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#きさらぎ駅
【小説】ある駅のジュース専門店 番外編「訪問」
クーラーボックスを携えて、久しぶりに電車に乗った。先輩に会いに行くのは初めてなので、少し張り詰めた気持ちで窓の夜景を見つめる。
電車はトンネルを抜け、ある無人駅に停まった。少し錆びついた駅名標には「きさらぎ」の文字。開いたドアから生温かい風が吹き込んでくる。私は席を立って電車を降りた。
先輩は、私が駅を建てる十七年前から既に、その存在を多くの人間たちに知られている。駅を建てると決めたのも、先
クーラーボックスを携えて、久しぶりに電車に乗った。先輩に会いに行くのは初めてなので、少し張り詰めた気持ちで窓の夜景を見つめる。
電車はトンネルを抜け、ある無人駅に停まった。少し錆びついた駅名標には「きさらぎ」の文字。開いたドアから生温かい風が吹き込んでくる。私は席を立って電車を降りた。
先輩は、私が駅を建てる十七年前から既に、その存在を多くの人間たちに知られている。駅を建てると決めたのも、先