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圧巻の滝に感動の嵐〜丹沢・畦ヶ丸山〜
冬は丹沢。
合言葉のようにいっているせいか、アンテナは丹沢に張り巡らされている。
畦ヶ丸山(あぜがまるやま)は当初登山計画に入っていない山だった。
友人との山行で待ち合わせ時間の関係から車中泊がいつものスタイルになっているのだが、冬の車中泊に耐えうる準備がまだできていない。
そこで、車中泊せずに日帰り山行を愉しめる山を探していたら、見つけてしまったのである。
畦ヶ丸山登山途中には素晴らしい滝があるという。
そもそも滝好きで、冬の滝には格別に興味があるのだ。
滝以外の情報はあまり調べていなかったが、ハードでもない山行を愉しめそうだったので畦ヶ丸山に決定!
ー ルート
丹沢山塊は中央に丹沢山が聳えているが、畦ヶ丸山は丹沢山塊の西部に位置する標高1,293mの山である。
畦ヶ丸山頂からは東西南北に尾根が伸びており複数のルートで山頂をめざせる。そして、東側に伸びるルートには落差40mの下棚(しもんたな)と落差70mの本棚(ほんだな)という滝がある。
ちなみに西丹沢では滝を”棚”と呼ぶらしい。
今回は滝をお目当てに累積標高1000m程度、6時間ほどの山行となる西丹沢ビジターセンター起点のルートを選択した。
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ー アクセス
バス停も駐車場も「西丹沢ビジターセンター」にある。
<電車の場合>
新宿方面から:小田急小田原線【新松田駅】→ 富士急湘南バス【西丹沢ビジターセンター】
新松田バス停から西丹沢ビジターセンターバス停までは約70分。
富士急湘南バス時刻表・運賃表はこちら↓
<車の場合>
東名高速道路大井松田ICからおおよそ40分。
駐車場は西丹沢ビジターセンターの目の前に10台、側の路肩スペースに20台ほど。
バスの転回スペースや路上駐車は禁止されており、コーンや鎖で区別されている。
詳しくは西丹沢ビジターセンターのwebサイトを参考にされたい。
ー 西丹沢ビジターセンター
8時、西丹沢ビジターセンターに到着。このところ7時より遅い到着がなかったので、明るい時間の到着が新鮮だった。
10台ほどの駐車場はすでに満車だったが、すぐそばにある路肩の駐車スペースを今回は利用した。
<西丹沢ビジターセンター>
・開館時間:8時30分から16時30分(12月から3月は16時00分まで)
・休館日:月曜日(祝日の場合はその翌平日)
年末年始(12月29日~翌年1月3日)
とあるが、駐車スペースとトイレは24時間使用可能。
*年末年始のトイレ利用は不可の場合もあるようなので要確認。
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手前が駐車場
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右手のコーンが置いてある場所は路上駐車となるため駐車禁止
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駐車禁止
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西丹沢ビジターセンターのトイレは水洗でウォシュレット付き!
しかも便座が温かい。
冬の寒い朝、この温かい便座はとてもありがたい。
丹沢登山で気をつけなければならないのが、トイレ。
途中の小屋や山頂にトイレの設置は多いと思うが、使用した紙は持ち帰りが原則。なので、持ち帰りの袋は必須。
印象としてはワイルドなトイレが多いようにも思うが、あるだけありがたいことなので最低限のルールは守っていきたい。
ー 最初のお目当て、下棚へ
西丹沢ビジターセンターに向かって左手、薄緑の階段がある。
畦ヶ丸山にはこの階段をのぼり橋を渡る。
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橋の上からキャンパーを発見!
おしゃれな佇まいにしばし見惚れる。
寒そうだが独り占めで贅沢だ。
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橋を渡ると堰堤がある。
滝の左手にある階段をのぼって滝の奥へと進む。
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標識もある
堰堤は2箇所あった。いずれも横にある階段をのぼって越える。
しばらくは川を渡る道が続く。アップダウンはほぼなく、川にも橋がかけられておりおだやかな心地よい道を進んでいく。
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ゆっくりのぼり、スタートから50分ほどきたところにベンチがあった。
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ベンチからほどなく最初の滝「下棚」に向かう分岐が現れる。
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まさに秘境ではないか!
見えない滝に向かって本線を外れる感覚。
ゾクゾクする。
滝に向かう道に橋はないので石の上を渡っていく。
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川に浸かっていない石は凍結しているので、用心しながら渡る。
緊張感で胸の鼓動がさらに高まっていく。
分岐から10分ほどで氷柱の世界へ辿り着く。
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ぶっとい氷柱に目を奪われ、滝につく前に興奮してシャッターを押しまくる。東京では出逢えない光景だ。
そして、氷柱の先にひっそりと、けれど逞しく流れおちる滝をとらえた。
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氷と滝の共演はこの時期にしか見ることができない。
ことばを失い見つめていた。
感動すると撮ることすらできなくなる。
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10分ほど下棚を愉しみ、そういえばまだほとんどのぼっていない本線へ戻った。
ー 下棚から本棚へ
下棚の分岐から15分ほど歩くと本棚への分岐に遭遇する。
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本棚への道は凍結していてかなり怖かった。
下棚のときは川の上の石を渡るだけだったが、本棚へは凍ってツルツル滑る岩の上を通らねばならない。
この先にある。
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そこにあるのがわかってはいるのだが、怖い。
足を滑らせたら川の中にドボンだ。
他に道はないのかあたりを見回すがどこも困難な道しか見当たらない。
相方も「危険だよ」と、なんとかして行こうとする私をなだめる。
「仕方ないか、、、」
本棚は今回の山行の一番の目的といっても過言ではなかった。
それゆえにひと目見たかったのだが、そうやって遭難は起きる。
やむを得ずあきらめて帰りかけたそのときだった。
一人の男性がこちらに向かって歩いてくる。
すかさず
「本棚に行かれます?」
「ええ」
「行かれたことあります?ルートわかります?」
畳み掛けるように初対面の男性に質問を投げかける。
「わかりますよ。過去に2度ほどいっているので」
神降臨!
「ついていってもいいですか?」
コイツは何をいっても無駄だな、と判断した相方は静かに2回うなづき二人で男性の後を追った。
最初は同じルートを進まれた。やはりあそこを越えるしかないのかと思ったが、男性も「ここは無理だね」と引き返す。
やはり無理なのかと思ったが「いや、行きますよ」とギリギリ渡れそうな石を見つけて対岸へと渡っていった。
ちょっと距離のある石だったが慎重に進みなんとか渡り顔をあげると、そこには信じられない光景が広がっていた。
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下棚をはるかに超えるスケールの滝が、勢いよくほとばしっていた。
「うわあああああ」
この日2度目のことばを失う時間が長く流れた。
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正直、この感動は見たものにしかわからない。
写真では伝えきれない感動がそこにはあった。
葉の落ちた森の中で、滝の落ちる音だけがこの空間に生きていた。
「もう、てっぺん行けなくても満足だね」
山のぼりにきたことを忘れるほど心をわし摑みにされた時間だった。
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諦めて帰らなくてよかった。
滝と氷の共演。織りなすハーモニーが感動をもたらしてくれた。
ひとしきり感動に浸り、案内をしてくれた男性にお礼と別れを告げ先に進むことにした。
そして行きはよいよい帰りは、、、
戻りの川を渡るのが難儀だった。
行きより戻りの方がはるかに難しかった。
凍結と川の勢いもあるので、慎重に慎重にかつ思い切り渡る。
こんな寒さの中、川に落っこちたらひとたまりもない。
奮闘しながらもなんとかクリアし本戦へと戻った。
ー 畦ヶ丸山てっぺんへ
行ったり来たり、感動に包まれ、川越えに難儀し、登山口から滝を経て本線に戻ったのは2時間後であった。時間はまあまあ押していた。
本棚から先が本格的にのぼる。
川沿いの道は迷いやすかったが、標識も多いので結果的に迷子にはならなかった。
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途中、ベンチや広い空間もあるので休憩は取りやすかった。
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樹林帯に入ると木の根っこの階段から次第にハシゴのような階段も増えてきた。
細かい砂利の道も結構ある。
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善六ノタワは両端が切れ落ちている場所で、凍結していたのでここも用心深く通った。
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滝までゆるかった分、樹林帯はまあまあの急坂で息も上がった。
そして12時、予定より30分押しで畦ヶ丸山てっぺんに到着!!
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てっぺんは眺望がないと聞いていたが、葉が落ちているおかげで木々の間から風景を眺めることはできた。
ベンチも多く気持ちよかったが、やはり寒いのでてっぺんから100m先の避難小屋へと向かった。
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畦ヶ丸避難小屋は2020年に建て替えられたようで、まだ新しさを感じるきれいな小屋だった。トイレも設置されている。
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小屋でいつものカップ麺をいただく。
おやつは友人にいただいた珈琲とチョコ。
落ち着く空間だった。
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小屋で40分ほど休憩しピストンで登山口へと向かう。
てっぺんについてから景色を満喫することなく小屋に入った二人。
ふと、先ほどの本棚案内人をしてくださった男性を発見した。
「先ほどは〜」と、おばちゃん口調で話しかける。
すると男性の口からまたしても驚きのことばが発せられた。
「富士山見ました?」
「え?富士山見えるんですか?」
「ほら、あそこに」
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なんと!眺望がないと思っていたら、しっかり富士山が見えているではないか。しかも葉のないこの時期だからこそ見える富士山だった。
危うく愛しの富士山を拝むことなく帰るところであった。
またしてもこの男性に救われた二人。
「やっぱりあの方は神だね」
深々とおじぎをし、再度男性に別れを告げてっぺんを後にした。
雪の中にあっても春はちゃんとやってきている。
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ー 下山へ
行きはストックを使わずにのぼったが、帰りはてっぺん近くが雪や凍結で滑りやすくなっていたので使用した。
それでも1回こけた。
凍結していなくても花崗岩なのかな、砂の箇所がとても滑りやすく私は砂の方が苦手だ。
帰りはピストンなので写真はあまり撮らずに帰った。
下山は一気にくだり、2時間ちょっとで西丹沢ビジターセンターに戻ってきた。
2月は低山でも凍結が一番の心配事である。
チェーンスパイクは今回使わなかったが携帯は必須だと思う。
畦ヶ丸山は見事な滝と明るい道、整備され尽くしていない自然を満喫できる山でありながら、避難小屋やハシゴなど、困ったときに差し伸べる手が絶妙だ。この時期だからこその風景が素晴らしかった。
しかし、滝のあたりは気軽に行くとかなり危険である。
装備はもちろんだが、無理だと思ったら引き返す決断がとても大事だと思った。今回はギリギリのところで行ける判断を下したが、川は本当に怖い。
一つ間違えたら命を落としかねない。
これからもそのことを肝に銘じて山を愉しみたい。
畦ヶ丸山はまた訪れたい山だ。
Instagram
『よしこの山のぼり』
も、見てね!
距離:9.2km
累積標高(のぼり/くだり):942 / 946 m
タイム:6時間52分(休憩1時間26分含む)
YAMAPより