青と緑に包まれて幸せな稜線歩きに感無量〜大菩薩嶺〜
てっぺんはもちろんのこと、稜線歩きが好きな私にとって絶対にのぼりたい山のひとつに大菩薩嶺があった。
大菩薩嶺は甲府盆地の北東に位置し、標高2056.9mある山梨県甲州市の山だ。日本百名山でもあり東京・埼玉・山梨・長野にまたがる奥秩父山塊にも属している。
大菩薩嶺には魅力がいくつもあり
・東京からアクセスしやすい
・登山口となる上日川峠に駐車場とバス停がある
・上日川峠登山口の標高が1,585mと高いため標高差が少なく、また初心者でものぼりやすい道になっている
・大菩薩嶺から大菩薩峠までの稜線が素晴らしい
など、人気も高く多くのハイカーでにぎわう。
ー ルート
大菩薩嶺の登山口は大菩薩登山口もあるが、さらに標高の高い上日川峠からのルートが初心者向けで人気の高いルートになる。今回は初めての大菩薩嶺なので、ポピュラーといわれるルートを選択した。
上日川峠を起点に大菩薩嶺から稜線を歩いて大菩薩峠へ向かい、上日川峠に戻るルートだ。
ー アクセス
電車の場合は、甲斐大和駅から路線バスで40分。新宿からは特急を使えば2時間ちょっと、使わなければ3時間弱。
アクセスは比較的しやすいほうかなと思う。
今回は同行者も一緒だったので車を選択した。
上日川峠には3つの駐車場がある。
第1駐車場(19台)、第2駐車場(46台、トイレあり)、第3駐車場(60台)とあるが、シーズンの土日はいずれも混雑するので、大菩薩湖北岸駐車場(200台)が臨時駐車場となる。
7月初旬。
朝6時に自宅を出発。中央道は混雑もなく順調に進み、勝沼ICをおりてから30分ほどクネクネした山道をのぼって8時過ぎに上日川峠駐車場に到着。
この日は梅雨の晴れ間の日曜だったので、おそらく混んでいるだろうと予想はしていたが、まあ空いているだろうと思った上日川峠の第1、第2、第3駐車場はすべて満車だった。甘かった。
係員の方が慣れた口調で、地図をみながら臨時の駐車場である「大菩薩湖北岸駐車場」を案内してくれた。
上日川峠駐車場から登山口はすぐだが、臨時駐車場まではぐるっと周回するため車で山道を10分ほどいき、そこから上日川峠の登山口までは徒歩で10分ほどかかる。それでも停められただけよかった。
臨時の駐車場はとても広く、仮設トイレも設置されていた。駐車場を出て車道を少し行くと山道に入りまずは上日川峠の登山口へと向かった。
上日川峠は人で大にぎわい。
結局、お手洗いなどもすませて上日川峠の登山口を出発したのは8:50だった。
ー のぼりスタート
ゆるやかな道を進むと左手に登山道に進む道があったが、前の人がみんな登山道に入らず林道を行くので、思わずついていく。結局どちらからでも同じ場所につくのだが、林道は歩きやすかった。
上日川峠から15分ほどで福ちゃん荘に到着。
今回のお目当てはここにもある。
福ちゃん荘の「”お”ほうとう」と呼ばれる、甲州名物ほうとうだ。
2人前からの注文予約制で、のぼりで予約をするのが決まり。
1時間ほど煮込むので、予約でしか作れないそう。
予約の時間より早くついたらひたすら待つ。遅くついたら麺はのびる。
しかも選べるのは30分単位。究極の選択に悩むが、コースタイムが標準で3時間だったので、3時間半後の12時半に予約を入れた。
いざ大菩薩嶺へ!!
大菩薩嶺は標高差が500mもなく、道も整備されていてのぼりやすい。多少のざれ場やてっぺん近くでは岩場もでてくるが、両手でよじのぼるほどの大変さはない。先日のぼった赤城山よりももっとのぼりやすかった。
最初は樹林帯を進むが、福ちゃん荘から30分ほどのぼったあたりで、どんとひらける。
そして雪のない夏山富士山がお目見え〜!
あ〜いつみても興奮する佇まい。
もう、そこからはふりむけば絶景、右には青々とした斜面が広がり、ちょっと進んでは立ちどまり全然進まない。
梅雨の真っ只中での晴天に興奮が冷めやらない。
そして、福ちゃん荘からのぼり始めて45分。雷岩に到着。
大菩薩嶺のてっぺんは眺望がないと聞いているので、ここがてっぺんからの景色といっていいだろう。
岩をみると興奮する私は一目散に雷岩のてっぺんへ。
秒刻みに眺めてきた景色の集大成といわんばかりに、あたり一面みわたせる。
しばし雷岩のてっぺんからの眺望を堪能し、雷岩から15分ほどの大菩薩嶺のてっぺんへ向かった。
ここから雷岩に戻り、大菩薩峠に向けて出発!
ー 稜線歩き
今回の山行の一番の愉しみが、大菩薩嶺から大菩薩峠までの稜線だ。
これは絶対に天気のいい日にきたいと思っていた。
そしてその願いが完璧に叶った!!
こんなに気持ちのいい稜線があっていいのか!!
明神ヶ岳から金時山へ向かう稜線も最高だった。富士山に向かって進む道はわくわくしかない。
明神ヶ岳の縦走はずっとひらけたところを歩くわけではなく、樹林帯を出たり入ったりする。瞬間瞬間の喜びはたまらないが、この大菩薩嶺から大菩薩峠の稜線はず〜っとひらけている。
「こんなにみていていいんでですか?」と聞きたくなる。
時々岩の塊があるが、高度感はそれほどないので怖くはない。
風景も進む道もきた道も、横に広がる緑もどれをとっても美しすぎて言葉にならない。
少し歩いては眺め感動し写真を撮りなかなか前に進まないが、ゆったりした時間こそが山のぼりの愉しみなのだ。
大菩薩嶺を出発して30分。とうとう稜線歩きのゴール大菩薩峠に到着。
てっぺんにつくと喜びしかないのに、てっぺんというよりは到着地点である大菩薩峠では寂しさの方が強い。さらば、稜線。
ここから先は樹林帯をくだっていく。
あ〜、稜線ともお別れか、と後ろ髪を引かれる想いのまま下山へ。
ちなみに、大菩薩峠にはお手洗いがある。大菩薩嶺にはないのでここを利用するといいと思う。
ー 下山へ
下山の道はとてもゆるやかで歩きやすい。
苔むしたところもあり、北八ヶ岳を想わせる。
のぼりもあまりきつい印象はなかったが、くだりはさらにゆるやかでシャッターを切る手も止まらない。
それでも大菩薩峠から30分ほどで福ちゃん荘へ戻ってきた。
結構ゆっくり歩いていたように思うが、おほうとうのできあがりまでまだ40分もあった。
ゆっくり歩いたせいか疲れもなく、水分補給はしたが特に休憩という時間を取らなかったので早かったのだろう。
40分待つなら大菩薩峠でもう少しゆっくりすればよかったとも思ったが、混雑していたのと、蜂なのかアブなのか虫が多く立ち止まるとよってくるので早々に退散してしまった。
とはいえ、40分はあっという間だった。
のんびり座って眺めたり、うろうろして写真を撮ったり、自然の中にいると時間の感覚を忘れる。
そして待った分だけ期待もふくらむ。
「ほんださん、お待たせしました〜」とできたて熱々のおほうとうがやってきた!
「絶品!!」
汁の色だけみると味が濃そうに感じるがそんなことはなく、野菜がたっぷり入っていて旨みがからだの芯まで沁みわたる。
もちもちしたほうとうとお味噌出汁の沁みたお野菜がちょうどよくからみ合う。40分、待ったかいがあった!
「ごちそうさまでした!」
満腹になり駐車場に向かってゆったり歩いていく。
大菩薩湖北岸駐車場は広いのでまだまだ空きがあった。
せっかく大菩薩湖北岸駐車場に停めたのだからと、大菩薩湖のビュースポットへ。
もうちょっとみえるところはないかと探したが、ここが一番よくみえる場所だった。大菩薩湖は上日川ダムのダム湖で大菩薩嶺にちなんで大菩薩湖と名付けられたそう。深い青緑の美しい湖だった。
人気の山では、特に
・ザレ場やがれ場で石を踏み落とさないように気を付ける
・岩をのぼるときは、前の人との間隔に注意する
自分が誰かに石をあててしまったり、または上から落ちてきた石にあたらないために、ただもくもくとのぼるのではなく、きちんと周りを見渡すことが大切だなと改めて思った。
また、大菩薩嶺はみどころも多く歩きやすさからかいろいろな方がいた。
ビーチサンダルでのぼるグループやワンちゃん連れのグループ。
ビーチサンダルは怪我しないのか心配。。
ワンちゃんも山をのぼれるのかと思ったけど、むしろ人より元気だった。
いろいろな愉しみ方があるのだなあ。
どうであれ、マナーをしっかり守りこの景観が続くよう心がけていきたい。
大菩薩嶺はぜひ晴れの日にいってみてほしい。次はいつ晴れるかなあ。
距離:8.8km
累積標高(のぼり) 620m