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360℃の熱水という世界
360℃を超える熱水、100℃で沸騰するはずの水が360℃まで上がるなんて…
そんな世界どんな世界だ…
実際、地球上にはそんな世界が存在します。
水の沸点(液体が気体に変わる温度)、水がブクブクと沸く温度は100℃ですが、圧力が上がると120℃や130℃と沸点温度を上げられます。
圧力鍋なんかはその原理を使っていますよね。高温で短時間調理。
逆に富士山など高い山に行くと沸点温度が下がって低い温度で沸騰するようになります。
早くカップラメーン食べられますね。笑
水は
1気圧の時に100℃で沸騰します。
2気圧になると約120℃
圧力を上げていけばどんどんその数字は上がっていきます。
そして360℃を超える沸点。
そう、それは深海です。水深2500mくらいの世界。想像を絶する高圧状態の世界です。
高圧すぎて、なんでもペシャンコです。
そんな世界に熱水が噴出しているところがあります。
地上にも温泉が湧き出しているところがありますが、それと似たようなものですね。
深海にも温泉。
と言うには生やさしい、あまりにも過酷な環境。
水圧もすごいですけど、熱水もすごい。
6、70℃の温度でも熱すぎて触れないのに、360℃を超えるような熱水が噴出しているだなんて、近寄ったらひとたまりもありません。
その前に水圧でペシャンコなので生身では近づくことすらできませんけども…。
そんな環境下でも生き物が生息しているというから驚きです。
エビとかイソギンチャクとかカイとか、その他色んな生き物が…。
深海生物すごい。どんな体の構造になっているんでしょうか。
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深海の生き物は当然太陽光が届かない世界に生きています。
深海は光合成が起こらない世界でもありますね。
光合成は植物が光を受けて、水(H2O)と二酸化炭素(CO2)からデンプンなどの有機物、それに酸素(O2)も発生させますが、深海ではそれが起きません。
生き物を支えるための緑色植物に該当するものって…。
食物連鎖でいう末端に当たる生き物はどこにいる…。
となります。
生き物たちを下支えしているのはなんなんでしょうか。
それらの生物たちを支えているのは、太陽光エネルギーではなく、熱水に含まれる硫化水素やメタン、水素など還元的な無機物を酸化する際に生じる化学エネルギを利用して、有機物を作り出す化学合成微生物である。
還元的な無機物を酸化する際に生じる化学反応のことを酸化還元反応と言ます。
ちょっと難しい話になりました。身近な例を出してみます。
人間の呼吸です。
酸素(O2)を吸って二酸化炭素(CO2)を吐き出しますね。
酸素が二酸化炭素に変わる際に行われているのが酸化還元反応です。
その詳細なメカニズムは割愛しますが、ここで行われているような化学反応を利用して有機物を作る微生物が深海に存在しているんですね。
エネルギー源となる様々な化合物が深海の熱水噴出孔から豊富に湧き出てきます。これらを栄養源とした微生物が深海には存在していたのです。
それが化学合成微生物です。
微生物達が深海における光合成の役割を担っているんですね。
生き物を支える微生物たち、スゴイ!
そのエネルギー源となるのが硫化水素やメタンなどです。
硫化水素って、温泉地にいくと卵の腐ったような匂いを経験することがありますが、その匂いの元となるものです。
化学式、H2S(2つの水素原子Hと1つの硫黄原子Sの化合物)
メタンはよくメタンガスって聞きますね。都市ガスなんかに使われています。
化学式、CH4(1つの炭素原子Cと4つの水素原子Hの化合物)
1977年にガラパゴス沖で初めて熱水噴出孔が発見され、その周りに大量の生物が生きる世界があることがわかったときには、「こんな餌もないはずの場所でなぜ」と、ものすごい衝撃が走りました。しかも、それまで誰も見たこともないような姿をした生物がどんどん発見されたのです。
極限の環境である深海の世界、そこには地上とは全く異なる生態系が存在していました。
「生命の起源はどこまでわかったか」
第1章 深海に私たちの始まりを探して
ここまで書いて、ようやく本文2ページ目までのアウトプットが終了です。
全部で本文180ページくらい。
読み終えるまでにどれくらい時間かかるんだろう…笑
今日はこのあたりで。
***
写真:ストックフォト
ここまで読んでくださりありがとうございます。
今後、生命誕生に関わることについてちょこちょこ書いていこうと思っています。
【参考文献】
(*1) 編者:高井研 生命の起源はどこまでわかったか 岩波書店 2018年3月15日発行
(*2) リクルートワークス研究所
独特の進化を遂げてきた深海に棲む生物たちの世界
https://www.works-i.com/works/series/macro/detail008.html
執筆作製:宮島利宏
沿岸域の生物地球化学 ー 人間活動の影響と微生物の働き(2)
https://co.aori.u-tokyo.ac.jp/mbcg/jp/themes/coastal/p2.html
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