秋の味覚「秋刀魚」
読書の秋、芸術の秋、スポーツの秋など秋にはそれぞれ楽しみ方が存在しています。夏の暑さを乗り越えてた後の秋には、栗、梨、柿など続々と美味しいものが収穫されます。秋の味覚の代表的なものと言えばサンマ。今年は外国船の乱獲対策から例年より早く操業を始めたために、8月の水揚げ量が昨年の10倍となった地域もあったようですが、豊漁とは見なされていません。昨年、原子力発電所の処理水を海洋に放出したとして反発した中国が日本産の水産物を輸入停止しました。日本の漁船が水揚げしたものを自国の市場に出せないために、中国の漁船が日本周辺の海域に入り自国の市場に出すために乱獲をしているそうです。
日本人とサンマ漁
日本人の食卓には欠かせない秋の味覚であるサンマ漁業は、1700年頃に熊野灘で始まったとされています。その後、旋網に用いる漁法が開発され、江戸時代には外房において盛んになったことから、江戸で食されるようになったことから庶民の食卓に並ぶようになったことから、落語「目黒の秋刀魚」として親しまれるようになり、現在の秋の味覚の代表格になったと言われています。明治時代末期から大正時代にかけて、漁船のが動力化・大型化したことにより沖合での効率的な操業が可能となりました。戦時中は一時的に衰退したサンマ漁は、戦後になると灯火を使う棒受網漁法というのが導入され漁獲量は急増しました。1950年頃にサンマ漁を行っていたのは日本以外では韓国、ソ連くらいでしたが、1980年代には台湾、2010年代に入ると中国やバヌアツなどが参入し公海域で操業を行っているため日本の漁獲量に少なからず影響を与えています。
サンマ漁獲量の変容
サンマ漁獲量は2000年以降、20万トンを維持してきましたが、中国などの参入や海洋環境の変化などにより近年は減少傾向にあります。2019年には42,700トンと過去最低を記録しました。NPFC(北太平洋漁業委員会)などにおいてサンマの資源状態や資源管理方策などが協議され、サンマの漁獲可能量が設定されたが、NPFCに登録されていない船による操業などもあり漁業管理の信頼性に疑問があるとされています。また地球環境の変化により、サンマが日本近海から北太平洋の東側に偏りつつあることがわかっています。今後、地球温暖化により海水がさらに上昇すると日本近海ではサンマ漁場がほとんど形成されないと予測されています。また、近年の円安などからくる物価高からサンマ漁にかかるコストも上昇していることから、サンマ漁だけではなく日本国内における漁業全般に大きな影響を与えています。日本の食文化を守るためには国際社会の資源管理、地球環境の変化、国際情勢などあらゆる面に考慮していくことが大事だと思われます。
おわりに
中国の海洋調査船が太平洋上の日本の大陸棚に目的不明なブイを設置していることを政府が明らかにしました。これまで尖閣諸島周辺では確認されていましたが、太平洋側では初とのこと。ブイ設置が判明した海域は国際海洋条約上、日本に資源開発の権利がありますが、水域調査はどの国でも可能とされています。今回のブイ設置に対して中国は津波観測用と主張はしていますが、この海域にはレアメタルなどの鉱物資源が存在していることを考えると、日本の主権的権利を侵害している可能性もあり、非常に問題の行動だと考えられます。この海域に限らず、中国漁船が日本周辺だけではなく世界中でなりふり構わない漁法により乱獲をしている影響で、秋の味覚の代表「秋刀魚」だけではなくその他の魚の漁獲量にも影響が出ています。鉱物資源だけではなく、私たちの食卓を守るためにも中国の動きに注目をし、国際法違反ともいえる行為には毅然とした態度で臨んでいかなければなりません。
おまけ
サンマから極東の国際情勢を少し考えるというのがテーマでしたが少しだけそれてしまいました…。この原稿を書いている間に、中国南部の深セン市で、日本人学校の男子児童が刃物で刺され亡くなったというニュースが流れてきました。非常に悲しいことで、ご家族のことを思うと言葉に言い表せず、ご冥福を祈るばかりです。深センは比較的反日感情の少ない地域と言われているようだが、何が原因でこのような悲しい出来事が起きたのか中国側にはしっかりと原因を解明していただきたい。そして、邦人のましてや何の罪もない幼い子どもの命が失われたことに対してこの件について日本政府も強く抗議をしていただきたい。
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