化粧品業界のAI活用事例10選をご紹介
どのような業界・業種でもAIを活用するには導入・開発前のロードマップを適切に作ることが欠かせません。
自社のどのような課題に対して、どのデータを蓄積していき、業務を改善するのか、それを認識するのが最初のステップです。
その際に参考になるのが、業界・業種別のAI活用事例です。今回は、化粧品業界におけるAIの活用事例を紹介します。
ぜひ、貴社のビジネスの参考にしてみてください。
化粧品業界でのAI活用事例10選
矢野経済研究所の国内の化粧品受託製造市場についての調査によると、2021年度の化粧品受託製造市場(事業者売上高ベース)を、前年度比1.5%減の3094億円と推計しています。
前年度実績を割り込んではいるものの、コロナショックの2020年度のような大きな落ち込みには至らず、新型コロナウイルス感染症と共生し始めた中で、化粧品市況は緩やかに改善の方向に向っていることがうかがえます。
コロナ禍でトレンドとなった新しい生活様式に即した「おうち美容」「おこもり美容」への需要シフトやテレワーク需要にともなう「メンズ美容」など、アフターコロナ時代において、化粧品業界は変革を余儀なくされているのが現状です。
とくに、化粧品業界では、従来、販売面において、店頭での対面接客を重視してきたこともあり、デジタル技術の活用が遅れている点が指摘されています。
一方、これらの分野にAIやARを用いて新規事業に参画する例も近年増えつつあり、「デジタルカウンセリング」や「バーチャルメイク」などで顧客接点を強化する動きが拡大しつつあります。
参考:
以下、化粧品業界でのAI活用事例をご紹介します。
1. これまで難しかった新製品の需要予測を可能にした大手化粧品メーカー
化粧品×需要予測AIの活用で顕著な成功例として、膨大なSKUを扱うある大手化粧品メーカーでは、これまでも需要予測技術を、原材料の発注、工場における生産計画、配送・物流計画などサプライチェーンマネジメントに活用してきました。
需要予測は既存品と新製品で方法が大きく異なることを踏まえ、2014年にベンダーの統計予測モデルのパッケージを導入し、既存品の需要予測では一定の成果を上げてきました。
一方で新製品に関しては、化粧品業界のみならず、さまざまな業種においても需要予測が困難で、かつ効果的な手法が確立されていない状況だったのです。
AI関連さえも、新製品の需要予測にAIを活用した事例がほぼないと聞ききここは成功した時の事業へのインパクトが大きいこと、また個人的にAIがどこまで需要予測に使えるかにも興味を抱き、プロジェクトを社内提案することになっそうです。
これまでは既存品に比べ新製品の需要予測の精度は高いとはいえず、過剰在庫や欠品、すなわち機会損失のリスク傾向が強かったそうですが、とくに過剰在庫については、昨今、地球環境への配慮の観点から削減が強く求められてきているため、サステナビリティと顧客視点の価値向上を同時に実現する手段として、AIを使った予測モデルの開発にはさらに力を入れていくとのことです。
2. 化粧品の商品開発にAIを活用
化粧品開発では、創薬など他の化学製品開発同様、既存処方の知見に基づきながら、素材・原料の選定と実験・試作品の作成、試作品の分析・検査を繰り返して最終的に目的の製剤に至ります。
デジタライゼーションにあたって、大きく以下2点の課題が存在しています。
・膨大な組み合わせからの実験の絞り込み
・実験条件の決定方法
いずれも従来は、実験結果や分析装置からの生データを元に、研究者がこれまでの経験・勘で決定していました。
この2点の課題に対して、データサイエンスの知見をもとに、次の解決に取り組みました。
●AIによる自動解析
マテリアルズ・インフォマティクスによる処方設計の最適化と、解釈性の高い設計を実現しました。
●AIによる実験条件の絞り込み・推薦
マテリアルズ・インフォマティクスの活用により各種評価指標を自動算出し、併せて次に行うべき実験を優先度とともにリストアップします。
検査装置からのアウトプットデータの解析にかけていた研究者の時間が解消され、実験結果の考察により時間をかけられるようになりました。
また、これまでのデータを元にAIによって判定される優先度の高い実験から着手できることで、実験回数が減少し、薬物・分析機器にかかる費用の低減と、開発の効率化・短期化が望めます。
3. 化粧品開発に官能評価AIを導入――「しっとり」や「なめらか」など狙った感触を高精度・瞬時に予測
大手化粧品メーカーでは、バイオメディカル分野のソリューション企業と共同で「感触づくりAI」を構築しました。
化粧品開発で狙い通りの感触を実現するためには、数多くの原料から最適な組成=処方と最適な製法を見極める必要があり、従来は熟練者の経験と勘によるところが多くの時間と労力を要していました。
AIを活用し、処方を入力するだけで、瞬時に高精度で感触を予測できるようになったため、試作回数の削減にもなり、環境にも優しい化粧品開発につながったそうです。
このAIは「しっとり」、「なめらか」、「浸透感がある」など18種類の感触が予測可能。原料や製法も提示されるため。これまでにない新たな感触づくりへの応用にも期待をされます。
高精度で予測できるAIを構築するには、膨大なデータをAIに学習させる必要がありますが、もともと同社は、強みとする新規製法の開発の歴史の中で多種多様な感触を持つ化粧品を開発しており、その中から数百種の処方データと、それらの感触データを最先端のアルゴリズムで学習させることで、未知の処方の感触を予測できるようになったそうです。
構築したAIでの感触予測と実際に試作した時の感触を比べると高い精度で一致していることが確認できました。
4. AIに美容相談
続きは以下、MatrixFlow記事をご覧ください(無料で閲覧できます)。
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