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一度捨てた夢を拾い上げた話

私は大学で臨床心理を学んでスクールカウンセラーを目指していたが、家族が精神病に罹りその対応を1人で請け負っていく中でこれを仕事にしたら私が持たないと就職する方へ切り替えた。

そして就職氷河期の中、いろいろ就活を経験してアパレルに出会い、就職。副店長の時には新人教育をしつつ店の売り頭として働いた。


ここでできた夢が出産をしても産休育休をとって新人教育と言う身で働きながら子育てをする、ということだった。


しかしそれは叶わなかった。
私は結婚して2年間妊活しても授からず、だんだん気を病み、不妊治療に踏み込むためにも、仕事を辞めるしかなかった。

そして結婚から5年後、ようやく子を授かり、更に2年半後、もう1人子を授かることができた。

子育てをしながら働く夢は、仕事を辞める時に一度諦めていた。
販売員を育てる仕事は私にとって心から楽しく、他の人から後輩たちの評価を聞くと嬉しくなっていたのだが、もうその道はなかった。


私は子供を少しの間夫に預けられるようになってから、息抜きがてら仕事を受けてフリーでの販売員になった。下の子が2歳になりぼちぼち外での仕事を受けやすくなってきたなと思っていた頃。

その時は突然きた。

フリーの仕事先で「知人が接客を教えられる人探してるんだけど興味ない?マードレさんの接客見ててとっても良かったから!」と声をかけてもらったのだ。願ってもないチャンス。

私はその方を通してすぐにその知人に会った。
話を聞くと4店舗を経営するオーナーだった。
裏表のなく思ったことはズバッと言う、ビジョンをしっかり持った面白い人だなという印象だった。

私は誰にも話したことがなかった夢をその人に話した。

「私は前職アパレルで販売員を育てていました。高校生の頃から接客業をしてきて大学では心理学を学び、今はフリーの販売員でこれからやりたいことがあるんです。接客を実践的に学んでもらう講師をしたくて。そこでは話を聞いてもらうだけでなくグループワークやロープレなどを通して体験、分析してもらおうと思っています。」

そう話すと「いいね!それ、とってもいいと思う!僕は中小企業の社長と繋がりがあるし、うちの店で業績を上げて実績を積めば他の企業にも勧められるからね!」

と具体的な道筋が急にパッとひらけて見えた。

まだ土日をメインに月数度しか入れないことも承知の上でうちで働いてほしいと声をかけてもらえたのは奇跡だと思った。
子育てしながらでも私は自分のしたい仕事で働いていいんだ。私のビジョンを面白いと言ってくれる人がいる、それだけでとてもやる気が満ちた。


私は今そこの会社で1店舗目の接客トレーナーとして働いていて、みんなの接客も少しずつ良くなってきたと言われるようになった。今月あたりから次の店舗へ異動になる。またそこでもどんな人たちに出会って、お客様の反応がどんなふうに変わっていくのか、今から楽しみである。

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