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「後継者の葛藤とブランディングの道 ~コンサルタントの一言が変えた未来~」



1. 事業承継と模索の日々

名古屋で出会ったあるブランディング会社の経営者。初めて話をした時、彼の律儀で誠実な姿勢、そして「経営理念→経営戦略→マーケティング戦略」という体系だった視点に強い共感を覚えました。その一貫した考え方で企業の軸を捉え、本質を引き出す姿勢には、自然と敬意が湧いてきました。

もともと彼は、親から引き継いだ印刷会社の二代目経営者でした。彼は当初、「形のある製品を通じて価値を届ける」ことに意義を見出し、事業承継を通して企業価値を守ろうと考えていました。しかし、実際に経営者となってからは、「本当に自分がこの事業で価値を提供できているのか?」という問いが心に残り続けたといいます。

事業承継後、印刷業からファブレスに転換し、営業や製造、あらゆる業務に必死に取り組みましたが、根本的な「自分のやりたいこと」にはなかなか辿り着けませんでした。10年にもわたるこの模索の日々は、企業の在り方と自身の存在意義に対する葛藤の時間でもあったようです。

2. コンサルタントの一言で始まったブランディング事業

彼がブランディング業へと転身するきっかけとなったのは、経営コンサルタントとの出会いでした。長年の模索の末に相談を持ちかけた際、コンサルタントから「あなたがしているのはブランディングではないですか?」という問いかけがあったそうです。

この言葉が彼にとって大きな気づきの一つとなりました。それまでは、印刷業という「形ある製品」を提供する仕事に慣れ親しんでいたため、「無形のサービスを通じて、本当に価値を提供できるのか?」という不安が付きまとっていました。しかし、その問いかけをきっかけに、自分が企業の「どう見られるか」という本質的な価値を引き出す役割を担っていると実感します。そして、自身の仕事の本質が単なる製品の提供ではなく、企業の在り方を支えるブランディングにあると気づきました。

こうして、彼は印刷業からブランディング事業へと舵を切り、企業の理念から経営戦略、そしてマーケティングに至るまでを包括的に支援する仕事に専念することを決意します。企業が「どのように見られたいか」を軸に根幹から立て直し、社員や取引先にまで一貫した理念を届ける取り組みは、徐々に成果を生み、業界内でも高く評価されるようになりました。その成果が認められ、ブランディングコミュニティで表彰されるまでに至っています。

3. 後継者に伝えたい「志」

彼はこうした経験を通して、次世代に伝えるべき「志」の重要性を強く感じるようになりました。企業の本質的な価値を捉え、それを支える志を後継者に伝えること、そして自らの理念を持って企業の軸を次世代に引き継ぐことが、経営者としての重要な使命であると考えています。

彼は現在、弟子や社員を育てながら、企業にとっての価値を次世代に継承しようと取り組んでいます。この「志」を持った後継者を育て、経営における本質的な役割を次世代へと託すことが、彼にとっての新たな挑戦であり、人生を通じた使命でもあります。

まとめ

彼のように、自分の本質的な役割を見つけるためには、時に外部からの助言を柔軟に受け入れ、軸を見直すことが大切です。この出会いは、私自身にとっても、自分のビジネスを再考する大きなきっかけとなりました。形の有無にこだわらず、本質的な価値を提供することに意義を見出す視点を持ち続けたいと感じています。


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