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【東映動画最高傑作】「わんぱく王子の大蛇退治('63東映)」

東映動画はスタートからの数年間、日本と東洋の神話伝説をモチーフに長篇アニメを作ってきました。その第6作目が「わんぱく王子の大蛇退治」になります。私は、巷間名高い「ホルスの大冒険」よりも、スタイル・作画の完成度ではこの「わんぱく王子」が最高作ではないかと思います。

東映動画発足当初からのスタッフの練熟度はこの作品で一つの頂点に達し、またキャラクターデザインと原画監督(作画監督)である森康二(やすじ)の、生涯のベストワークと呼べるのでは無いかと考えます。

特筆すべきは作画監督(原画監督)という職制がこの作品で初めて導入され、いきなり成功したことです。それまで日本のアニメーションには作画監督という制度がありませんでした。そもそもお手本だったディズニーには、今でも作画監督が居ないのです。

何故そうなるのかと言うと、ディズニーの作り方は1キャラクター=1アニメーターというシステムなのに比べて、日本のやり方は1シーン=1アニメーターのやり方を取っているからです。

日本方式の方が効率的な制作ができるのですが、代わりに一つのキャラをシーンによって別のアニメーターが描くため、キャラ絵が統一せず、作画崩壊に繋がり安い欠点があります。しかしディズニーのやり方ではどんなシーンでもあるキャラは常に同じアニメーターが描くので、作画が安定するのです。

何故日本のアニメーションに作画監督が生まれたのかと言えば、つまり場面ごとに複数のアニメーターが一つのキャラを描くことでバラバラになる作画を、作画監督が修正することで作画を安定させる目的があります。

この「わんぱく王子」では森康二がキャラデザを担当し、かつ作画監督も担当したことで、それまでになかった画面の統一感が生まれました。

またクライマックスのヤマタノオロチとスサノオの空中戦は、天才・月岡貞夫と名匠・大塚康生が競い合って作画することで、かつて無い迫力を生み出しています。

東映動画は「日本のディズニープロ」を目指して創立しましたが、この「わんぱく王子の大蛇退治」において、ディズニーとはまた異なる日本スタイルのアニメーションを完成させたのではないでしょうか。

「わんぱく王子の大蛇退治('63東映)」
岡田由記子 / 久里千春 / 芹川有吾
定価: ¥ 4500

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↑プライム・ビデオ「わんぱく王子の大蛇泰治」


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