【竹熊セレクト】リリアン・ギッシュの最初と最後「國民の創生」「八月の鯨(新品)」
「國民の創生」は中古で数回再生。「八月の鯨」
は新品未開封です。盤面に特に問題は見当たりません。
リリアン・ギッシュはアメリカを代表する映画女優。その芸歴は75年間に及びます。
1915年のD・W・グリフィス監督「國民の創生」は、米映画史上最初の長篇映画(2時間46分)。この映画でクロスカッティングや極端なクローズアップ、フラッシュバックなどの映画の基本的な文法(見せ方)を踏まえてが完成されたと言われ、映画史の最重要作品になっています。
同時に南北戦争からリンカーン暗殺、白人至上主義の暴力的秘密結社クー・クラックス・クラン団の結成、KKKによる黒人へのリンチが「肯定的」に描かれ、公開当時から物議をかもしました。「映画史上最も重要な、呪われた映画」と言えます。
この映画でリリアン・ギッシュは主人公の恋人で南軍の従軍看護婦という重要な役を演じています。ギッシュにとっては3作目の映画出演ですが、初の長篇であること、この映画でリリアンの女優としての存在を世間が認めたことから、今回この映画をリリアン・ギッシュの「最初」としました。そもそも初期3作はソフト化されていません。
「最後」は1987年公開のリンゼイ・アンダーソン監督「八月の鯨」です。
アメリカ・メイン州の小さな島に避暑に来る姉妹の日々を淡々と描いた傑作。姉のサラをリリアン・ギッシュが、妹のリビーをこれも大女優ベティ・デイビスが演じています。出演時リリアン・ギッシュは93歳、ベティ・デイビスは79歳でした。
姉妹が毎年訪れる島の入り江には、8月になると鯨がやって来ます。姉妹は夏に鯨を見にこの別荘へ来ることが決まりなのでした。
2人の間には戦争の記憶が重く横たわってます。大戦でサラの若い夫は戦死し、リビーはサラを労るのでしたが、次にリビーの目が不自由になり、今度はサラが面倒を見るように。しかしリビーは段々ワガママになり、言葉にトゲが出ます。2人の諍いは老境になっても続きますが、離れることはありません。お互い1人になるのが嫌なのです。
映画は2人の老婦人のさざなみのような諍いを描きながら、お互いの想いを描き、再び鯨に会うことを夢見ながら静かに終わっていきます。淀川長治がこの映画を絶賛していました。
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