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慣れるにはどれくらいかかる?:酷暑での運動のための暑さ対策

暑くなりました。6月なのに最高気温が35度を超える日が各地で続いています。急に猛烈に暑くなりましたから、身体がキツイ。こんなときに運動するなんて…という意見もあるでしょう。でも、運動が習慣になっていたり、趣味だったり、重要な娯楽だったりすると天候にかかわらずやりたくなるものです。でも、無理すると身体に悪い。さて、どんな感じで酷暑と付き合っていくべきでしょうか?

慣れるまでにどれくらいかかるか?

全米アスレティックトレーナーズ協会(National Athletic Trainers' Association, NATA)の熱中症に関する声明では、10–14日かけてじっくり暑さに慣らしていくことを推奨しています(Casa et al., 2015)。急激な変化が起こると身体は体温調節も発汗もうまくできません。そのせいで体調不良やパフォーマンスの低下が生じます。

暑さへの慣れは最初の4–6日でかなり進み、そのあとは変化のペースが遅くなります(Pandolf, 1998)。また、急激な変化はやはり元に戻りやすい。そのため、14日ほどかけてゆっくり慣らしていくことが推奨されています。

実際のところ

Voltaire たちはトライアスロンの選手が、酷暑の気候に慣れていくプロセスを検討しました。気温32度、湿度78%のカリブ海の島、マルティニク島で研究は実施されました。高温多湿という点で日本と似ています。今の日本の方が過酷ですが…

トライアスロンの選手たちは、体温、発汗量、トレッドミルでのパフォーマンスと心拍数を測定されました。それらの測定結果をマルティニク島の渡航前、そして渡航後2日、8日、14日で比較しました。

渡航後2日はあらゆる測定値に悪化があり、それらは日にちが経つほど徐々に回復しました。ただし、どの値も渡航前と同様には回復しませんでした。心拍数については、特に渡航後二日後で非常に高くなっており、顕著な悪化が見られました

最初が大変

Voltaireたちの結果を見ても、暑くなって身体が慣れていない時が特にキツイようです。無理せず慣らしていくようにすましょう。予測できることなのですが、Armstrong とMareshによると若いほど、そして肺活量が大きいほど慣れるのが早いということでした(Armstrong & Maresh, 1991)。個人差もあるようですし、無理せず自分のペースでやっていきましょう。熱中症になると軽症でも数日にわたって悪影響が出ます。場合によっては命に関わります。楽しく運動を続けるためにも無理は禁物ということで。

引用文献

・Armstrong, L. E., & Maresh, C. M. (1991). The induction and decay of heat acclimatisation in trained athletes. Sports medicine (Auckland, N.Z.), 12(5), 302–312.
・Casa, D. J., DeMartini, J. K., Bergeron, M. F., Csillan, D., Eichner, E. R., Lopez, R. M., ... & Yeargin, S. W. (2015). National Athletic Trainers' Association position statement: exertional heat illnesses. Journal of athletic training, 50(9), 986-1000.
・Pandolf, K. B. (1998). Time course of heat acclimation and its decay. International journal of sports medicine, 19(S 2), S157-S160.Voltaire, B., Galy, O., Coste, O., Racinais, S., Callis, A., Blonc, S., ... & Hue, O. (2002). Effect of fourteen days of acclimatization on athletic performance in tropical climate. Canadian journal of applied physiology, 27(6), 551-562.

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