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【農業・芸術・食をテーマに3ヶ月でヨーロッパ6カ国⑩】 イタリア-トリノ 馬6匹とシャーマンとWWOOF(前半)

「農業」「芸術」「食」をテーマにヨーロッパを6ヶ国周ったシリーズです。南イタリア2箇所でWWOOFを経験したあと、南イタリアと北イタリアの違いや動物と身近に暮らすことを体験してしてみたく、北イタリアでも2週間、馬6匹がいるファームでWWOOFをしてきました。その体験の前半記事です。

基本的にWWOOFのホストとは、オーガニックファーマーということで畑を所持しているホストがほとんどですが、今回のホスト先には畑はなく、馬を6頭飼っており、ホースセラピーのような馬との触れ合いができる場所をワークショップなどのイベントを通して提供しているところでした。「ホースセラピーの場」と断言できないのは、ここで飼育している馬たちも以前の飼育環境に問題があり療養が必要な状況なため、人間が一方的に癒してもらうというより、馬も人間もお互いに触れ合いながら成長するというコンセプトの場所だったためです。

ちなみに、今回のホストは、セラピーだけでなくスピリチュアルなことにも活動範囲を広げており、シャーマンとの繋がりもありました。

シャーマンとは
超自然的存在と直接接触・交流・交信する役割を主に担う役職。呪術者・巫・巫女・祈祷師・ムーダンなど。(Wikpediaより)

私の滞在中にもここで催されるイベントの講師として、シャーマンの女性がペルーから来ました。他にも、この家ではシャーマンミュージックが好きな人が集まり1日中シャーマンミュージックを奏でるという日が、2週間の滞在中3日ほどありました。
あと、滞在中に風邪をひいたのですが、その時ホストにアルケミストが作った薬を分けてもらいました。アルケミストとは、日本語でいうと錬金術師のことです。私にとってアルケミストは、パウロ・コエーリョが書いた本の印象しかなかったし、シャーマンも実物に会えるとは思ってもいなかったので、ここでの体験はなんとも普段の生活からはぶっ飛んだ不思議なものでした。

もっと詳しいホスト先のことを、まずはロケーションから説明します。
今回のホスト先は、トリノの中心地から電車で30分ほど行った町にありました。トリノというと、右隣にある街ミラノの方が有名であまり意識されていませんが、イタリア王国最初の首都です。そしてスローフード運動の始まったピエモンテ州に属しています。スローフードを代表するお店EATALYの本店があるのもトリノです。今回のWWOOFの後、トリノも観光してきたので詳細はまた詳しく書きたいと思います。

〈ホスト&従業員&ゲスト〉

・エマ(40代)…ここのホスト。優しいが神経質でパニックになりがち。彼女からは、滞在前も滞在期間や到着時刻などに関して何度も神経質なメールが来て困った。アメリカに長く住んでおり、アメリカではホースレスキュー(劣悪な飼育環境にいる馬を保護したり、飼育できない馬を引き取り育てる仕事)として働いていたそう。現在のような動物と暮らすことが幼い時からの夢でやっと実現させたとのこと。
・コラド(40代)…エマの元彼。体はムキムキで、人見知り。元々はエマと2人でこの場を始めたようだが、今は別れていて、住んではいないが仕事を手伝いに来る。ミュージシャンでもあるようで、シャーマンミュージックのイベントで歌を歌っていた。
・マウロ(40代)…従業員。少し日本人をバカにしたことも言っており(イタリア語は話せないけれど、なんとなく聞くことは出来るので分かってしまった)最初苦手だったけれど、最後雨の中きつい仕事を一緒にして少し打ち解けた。コラドと仲が悪い。途中で転職していなくなった。
・ラウラ(50代?)…ペルーからイベントの講師としてきたシャーマンの女性。インカのケチュア文化を伝える活動をしている。すごく明るく優しい。
・マッシモ(60代)…ラウラのパートナーのイタリア人男性。前妻との間に孫までいるそう。すごく明るく元気でよく笑う。スキンヘッド。

〈動物〉

・馬 6匹 …それぞれに個性があった 詳細は後編で

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・犬 4匹 

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(↑カロリーナ 2才、小型犬、お嬢様気質なのにすごくおてんばで面白い)

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(↑ココロ:左 大型犬、2才、暴れん坊、カロリーナといつも遊んでいる イベント開催時には閉じ込められる)

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(↑ベートベン 13才、たまにトイレの場所を間違う)
スケッチを忘れましたが、ラッキーというベートベンと同い年で同じ犬種の犬もいました。
犬たちは室内にも野外にも自由に出入り出来るのですが、リビングルームは犬に占領されていて、ソファはいつも毛だらけで座れたものではなかったです。

・猫 2匹 (2匹とも今まで見たことないくらい巨大)

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(↑名前不明 相当年寄りのよう、巨大、キッチンの窓辺に居座っている)
あと、ピセという名の巨大な猫がいつもダイニングテーブルの上にいて、食事を邪魔してくる。

〈家&食事〉

家は今までにしたWWOOFと比べると、新しくて一番綺麗でした。けれど、欠陥工事だったみたいで、私の泊まった部屋のシャワーはお湯が出ず、ミスト状の水しか出なくてすごく寒かったです。それを訴えると、エマは欠陥工事のことを思い出してヒステリックになるので、なかなか交渉が難しかったです。

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(↑泊まっている部屋から見た庭 左奥には山が広がっており馬が自由に過ごせる、右のテントでシャーマンのイベント等を開催する)

家も庭もすごく綺麗なのですが、なんだか綺麗に造られ過ぎてて、少し私には物足りない印象でした。北イタリアは、南イタリアの自然とは植生がすごく異なります。この時は南イタリアで見た生き生きとした自然が懐かしくなりました。

食事は、エマや私たち(私は彼とWWOOFをしました)が特に決まりはなく交代で作りました。エマはアジア料理が好きなようで、アジア料理用の調味料が沢山あってその点では助かりましたが、食への意識が偏っていて、毎回買う食材が一緒なうえ冷蔵庫の中に腐ったものを放置する癖があって、そこは困りました。あと猫がいつもダイニングテーブルにいるところも。
エマが作ってくれた、ゴルゴンゾーラと梨のリゾットや人参のパンケーキ(イタリアは小麦粉の種類が沢山あり、もともと人参をパウダーにしたものを混ぜてある小麦粉がある)は美味しかったです。

〈余談〉

ある晩、食事中にエマとセラピー関係の話をしていて、苦手なもの話になりました。私が、「〇〇がどうしても苦手で、これをしてると泣きそうになるんだよね」と話した時、エマが、「いいのよ泣いても。ここでは馬も受け入れてくれるし、私も何もバカにはしないわ。自由よ。」とすごく優しく言ってくれたのですが、そのときは全然泣きたい気分でもなくて、申し訳ないのですが、少ししらけた気分になりました。なぜなら、エマと一緒に生活していて、普段の彼女の言動に疲れていたから。シャワーのお湯が出ないことを訴えても欠陥工事を思い出し不機嫌になったり、犬や動物用の洗濯機を使わせられたり(彼女は違う洗濯機を使うが、そのランドリールームが散らかっていて見せたくないから動物用を使ってと言われた)、朝ごはんに干からびたパンがでたり(彼女はパン屋で買ってきたクロワッサンを食べるけど、私たちには干からびたパンを復活させる方法を教えてあげると言って水をかける方法を教えてくれた)していたから。不満ばかり書いてしまいましたが、基本的には、エマは優しいです。彼女によくしてもらったことも沢山あります。ただすぐ余裕がなくなってヒステリックになりやすかったり、周りが見えなくなる彼女。家に沢山あるセラピーの本は、彼女自身のためなんだなと思いました。
私も将来的に芸術療法に関わったり人が集える場所を作りたいたいと思っているのですが、私も彼女と似たところは持っているので、まずはしっかり自分の性格をコントロールすることができないと人と接することはできないなと感じました。あと、相性やタイミングもあるけれど、押し付けがましいセラピーってのもなんだか違うなと。居心地がいいと感じる場所というのは、与える優しさも大事だけれど、相手をまるっと受け止める度量の大きさがすごく大事だなと感じた夜でした。


こんな感じで、またまた癖のある人達と、家の中でも外でも動物まみれな環境で2週間過ごしました。
前半では少しネガティブなことも書いてしまったけれど、後編では仕事内容やここにいた詳しい馬の事、シャーマンのイベントの事などを書きたいと思います。


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