11月下旬からドル円は円高傾向。2025年にかけて米国金利は利下げが見込まれているものの、12月に日銀の利上げが見込まれているため、短期的に円高になっているものと思われる。
Pivotにおける藤代さんの見解
なぜ米国は利下げが見込まれているのか?
アメリカで2024年末から2025年中頃にかけて利下げが進むと予想される理由は、以下の要因による。
1. インフレ率の低下
2022年半ばに7%を超えていた個人消費支出(PCE)価格指数の上昇率は、2023年半ばには3.3%まで低下し、その後も緩やかに減少している。特に、エネルギーや食品を除いたコアインフレ率は2024年半ば以降2.7%前後で推移しており、インフレ圧力が和らいでいる。
2. 労働市場の安定化
失業率は低水準を維持し、雇用市場は安定している。しかし、賃金上昇率の鈍化が見られ、これがインフレ抑制に寄与している。労働市場の安定は、FRBが積極的な利下げを行う余地を提供している。
3. 経済成長の減速リスク
一部の経済指標は成長の減速を示唆しており、FRBはこれを防ぐために金融緩和策を検討している。特に、製造業の活動低下や消費者支出の伸び悩みが懸念材料となっている。
4. 政策の不確実性
2024年の大統領選挙結果や新政権の政策、特に関税や移民政策の変更は、インフレや経済成長に影響を及ぼす可能性がある。これにより、FRBは慎重な利下げを進めると予想される。
5. グローバルな金融環境
他の先進国でも利下げが進行しており、アメリカが高金利を維持するとドル高が進み、輸出競争力の低下を招く可能性がある。これを避けるため、FRBは利下げを検討している。
これらの要因を総合すると、FRBは2024年末から2025年中頃にかけて段階的に利下げを行い、政策金利を3.75%程度まで引き下げると予想される。ただし、インフレや経済成長の動向によっては、利下げペースの調整や一時停止の可能性もある。