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「生命の車窓から2」を読んで
星野源さんのエッセイ「生命の車窓から2」を読んだ。
唸り声のような、ため息のような声を漏らさないように読むのが大変だった。
昼休みに職場で読むし、家は家の人の目が気になる。
満身創痍で生きる人が書く人生の記録は、力強い筆致だった。
既刊のエッセイ集「生命の車窓から」も好きだが、文章力は格段に上がったし、人としての覚悟や実績が文章にもよく表れていた。
そう、この人はこういう姿をみせる。
発展途上の自分、成長の過程、傷つく様、立ち上がる姿、浮力を受けて飛び立つ瞬間を。
有名になり、知らない間にこわばっていた心を友達の支えでほぐした話。
夢中になり、身を削るように仕事をしてしまう性分だからこそ、必死に逃げ場をつくろうとしている話。
死を意識するほど追い詰められ、けど本当に死を目の当たりにしたから、あの先には安楽どころか何もないと踏み止まる話。
パートナーとの何気ないひとときに、我を取り戻す話。
どれも、彼を信じて支えられているファンとして、嬉しさや感嘆や安堵の息を吐いた。
衝撃映像がテレビで流れると、強い引力で目が奪われ、瞬時に被害者の気持ちになり、泣き叫びそうになるという話も興味深かった。
Netflixの「LIGHT HOUSE」でドッキリ番組が苦手だと話していたことも思い出した。
息子にも同じようなところがある。警察24時をみると、逮捕されている人や警察官に気持ちが引きずられ、興奮して泣き出す。そんな風になるなら、みなければいいと伝えても、不可抗力で目が釘付けにされている。
彼にこの話をすると、「俺とおんなじ!!」と自分だけじゃないことに、安堵していた。
彼らは生きにくい。
けど、彼らのままで尊い。
あちこちに痣をつくり、不器用に立ち回りながら、必死に前に進む。
普通じゃないけど、普通じゃないことで、いろいろな人の心を揺さぶる。
落ち込んで、立ち上がって、傷ついても、人のためと思った方がモチベーションが上がる。
そういう人たち。
なかなか穏やかには生きられないけど、少しでも穏やかな時間があることを願っている。
そして、器用な人より、人として生きることを味わい尽くしている人なのかもしれないと思った。身体の中がほんのり暖かくなるような気がした。