テクニックを使う練習3:コンビネーション・ドリル
前回、前々回とテクニックを使うため練習と題して、スパーになると「頭が真っ白になる」、「力任せになってしまう」、「習ったテクニックが使えない」といったことを減らす練習法を紹介しました。
今回は、ある程度テクニックの知識があるが、どう使ったらよいかわからない人向けの練習法を紹介します。白帯でストライプが1, 2本入っているくらいのひとをイメージしています。もちろん知識がほとんどない状態でも練習そのものには参加できますし、上級者の人なら自分のアイデアを練るための良い練習になると思います。
今回もこれまでに出稽古で受け入れてくださった道場の練習を紹介しました。その節はありがとうございました。
コンビネーション・ドリル:ガードとパスガード
これは、ねわざワールドさいたまさんで毎回行っている練習です。この練習を取り入れてから、会員のみなさんがすごくテクニカルになっていくの実感しています。
ガード、パスガードともオープンガードの状態で行います。この練習で、ガード・トランジションやパスガード・コンビネーションが意識できるようになり、スパーがテクニカルで流れるようになります。技が単発ではなく、連続するようになります。
まず、オープンガードのコンビネーション・ドリルを解説します。上下を1分交代で行います。
1. ペアになり、上下を決めます。
2. 下の人(ガード側)が好きなオープンガードを作ります。
3. 上の人(パスガード側)は作られたガードを外そうとします。パスまではしません。例えば、デラビーバ・ガードに対してデラヒーバ・フックを外したり、襟を取られていたら襟を切ったりします。その上で少し圧力をかけたりします。
4. 下の人は、反応に合わせてガードを組み替えます。上の人はまたそれを外します。
5. あとはこれを繰り返します。
パスガードのコンビネーション・ドリルですと、
1. ペアになり、上下を決めます。
2. 下の人はシティングガードの状態で待ちます。
3. 上の人パスガードを仕掛けます。
4. 下の人は、パスガードに合わせて反応し、上の人はそれに合わせて、別のパスガードを試みます(コンビネーションを意識してやります)。
5. 下の人は相手と正対すること、上の人は足を超えることは目指します。下の人は手で相手を掴まず、明確に何かのガードを作らないようにし、下の人は押さえ込みまではしないようにします)。あとはこれを繰り返します。
上の人は押さえ込まずパスを仕掛けるようにすると、パスガード・コンビネーションの良い練習になります。ステップ系のパスを主体にすると、プレッシャー系のパスを主体にするより練習になるように思います。プレッシャー系は短い時間だと変化がすくないので。
良いところ
オープンガードのコンビネーション・ドリルをすると下の人は、ガードのリカバリーがテクニカルにできるようになります。また、ひとつのガードにこだわることもなくなります。複数のガード・テクニックを知らないと、すぐ止まってしまうのでガードの知識をつけようとテクニック習得にも貪欲になります。
上の人の練習にもなります。オープンガードのパスガードは、まず、ガード(の少なくとも一部)を外すことから始まります。それをしないで闇雲に突っ込むとスイープをされます。このドリルはガードの外し方を学ぶ機会にもなります。
パスガードのコンビネーション・ドリルをすると上の人は、パスガードの動きがスムーズになります。いくつか違う動きをされるとガードも緩んでくるものです。また、コンビネーションとして練習しておくとスパーでも自然にできるようになります。
下の人は、足回しやバルボーザエビを使った基本ムーブを主体としたリカバリーが上達します。
欠点
練習をはじめて1ヶ月くらいの初心者の方ですと、何をして良いかわかりません。ひとによっては半年くらいその状態が続くかもしれません。指導者や上級者がうまくフォローする必要があります。オープンガードのオンビネーションドリルでしたら、最初のうちはシンプルなコンビネーションドリルを行なってもよいかもしれません。例えば、デラヒーバとリバース・デラヒーバの組み替えなどです。
コンビネーション・ドリル:サブミッション
これはアメリカ、シカゴにあるValko BJJに出稽古に行ったときに経験した練習法です。 John Danaher がRenzo Gracie New Yorkでやっている方法だと聞きました(そのことが書いてある記事をwebで読んだ記憶があるのですが、見つけられませんでした)。
1. 攻め手と受け手を決めます。
2. 攻め手は自分の好きな攻撃ポジションを取ります。
3. 攻め手はゆっくり丁寧にサブミッションを狙います。力はほとんど入れません。
4. 受け手はそのサブミッションをテクニックで解除します。力で解除してはいけません。また、ただ耐えるのも禁止です。テクニックを使って解除します。
5. 攻め手は解除された状態から次のサブミッションを狙います。
6. この攻め手と受け手の攻防が3回続いたら(攻め手の攻撃を受け手が連続して3回解除したら)、攻め手と受け手を交代します。リセットするのではなく、解除した状態からスタートです。
7. サブミッションを解除する方法がわからない場合はタップをします。タップをした場合は、攻め手の好きなポジションからリセットしてスタートです。
8. これを5分で行います。
良いところ
サブミッションの攻撃と防御のテクニックを知らないとこの練習はどこかで止まってしまいます。この止まってしまうポイントが、そのひとが苦手とする部分、テクニックの知識が足りない部分です。Valko BJJでは、止まってしまったポイントについて、インストラクターがアドバイスをしていました。
上級者のペアですとこの練習はすごくスムーズに、流れるように進行します。その様子をみていると、すごく楽しそうですし、これをやってみたいなと思うようになります。
欠点
それなりの知識が必要になります。色帯くらいからが良いのかもしれません。
さて、ひとつくらいあるのですが、長くなったのでここで終えます。あと1回くらい続きます。
これまでのnote
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