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【竹熊セレクト】大富豪の道楽とその生涯「地獄の天使」「アビエイター」

アメリカの大富豪ハワード・ヒューズが有り余る財力に物を言わせて本物の戦闘機で戦争映画を監督した「地獄の天使」と、マーティン・スコセッシが監督したヒューズの伝記映画「アビエイター」のDVD2作品セット販売です。

1920年代から30年代、「資本主義の権化」「地球上の富の半分を持つ男」として知られた大富豪のハワード・ヒューズには「熱狂的な映画マニア」の顔と「熱狂的な飛行機マニア」の2つの顔がありました。

「地獄の天使」ポスター

ヒューズは自分の趣味を満足させるため、自ら製作・監督で「地獄の天使」を作ります。第一次大戦で敵味方に分かれた大学の級友たちの葛藤を描いた映画ですが、ドラマはさておき、ヒューズは第一次大戦中の複葉戦闘機を多数購入して本物の空中戦をやらせたのです。撮影中3人のパイロットが死亡しました。ヒューズも自ら複葉機に乗り込んで空中で監督中に墜落、大怪我を負っています。

「地獄の天使」上映館に展示された撮影に使った戦闘機。

「地獄の天使」はサイレント映画として制作しましたが、撮影中に世界初のトーキー映画「ジャズシンガー」が公開され、それを見たヒューズは撮影を中止し、改めてトーキー映画として頭から作り直しました。本物の戦闘機を使った大規模な空爆場面と途中からの撮り直しで、「地獄の天使」は初めて製作費が100万ドルを超えた映画として話題になりヒットしましたが、製作費は回収できませんでした。

そんなハワード・ヒューズの数奇な人生を映画化したのが「アビエイター」です。マーティン・スコセッシが監督、レオナルド・ディカプリオは主演とプロデューサーを兼ねました。オタクが大金持ちなり、金にあかせて趣味を追求するとどういうことになるかは、自宅の庭にディズニーランドを作ってしまったマイケル・ジャクソンと似ていますね。最後に精神を病んだのも同じです。

ハワード・ヒューズを演じるレオナルド・ディカプリオ

ヒューズは晩年、極度の潔癖症になり、召使とも顔を合わさず、ラスベガスのホテルの完全殺菌したスイートに全裸で閉じ篭って孤独な生活を送ります。世界一の金持ちになっても、全然幸せになれないのは皮肉な話です。ヒューズの全盛期と病んだ晩年を、ディカプリオが熱演。「地獄の天使」の制作風景も出てくるので、併せて観るとお得です。

「地獄の天使」はスタンリー・キューブリックのフェイバリット・ムービーです。なおアメリカの有名な暴走族ヘルス・エンジェルスの名前は「地獄の天使」から取られています。

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