有機物と無機物、砂糖と塩の違い。
有機物と聞いてパッと思い浮かべることってなんでしょう?
身近なものでは有機栽培なんて言葉がありますが、今回はこの有機物について書いていきたいと思います。
有機物は有機化合物。以前は生命活動から生じたものと言われていました。
これ、とにかく混乱するんです。
試しにいくつか。
砂糖は有機物でしょうか?
答えはYes。
砂糖キビなどが原料と考えていただくとイメージしやすいかと。
では塩は?
答えはNo。
魚や肉には僅かながら塩分含まれていますが、これは無機物に分類されます。
では、プラスチックは?
答えはYes。
生命活動が生じているなんて一切思えませんが、分類では有機物です。
どうしてこんなことに…。
それは有機物の歴史が関係しています。
19世紀中頃までこう定義されていました。
シンプルでわかりやすいですね。
人工的に作れないと思われていた有機物、1828年にフリードリヒ・ヴェーラーというドイツの化学者が有機物である尿素を作り出すことに成功しました。
人工的に作れちゃったよ…。
どうしよう有機物の定義…。
改めて問われた有機物。
着目されたのが生き物には必ず存在する炭素(C)でした。
有機物それは炭素(C)を含む化合物の総称である
と再定義されることになりました。
塩は主に塩化ナトリウム(NaCl)、ナトリウム(Na)と塩素(CI)の化合物でそこに炭素(C)は含まれていません。
つまり塩は無機物。
反対にプラスチック。
プラスチックの代表格ポリエチレンPE。化学式は複雑なため記載しませんが、炭素(C)が含まれます。
有機物扱いです。
ダイヤモンドはどうでしょう。
炭素のみで作られた世界最高クラスの硬度を誇る鉱石。
これ無機物扱いなんですね。
プラスチックは有機物なのに、ダイヤモンドは無機物。
めちゃくちゃです。
その答えは
再定義前からダイヤモンドは無機物扱いだったから。
(正確には別に理由があります。コメントに補足あり。)
ちなみに塩は海水や岩塩から作られるため元々無機物扱いでした。
もともとあった分類が現代まで脈々と受け継がれています。
もういっそのこと炭素が含まれるものを有機物と統一してくれた方がわかりやすい気もするんですが、それは化学界の大変革を意味するのかなと想像してみたり。
***
写真:ストックフォト
【参考文献】
Wikipedia
有機化合物
理科年表オフィシャルサイト
著:梅澤香代子 日本大学文理学部(2008年 5月)
編:自然科学研究機構 国立天文台
有機物と無機物の違いは?
Chem-Station
有機化学を俯瞰する
この記事が参加している募集
このnoteはみなさんのスキやコメントが励みになって続けられています。 ありがとうございます。