼ」ということで、言葉遊びやオノマトペの特徴的な絵本をチョイスしているのですが、今回のピックアップ『なむちんかむちん』はその中でもかなりのお気に入り!
この文を読んで少しでも興味を持った人は、まずは読もう!読みましょう!
個人的コミュニケーション絵本の傑作中の傑作です。
https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=5363

『なむちんかむちん』
作:柳生弦一郎
発行所:福音館書店
発行年:2017年7月

〈やぎゅう流イラストの妙!〉


 少なくてはっきりした線と、極力まで簡略化したからこそ出せる愛嬌のある登場人物の表情。作者の柳生弦一郎さんの真骨頂である絵の魅力がどこまでも続いている一冊です。絵本のことに詳しくなくとも柳生さんの絵を事を知っている方は、きっと一目見たときから「あ、これはあの人の本じゃない?」と思うことでしょう。シンプルだから自分でも書けるんじゃないかしらって思えるのか、絵本を気に入った子が登場人物を真似しようとする姿も見られたりします。
 柳生さんといえば『いーはとあーは』『おっぱいのひみつ』のような身体の仕組みについて描いた作品が思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。実はそれと同じくらい、今回のように食べ物が主役として出てくる作品も結構あったりします。どれもシンプルかつ味わいのある美味しいそうめんのようにさわやかで食べやすく、でもまたすぐ食べたくなるものばかりです。今回の『なむちんかむちん』も言うに及ばず、その魅力が全開に出ています。
絵と言葉の楽しさが沢山詰まっていて、1回読むのもあっという間。でも何度も読みたい、一緒に読みたい、声に出して読みたい!読みたい読みたい読みたい!となること請け合いです。「こどものとも」の月刊絵本の一作品のため、今は入手困難なのがほんっっっとうに勿体ないです!!!!!

〈大人たちの強烈なキャラ設定〉


 まずタイトル「なむちんかむちん?なにそれ?」となるのがまあ普通の反応です。それは正しいです。でも読んだらもっと混乱することでしょう。大人の目線ではいけません。
一応調べたところ『あのね和尚さんがね(おしょさんがね)』というわらべうたの歌詞の一部に「なむちんかむちん」というフレーズがあるようですが、この絵本が関係しているかは定かではありません。どうもお経の一節っぽいんですけど、それがそのままおばあさんの呪文になっていると考えると結構納得です。50へぇくらい。
 お話としては、大きくなりたい野菜の子ども達がみかんのおばあちゃんによる「なむちんかむちん」のおまじないで大きくしてもらう、というもの。その中でそらまめ君だけ大きくなりすぎてしまいめちゃくちゃ困ってしまうのですが、みかんのおばあちゃんは「きょうはもうねーむーたーいー」と言って寝てしまいます。何という適当さ!
そのあとで出会うにわとりのおばさんや、そらまめ君のおかあさんもいいキャラしてます。特にそらまめ君のお母さんは不安な息子をよそに
「おおきいままでも いいんじゃないの おかあさん おおきい おふとん つくってあげるわよ」
とどこ吹く風です。息子が巨大になっても微動だにせず「あらあら」くらいで済ます力、肝っ玉の小さい私は実に真似したい…。にわとりのおばさんのご近所さん風な空気感も最高なので必見ですね。
基本的に大人と言える人物は3人だけ出番もさほど多くはないですが、その誰もがインパクトあります。また続編をつくってほしい。

〈浴びるほどに楽しい言葉のイリュージョン〉


 そしてこの絵本最大の特徴が、独特な言葉の演出。全部ひらがななのでどのページでも文字だらけ!2番目のおまじないを唱えるところなんかは赤バックに見開きで魔法の言葉が書かれているので初見だと「圧が凄っ!!」となりますが、読んでみるとまあこれがしっくりくることくること。絵本は常々「誰かに読んであげなければ本当の魅力は伝わらないものも多い」と思ってますが、私は『なむちんかむちん』こそ、その最たる物だと思います!これは絶対に絶対に声にだして、誰かと一緒に読んでください!


出来れば5回以上読んでください!!
子ども達が覚えてきたら、ゆっくりめのペースで一緒に魔法の言葉や「せーの どーん!」の部分を声を出して読んでください!!!
読めば読むほどちりばめられた言葉の面白さや、絵に隠された細かい演出の凄さに気がつくはずです。

「あしたあしたあした」「おおきすぎる」のような作品全体として同じ言葉を何度も連続でだしているので、目で読んだだけでは「何でこんなに言葉が多いんだろう?一個でいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、言葉に出して読んでみると理由に気がつくでしょう。あ、これいいなぁ!と思ったら、既に私達はもうやぎゅうワールドの術中にはまっていることでしょう。
 すみません、あまりにも話したいことがありすぎで全然語りきれないのでかなり消化不良ですが、皆さんとにかく楽しんでください。絶対ですよ!一応非売品なので大事にしてほしいですが、でも全力でおもしろがってくださいね!!(あまりに語りたかったら別で何か書くかもしれません)

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
絵本専門士のMATSU-Gでした。


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