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ぼくり版『枕草子』

春は散歩。
家に縮こまっていた冬を超えて、暖かくなった日差しの下に飛び出す。防寒着を脱いで、軽くなった体でたくさん動きたくなる季節。
芽吹く植物と、動き出す動物たちを感じれば、私たちも動物の仲間なんだなあと実感する。
散歩ついでに、桜をはじめ色づく花々に目を遣れば、春を満喫できていると感じられる。

そんな中、日々の生活も新しくなり、適度な緊張感とともにフレッシュな気持ちになる。
落ち込んでいた時期を忘れて「また頑張ろう」って思わせてくれる。

桜が散った5月病の頃は、また新たな刺激が欲しくなって大型連休に動こうとするけれど、どこにいっても人ばっかりで萎えてしまうんだなあ。

夏は家。
ひとたび外に出れば、上からも下からも猛烈な熱気と湿気に襲われる。サウナかと思う。あらゆる手を使ってそれから逃れようと頑張るが、なかなか逃れられない。

夏といえば、花火、BBQ、プール。これらを楽しめる季節と思うと気持ちが高まる。が、実際は暑すぎてこれらさえも楽しめなくなってきているのが悲しい。

暑い外から、冷房の効いたお店の中に入る瞬間はとても心地よい。冷気にほてった体が冷やされて生き返る心地がする。
が、ずっとそこにいると今度は冷気に体がやられてしまう。外と中とを行き来すると、寒暖差に体がおかしくなってしまう心地がする。

だから、自由に温度を調節できる家がいい。汗をかくことなく1日快適に過ごしたい。冷房温度を高めに設定して、そこで素麺やかき氷を楽しめば、程よく夏を感じられる。環境にもやさしい。

また、外に出るのが億劫な季節だからこそ、夏休みがあるのは嬉しい。

秋は挑戦。
温度が下がり、一息つける季節。ひんやりした風が体を包みはじめ、ふとんが心地よく感じられる。

植物も紅葉し、夜は虫が素敵な音を奏でている。芋栗葡萄などに関連する秋の食材が店頭に並び、今年はなにを食べようかなとワクワクする。

食欲の秋、芸術の秋、読書の秋、スポーツの秋などいろいろ言われるけども、それだけ夏にできなかったことがたくさんできるようになる季節ってことだ。
気温が落ち着くことは、それだけ人に行動する意欲を取り戻させるんだなと考えさせられる。

それに加えて、いろいろとやるべきことが増える季節でもある。年の終わりを感じ、年末に向けてやるべきことを考え出す。


冬は自愛。
外では刺すような冷気が立ち込め、体の上から下までできる限り布を重ねようとする。植物は葉を落とし、生き物も姿を消す。寂しい季節。
その寂しさを紛らわせようと、夜は町中に煌びやかな灯りが灯る。幻想的で美しい。少し心が暖かくなる。

このような、小さな幸せを色々なところで感じられる季節。
寒い中、暖かい家に帰ってこられること。
炬燵を囲んで、熱々の鍋をつつくこと。
温かい湯船に浸かれること。
ふわふわの布団に包まれること。
ふとしたことが幸せになる。

また、寒い屋外でも、温かい陽射しを浴びて体が温まっていくのも幸せだし、
雪で地面から白く照らされるのもまた良い。
乾燥しているから、明るい時は山々が遠くまで見渡せるし、暗くなれば星が良く見える。
あ、いいなって思える瞬間がある。

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