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書籍「教養としての「数学Ⅰ・A」」を読む(その6)

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統計の重要度が高まっている


上記の「教養としての「数学I・A」」を読み進めています。
今回は、「第5章 安易な結びつけは危険 データの分析」を読みました。

近年、データの分析・活用に世間的な注目が集まっています。業務のデジタル化が進み、データをきちんと分析できる人材の需要は高まる一方です。

p.152

これは、自分もそう思います。
これだけ情報にあふれた社会。その巨大なデータを活かそうという試みがいろいろなところで繰り広げられています。でも、現状はうまく活用できているのはごくわずか。データを分析できる人材は今後も求められていくでしょう。


相加平均と相乗平均

ある企業の売上が、1 年目 100 億円、2 年目 120 億円、3 年目 180 億円、4 年目 288 億円だったとしましょう。
1 年目から 2 年目は 120%、次は 150%、その次は 160%の成長です(図 5-05)。
では、この企業は平均で毎年何%成長しているでしょうか?

p.158

相加平均はよく利用しますが、相乗平均というのはあまり利用しませんね。相加平均の方が直感的にもわかりやすく、使いやすいんでしょうね。
でも、相加平均では正しい結果が得られないので、相加平均を使うべきだというものもあります。今回の例がその好例になっていると思います。
相乗平均の効果を知りたい方は是非続きを読んでみてください。

それにしても、この場合の相加平均での計算には違和感がありますね。

$$
\frac{120+150+160}{3}=\frac{430}{3} = 143.3333\cdots
$$

分母が違う百分率を足していくというところがなんとも気持ち悪い。


偏差値について

個人の得点を$${x}$$、平均点を$${\bar{x}}$$、標準偏差を$${s}$$としたとき、偏差値$${y}$$は、次の式で求めることができます。
                                       $${ y = \frac{x-\bar{x}}{s} \times 10 + 50 }$$

p.170

偏差値について、久しぶりに復習できました。
『平均値を 50 としたときの分布』『偏差値が高いほど学力が高い』というくらいに覚えていましたが、もう少し掘り下げて理解することができました。

ちなみに、p.167の図 5-12 には間違いがあります。A 組の二人目の点数は 30 点ではなく、40 点ですね。そうしないと、それ以降の話とつじつまが合わないですから。


共通テストが難しくなった?

2022 年に行われた第 2 回の共通テストは、多くの科目が難化し、前身のセンター試験を含めて平均点が過去最低でした。特に数学Ⅰ・Aの平均点は 37.96 点となり、それまでの最低点(2010 年の 48.96 点)より 11 点も低くなったことから大きな話題になりました。

p.171-172

そうだったんですね。知りませんでした。
2023年、2024年はどうだったんでしょうか。気になるところです。


因果関係を知りたい

【相関関係についての注意点】
AとBに相関関係があるとき、考えられる可能性
① Aが原因→Bが結果
② Bが原因→Aが結果
③ AとBが共に、共通の原因Cの結果
④ より複雑な関係がある
⑤ たまたま  

p.179

相関関係から因果関係を見つけることができればいいんですが、なかなか難しいですね。ほとんどの相関関係は『⑤ たまたま』が多いのではないでしょうか。③④の可能性もありますが、結局この相関関係からはわからないですし。
だから、因果関係があると言われてもそれはちょっと疑ってかかる方が無難かもしれません。そして、その成否を判断するためにもやはりデータ分析をしっかり身につけておくことは大事になってきそうです。


今回は、ここまで。今回の話(第5章)は、「数学Ⅰ」で学ぶ「データの分析」のお話でした。データの分析は今やコンピュータと切っても切り離せないものになっていると思います。そのため、是非この書籍と共に、この note にまとめている記事(マガジン)『高校数学をプログラミングで解く(数学I編)3.データの分析』も合わせて読んでいただければと思っています。

次回は第6章について読み進めて、別途コメントしていきたいと思います。

MK's papa

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