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書籍「教養としての「数学Ⅰ・A」」を読む(その3)
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「集合論」ってすごいんだな
上記の「教養としての「数学I・A」」を読み進めています。
今回は、「第2章 「風が吹けば桶屋が儲かる」は論理的には正しくない 集合と命題」を読みました。
それまで数学の各分野、幾何学、代数学、微分積分学、統計学、確率論といったものは、雑居ビルに同居しているようなものでした。分野同士の関係がよくわかっていなかったのです。しかし、集合論を使うことで、無関係に思えた分野を体系的にまとめ上げられることがわかりました。
集合論をこんな風に考えたことがなかったけど、言われてみると、多様体、ルベーク積分、確率論と、確かに集合論がベースになっているなと思いました。
数学の「または」と日常語の「または」の違い
たとえば、先に出てきた「A または B」とい表現。日常生活で「コーヒーまたは紅茶?」と訊かれたら、コーヒーか紅茶のどちらか二者択一だとおもうでしょう。ところが数学の場合、「コーヒーまたは紅茶」だとコーヒーと紅茶の両方をいっぺんに頼むケース(コーヒーと紅茶の共通部分)も含まれることになります。
これ、昔は混乱することがあったんですが、今は数学と日常生活とで自然と区別することができるようになっています。
必要条件と十分条件の覚え方
「P(横浜市在住)ならば、Q(神奈川県在住)」の例で説明すると、神奈川県在住であることは横浜市在住であるために少なくとも必要だという意味で「必要」。一方、横浜市在住であることは神奈川県在住であるために十分、「お釣りが来ますよ」という意味で「十分」といいます。
先程の「または」もそうですが、この必要条件、十分条件もなかなか覚えにくい用語です。でも、ここで説明されている神奈川県と横浜市の例は結構わかりやすいなと思いました。特に、「すくなくとも必要」とか「十分、「お釣りが来ますよ」」とか、少し言葉を補うことで理解しやすくなっています。いい覚え方だと思いました。
背理法の落とし穴
背理法はとても強力な証明方法ですが、高校で背理法を習ったときに何だかモヤモヤした人も少なくないでしょう。
もしかすると、それは背理法の落とし穴を感じたせいかもしれません。
背理法の落とし穴、弱点というのは、道が2つ、二元論の問題でないと扱えないということです。
これは、あまり意識できていませんでした。問題をみて、なんとなく背理法が使えそうだというふうに考えていました。
そうか、二元論にしか利用できないんですね。勉強になりました。
集合や論理を扱うことが増えている現代
しかし、集合の共通部分や和集合の知識、必要条件や十分条件、対偶などの論理を扱うシチュエーションは現代において増えていく一方です。
最大の理由は、コンピュータの普及です。集合や論理構造の理解はコンピュータを動かすプログラムの基本、プログラマーでなくても、集合や$${ p \Rightarrow q }$$といった論理がわかっていると、パソコンやスマホを思い通りに扱えるようになります。
その通りだと思います。
コンピュータを扱うためには集合や論理を扱うことが欠かせないですね。
実際、記事『高校数学をプログラミングで解く(準備編)「1-4 条件分岐、繰り返し処理」』や記事『高校数学をプログラミングで解く(数学A編)「1-1 集合の要素の個数」』を読んでもらうと、多少実感がわくかもしれません。
今回は、ここまで。今回の話(第2章)では、「数学Ⅰ」で学ぶ集合や論理の重要性が増していることが実感できる内容となっていると感じました。また、集合や命題の用語は少しわかりにくいところがありますが、この章で丁寧に解説されていますので、理解しやすくなるのではないかと思います。是非、本文を読んでみることをお勧めします。
次回は第3章について読み進めて、別途コメントしていきたいと思います。
MK's papa