Vol.14 積分1ミリメートル~~その3


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1. 問題その1、(1)について・・・


$$
\int \sin{x}\cos{x}  dx                                 \cdots(1)
$$

 この被積分関数の式の型で気付いて欲しい。

$$
\sin{x}\cos{x}                                     \cdots(2)
$$

について、 $${ f(y) = y = \sin{x} }$$ とおくと、(2)は、

$$
f(y)\frac{dy}{dx}                                     \cdots(3)
$$

と書ける。

 微分してその被積分関数の型になるものが、その被積分関数の不定積分と云うものである。なので(1)を求めるためには微分した結果が(3)式の型となる式を考えると良い。

 (3)式は合成関数の微分結果の型をしている。そこで、$${ f(y) }$$ の不定積分を $${ F(y) + C_1 }$$ ( $${ C_1 }$$ は任意の定数 )とおき、

$$
\begin{array}{ll}
\dfrac{d}{dx}\{F(y) + C_1 \} &= f(y)\dfrac{dy}{dx} \\ \\
&= \sin{x} \cos{x}                  \cdots(4)
\end{array}
$$

と考える事とする。

 以上の事を踏まえて $${ f(y) = y = \sin{x} }$$、$${ f(y) }$$ の不定積分を $${ F(y) + C_1 }$$ ( $${ C_1 }$$ は任意の定数 )と置いたことに留意し、計算式を(1)式から続けて書いてみると以下のようになる。

$$
\begin{array}{lll}
&\displaystyle\int \sin{x}\cos{x}  dx \\ \\
=&\displaystyle\int f(y)\frac{dy}{dx}  dx\\ \\
=&F(y) + C_1 \\ \\
=&\displaystyle{\int} f(y)  dy \\ \\
=&\displaystyle{\int} y  dy \\ \\
=&\dfrac{1}{2}  y^2 + C \\ \\
=&\dfrac{1}{2}\sin^2{x} + C
\end{array}
$$

$$
\therefore   \int \sin{x}\cos{x}  dx  =  \dfrac{1}{2}\sin^2{x} + C    \cdots(5)
$$

 ($${C,  C_1}$$ は任意の定数 )。これが答えとなる。ごちゃごちゃ書いたが、実はこの積分が置換積分法により暗算で出来る事に気付いて欲しいのである。

 それが出来るのはこの被積分関数が積の型であり、かつ、積の片方がもう片方の微分の型、つまり、合成関数の微分の型に似ている事を利用できるからで、そこに気付いて欲しいのである。

 そもそも置換積分法は合成関数の微分法を利用したものと捉える事が出来る。

 部分積分法の例題や練習問題として見かけることの多いこの不定積分は、実は置換積分法により暗算で求める事が可能である。

 さて、それではその部分積分法で解いてみようか。

2. 問題その1、(2)について・・・

2_1 部分積分法の公式を当てはめてみる

$$
\int \sin{x}\cos{x}  dx                                   \cdots(1)
$$

 (1)式について、部分積分法を用いてみる。公式に当てはめながら詳細に書いてみる。

$$
\begin{array}{ll}
&\displaystyle \int \sin{x}\cos{x}  dx \\ \\
=&(\sin{x}) (\sin{x}) - \displaystyle \int \cos{x} \sin{x}  dx \\ \\
=&\sin^2{x} -\displaystyle \int \sin{x} \cos{x}  dx\\ \\
\end{array}
$$

 右辺2項目を左辺に移項して、

$$
\begin{array}{ll}
&\displaystyle 2 \int \sin{x}\cos{x}  dx = \sin^2{x}  \\ \\
&\displaystyle \int \sin{x}\cos{x}  dx = \dfrac{1}{2} \sin^2{x}             \cdots(6)
\end{array}
$$

 おっと、公式通りに式計算すると積分定数が無いことに気付き、不定積分の計算結果であるので、その積分定数を上式に付加する事にした、という事になろう。

$$
\therefore  \int \sin{x} \cos{x}  dx  = \dfrac{1}{2} \sin^2{x} + C              \cdots(7)
$$

 ($${ C }$$ は任意の定数)当たり前であるが置換積分法であろうが部分積分法であろうが、不定積分の結果は同じである。しかし、部分積分法で公式通りに計算を進めて、最後に積分定数が無いというのが、どうも気持ち悪いかもしれない。

 実際、私は幾つかの微分積分のテキストに、練習問題としてこの不定積分の計算問題を見かけたが、その解答は(6)式の様な積分定数の無い状態での記載であった。

 誤植、誤記の類であろうか? 高校数学の不定積分の計算結果としては、積分定数分の不定性があるため、積分定数を付加して記載すべしと思うが、どうであろうか?

2_2 部分積分法の公式の再考

 部分積分法の公式は次に示す「関数の積の微分法」の公式より導出できる。関数の積 $${u(x)v(x)}$$ について、

$$
\frac{d}{dx}\{u(x)v(x)\} =  \frac{du(x)}{dx}v(x)  + u(x)\frac{dv(x)}{dx}           \cdots(8)
$$

 次に、両辺を被積分関数と見立ててそれぞれの不定積分を考える。両辺で被積分関数が等しい分けであるから、両辺で不定積分が等しい。

$$
\int \frac{d}{dx}\{u(x)v(x)\}  dx= \int \frac{du(x)}{dx}v(x)  dx+ \int u(x)\frac{dv(x)}{dx}  dx       \cdots(9)
$$

 左辺の結果は容易にわかる。老婆心ながら次の(10)式も示しておこう。

$$
\frac{d}{dx}\{u(x)v(x)\} = \frac{d}{dx}\{u(x)v(x) + C  \}   \cdots(10)
$$

 よって(9)式は次の(11)式の様に書ける。(11)式の左辺に積分定数を示した。が、多くの教科書や参考書にはこの積分定数を見る事は無いと思う(私は思う)。これは私の思い付いたやり方である。

 この左辺については不定積分の結果なのだから積分定数分の不定性がある。よって、積分定数を付加するのが妥当であるというのが私の主張である。

$$
u(x)v(x) + C = \int \frac{du(x)}{dx}v(x)  dx+ \int u(x)\frac{dv(x)}{dx}  dx         \cdots(11)
$$

 この(11)式を移項するなどして、以下に示す様な(私の?)部分積分法の公式となる。

$$
\int u(x)\frac{dv(x)}{dx}  dx = u(x)v(x) +C  -  \int \frac{du(x)}{dx}v(x)  dx          \cdots(12)
$$

 この公式を使うと、

$$
\begin{array}{ll}
& \displaystyle \int \sin{x} \cos{x}  dx \\ \\
=& \sin^2{x} + C_1  - \displaystyle \int \cos{x} \sin{x}  dx
\end{array}
$$

$$
\therefore   \int \sin{x} \cos{x}  dx  = \frac{1}{2} \sin^2{x} + C     \cdots(7)
$$

( 但し $${ \dfrac{1}{2} C_1 = C }$$ とした )これなら(6)の様に、公式通りに計算した不定積分の結果に積分定数が無い!とはならない。

 しかし、やはり思うのだが $${ u(x)v(x) = f(x) }$$ としたとき、不定積分は

$$
\int f(x)  dx = F(x) + C
$$

であるのだから、特に私の個人的に思い付いた不定積分の公式など使わずとも、積分定数などは、計算した結果(形式的に)消失したならば、それは単にその結果に付加しておけば良いと思う。

追記

「この積分公式(12)を考案したのは私が先だ」という方がおられたら、話し合いましょう(話せば分かる)

( 冗談です。このくらいの事は、よく思い付く事かと思います )

3. 問題、その2の解答解説?

 インフルエンザが猛威を奮っているようです。新型コロナの感染対策が徹底し、また、それを一定期間継続したことが、かえって他の感染症に対する(ヒトの)免疫を失わせてしまったかもしれず、何とも皮肉な事と思います。

 その意味では、広い意味ではコロナ禍は未だに継続していると言えるのかもしれません(私個人の考えです)。

 不潔過ぎるといけないのでしょうが、清潔すぎるのもまたいけないようです。

 何事も程々が宜しいという事を、この出来事からも学んでしまう今日この頃です。月並みですが。

 このような事はあちこちで見聞きされているかもしれず、当たり前の事と思われることを書いたかもしれず、恐縮であります。

 しかし交通安全や振り込め詐欺対策は「誰か一人が何処かで1度だけ唱えれば良いと言うものでは無い」という意味で「ここにも書いてみよう、私の"note"を閲覧頂ける方々の目に触れる機会になれば」と思い、述べるところであります。

 私は「私なりの(ここが肝心なところかもしれません)」程々で行こうと思います。

4. 今月の問題

 今月の出題はお休みします。次回の出題にお付き合い頂けましたら幸いです。


 次回は令和7年3月31日迄に掲載予定です。宜しくお願い致します。
  
 遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。本年も、無い知恵を絞って(知恵とも言えませんが)高校数学の出題とその解答解説に励む所存でございます。どうぞ宜しくお願い致します。


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(この部分はPDF版ではカットの予定です)


初稿 2025年 1月 19日

高校数学1ミリメートル
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