【東宝特撮・ミニチュアワーク最高峰】「空の大怪獣 ラドン」('56東宝)
初のカラーによる東宝怪獣映画「空の大怪獣ラドン」です。東宝三大怪獣ゴジラ・ラドン・モスラの中では若干影の薄い気がするラドンですが、この映画では堂々たる主役。
「怪獣映画の生物としての側面」にスポットが当てられた結構珍しい怪獣映画です。前半部分はメガヌロンという巨大なヤゴみたいな怪獣が出てくるんですが、これはラドンのエサなんですね。後半になって登場するラドンは超音速で飛行して衝撃波で地上の建造物を破壊します。
自衛隊によるラドンへの攻撃も定石通りなんですが、この映画の素晴らしさは街並みや自衛隊の戦車やミサイルなどのミニチュアワークが素晴らしいことです。東宝怪獣映画のミニチュアの出来の良さは有名なんですが、この映画は特に素晴らしい。ミサイル発射時の炎や噴煙なんて、CG以前の特撮としてはピカイチなのではないでしょうか。
ラドンが衝撃波で西海橋が破壊されますが、この橋、映画の前年に完成したばかりなんですよ。この映画のお陰で西海橋や阿蘇山を訪れる観光客が増えたそうです。またラドンに破壊される福岡市天神地区の岩田屋デパートの、映画公開後に出来たマークは3本の水流を意匠化したものですが、まるでラドンみたいだと評判になりました。
怪獣に壊される建物といえば「ゴジラ」の銀座和光ビルや松坂屋が有名ですが、松坂屋の社長は「演技でもない」と激怒したそうです。しかし和光ビルは映画の公開後「建物は無事なのか」を確かめるために来場者が増えたそうです。
そのため「ラドン」の場合は「町おこし」の一環として岩田屋や天神地区商店街が映画に全面協力したとのこと。
「ゴジラ」「モスラ」と比べても、「ラドン」のミニチュアは一段違っていて、私はこれを見るがために名画座の東宝怪獣映画特集に足を運んだものでした。
この映画を語る時に必ず出る逸話ですが、「ラドン」のラストシーンで阿蘇山の噴火に巻き込まれて絶命するラドンのシーンを撮影中な片翼を吊るしたピアノ線が切れてしまい、ヨタヨタと羽ばたきながら火口に落ちて行きます。このヨタヨタが如何にも絶命するラドンの悲壮感を盛り上げていると評判になりましたが、これぞ怪我の功名というものです。
「空の大怪獣 ラドン('56東宝)」
佐原健二 / 平田昭彦 / 本多猪四郎
定価: ¥ 5700
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↑プライム・ビデオ「空の大怪獣ラドン」