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キャロル・リード「第三の男('49英)」

映画史のオールタイムベストテンには必ず顔を出す名作中の名作。

「自民ケーン」で衝撃のハリウッドデビューを飾った天才オーソン・ウェルズが、この作品ではやはり市民ケーンで共演したジョセフ・コットンとともに俳優に徹しています。監督はイギリスのキャロル・リード。

第二次大戦直後、連合軍に統治されていたオーストリアのウィーンに、売れない作家のホリー(ジョセフ・コットン)が親友のハリー(オーソン・ウェルズ)から仕事を頼まれてやってきました。

ハリーのアパートを訪ねると、なんとハリーは自動車事故で死んだと管理人から告げられます。ホリーはハリーの葬儀に出席し、イギリス軍の少佐と知り合いますが、少佐から、ハリーはとんでもない悪党だったと告げられます。

信じられないホリーはハリーの恋人だったアンナと事故について調べますが、事故の目撃者から、ハリーが死んだ現場に未知の「第三の男」がいたと聞きます。そして、その直後に目撃者は殺されました。

ハリーは本当は殺されたのではないか? 現場にいた第三の男とは誰か? ホリーはハリーの足跡を辿りますが、その過程で少佐の話は本当で、ハリーは敗戦後の混乱期に偽のペニシリンを売り捌く本当の悪党だったことを知るのです。

この映画はアントン・カラスの有名なチターのメロディで始まり、全編が同じメロディで貫かれていますが、同じメロディが陽気になったり陰気になったり、テンポが早くなったり遅くなったりと、全く飽きさせない名演奏なのが流石です。

そしてある夜、ホリーは夜闇に紛れて立っている謎の男に気が付き、通りがかりの自動車のライトが男の顔を照らすと、それは死んだ筈のハリーでした。

久しぶりに親友に会ったハリーの、はにかんだような困ったような笑顔が絶妙で、オーソン・ウェルズは監督としてだけでなく役者としても天才だと知らされます。

敗戦後の破壊されたウイーンを舞台に、暗闇と光を強調するモノクロ撮影が美しく、映画として完璧な作品だと思います。亡くなった赤塚不二夫はこの映画の大ファンで、夜毎自宅のシアタールームで「第三の男」を観ていたそうです。

「第三の男('49英)」
ジョセフ・コットン / オーソン・ウェルズ / キャロル・リード

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