プラスチックという素材と工芸
削りたての鰹節を食べる機会がありました。
ゴリゴリ、シュッシュッという、硬い鰹節がカンナの歯に当たって削れていく音、立ち上る奥深い香り、軽い舌ざわり。
なんとも贅沢な時間でした。丁寧な生活、豊かな暮らし。
木製のカンナというのも趣がありますね。
木槌でたたいて歯を微調整しながら研いで使い続けるというのも、なかなか玄人っぽくてしびれます。
当然私も「自分で削って食べたい!」となったわけです。
まちの乾物屋さんで鰹節を買い、削り器をネットで物色しました。
そこで気づいたことは、削り器、木製よりも蓋と受け皿がプラスチック製の方が圧倒的に使いやすそうなんですよね。削った量が一目でわかる、水で丸洗いできる、なんなら食洗器OK。口コミでも高評価。
しかし、趣が無い。出して飾っておくなんてもってのほか。そもそも出し入れしやすいように、コンパクトサイズに仕上がっております。
木製のカンナは工芸品と言えなくもない。いやもう工芸品でしょうね。
しかし一部プラスチック製となると、とたんに工業製品感、量産品感が出ます。このプラスチックという素材のせいでしょうか。
もちろん、現代の生活様式に合わせて、より使いやすく進化した広義の工芸品であるとも考えられるでしょう。
しかし、一般的にはプラスチック、樹脂製となると、工芸品ではないと捉える方は少ないのではないでしょうか。
レジンアートというのがありますね。これはアートと名の付くように、伝統的な工芸というよりは現代アートなどの分野に近いように思われます。
一方で、純粋な観賞用ではなく、スマホケースやピアスなど、実際に使うものも多くありますので、使うという点では工芸品とも考えられます。
樹脂が登場する前までの素材が工芸品と捉えるのが自然なのでしょうか。
素材と工芸の関係、やはりかなり密接です。