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120℃の中でも生きる生物。生命起源にもつながっている?

通常、水の沸騰する温度は100℃ですが、そんな中に手を突っ込もうとする人はいないと思います。

「さわるな危険」ですね。


しかし、世の中にはそれを超える高温環境を好む生物がいます。

それはメタン菌などの超高熱性化学合成独立栄養生命です。


長くて噛みそうなのでもう一度。

超高熱性化学合成独立栄養生命です。


そんな高温となる水がどこに存在するのか。

と言えば先にも書いた、深海熱水活動域ですね。

熱水が噴出している深海です。

この噴出口は地球を覆う海底大陸プレートとの間でよく発見されています。


写真はイメージです


その深海熱水活動域にはこのメタン菌などの微生物が広範囲に高密度で生息していることが明らかになりました。


生命の起源は深海熱水活動域にあったのではないか。

そう言われる所以は、今から35億年前にあった熱水活動の化石が発見されたことにもあります。その化石の中にメタン菌が含まれていたんですね。


メタン菌とは簡単に言えば、有機物を分解しメタンを生成することで増殖する菌のことです。


原始の地球では、このメタン菌によるメタンガス大量放出が地球環境に絶大な影響があったという説もあります。

今ではメタンガス減らせって社会になっていますけども、原始の地球では今では考えられないほどの無尽蔵なメタンガス大量放出があったのかもしれませんね。

おならじゃなくて良かった。

臭い臭い。


ちなみに、オナラの臭さはメタンによるものではありません。メタン(CH4)は無臭。オナラの臭さはオナラに含まれるたった1%程度の硫化水素(H2S)などの化合物の匂いです。

ちなみに、のパート2ですが

このメタン菌、沼や河川などの堆積物、動物や昆虫の消化管、水田、海洋堆積物、嫌気性廃水処理リアクターなど嫌気けんき的環境に普遍的に存在しています。(*1)

(嫌気けんき的とは酸素の介在を伴わない。もしくは酸素のない状態でのみ生じること(*2))


写真はイメージです


深海にも生きるメタン菌、どうしてこのメタン菌が存在しているのかは謎ですが深海における食物連鎖のような緑色植物に該当するのがこの微生物たち。

彼らが食物連鎖の一次生産者となり、階層を下支えする存在になっているんですね。

陸上で言えば牧草かな。


食物連鎖が生命を永続的に維持する仕組みであるように、深海でも食物連鎖が起きなければ生命は維持されません。

菌だけでは生命が進化するとは考えにくい。

そこで、考えられたのが、一次消費者の存在です。


メタンをムシャムシャ食べる生き物。


深海には地球内部から出てくる物質だけで支えられた独立した生態系が存在していました。

光合成いりません。

その生態系全体を総称して「ハイパースライム」と呼びます。


深海熱水付近に存在する高濃度の水素
↓↓↓
メタン菌が水素(H2)と二酸化炭素(CO2)を利用してメタン(CH4)を生成
↓↓↓
他種の微生物がメタンを利用して…


そんな生態系が存在していたんですね。


光合成いらない。太陽いらない。

深海独立生態系。すごい。


メタン菌はいったいどこから来たのか、どうして二酸化炭素が存在していたのか、他種の微生物がメタンを利用してさらにどのような生態系へと結びつくのか。他種の微生物がどうやって生まれたのか。さらにここからどうやって陸上へ上がっていくのか。

謎は深まるばかりで、今でも解明されていないことは多々ありますが、今回はこの辺りで執筆を終えたいと思います。


近々、また続きを。


***

写真:ストックフォト



ここまで読んでいただきありがとうございます。

この記事は書籍「生命の起源はどこまでわかったか」をベースに生命の起源に関わる深海の話や宇宙の話、そして科学を学ぶために書いている記事です。

もっと詳しく知りたい方は書籍をご覧ください。




参考

▶︎編者:高井研 生命の起源はどこまでわかったか 岩波書店 2018年3月15日発行

▶︎ぶーめらん 島津製作所
生命の起源を探し求め、深海から宇宙へ…!
深海熱水微生物の研究家・高井研が挑む人類史上永遠の謎

▶惑星科学フロンティアセミナー2018“生命の起源”ノート1日目
惑星科学フロンティアセミナー2018 生命の起源 地球上の生き物はどこでどのように誕生したか

▶日経サイエンス  2004年10月号
原始地球の気候を支配したメタン菌

︎(*1) メタン生成古細菌 独立行政法人製品評価技術基盤機構

(*2) 嫌気的 Wikipedia


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