カップ焼きそばが食べたい①
マト子、37歳の秋。
その頃、私は無職であった。
元来ひとりでいることにストレスを感じない私は、およそ10ヶ月にも及ぶ無職期間のほとんどを、古びた小さなアパートの一室で過ごしていた。
近所のスーパーか仕事の面接以外は、部屋で規則正しい健康的な日々を送る。
ペットのカメたちとも一緒に過ごす時間が増え、前よりも仲が深まったように思えた。
そんなある日の夕刻。
私は台所でひとり、嬉々として鍋のお湯が沸くのを待ち構えていた。
数ヶ月ぶりにカップ焼きそばを作ろうとしているのだった