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Carl Zeiss Jena DDR 50/2.8 Tessarの修理

久しぶりの更新です。
このところ忙しく、なかなか記事が書けない状態だったのですが、ボチボチ書き始めたいと思います。

さて、先日、オークションで訳ありのオールドレンズ、Carl Zeiss Jena DDR 50/2.8 Tessarを手に入れました。

Carl Zeissとは

カール・ツァイス AG (Carl Zeiss AG) は、ドイツの光学機器および光電子工学のメーカーで、1846年に光学者のカール・ツァイスがドイツのイェーナで設立した会社である。エルンスト・アッベ(1866年入社)、オットー・ショット(1884年入社)と共に、今日の多国籍企業の基礎を築いた。現在のツァイスは、東西ドイツのカール・ツァイス社の再統一と1990年代の統合によって誕生した。ツァイスは、ほぼ50カ国で産業品質と研究、医療技術、消費者市場、半導体製造技術の4つの事業分野でほぼ同程度の売上で活動しており、世界中に30の生産拠点と約25の開発拠点を持つ。

カールツァイスAGは、ツァイスグループ内の全子会社の持株会社であり、そのうちカールツァイスメディテックAGは株式市場で取引されている唯一の会社である。カールツァイスAGは財団法人カールツァイス財団の所有となっている。カールツァイスグループは南ドイツの小さな町オーバーコッヘンに本社を置き、東ドイツのイェーナには第二の創業地がある。カールツァイス財団は、マインツとイェーナにあるガラスメーカー、ショット AGも支配下に置いている。カールツァイスは現存する世界最古の光学機器メーカーの一つである。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Tessarとは

テッサー(Tessar)はカール・ツァイスが製品化した単焦点写真レンズ、およびその構造の名称である。カール・ツァイスを代表する名玉の一つ。

1902年4月、パウル・ルドルフがエルンスト・ヴァンデルスレプの協力を得て考案した。F値は発表当時F6.3であった。ルドルフはF値の向上に否定的であったが、ヴァンデルスレプによりF4.5、ウィリー・ウォルター・メルテによりF3.5、さらにF2.8まで大口径化された。ツァイスの分類では、F6.3のテッサーがシリーズIIB、製版用のアポテッサーはシリーズVIII、F4.5やF3.5の大口径テッサーはシリーズICとされた。

名称は構成レンズ数が4枚であることからギリシア語の4(τέσσαρες: Tessares )から来ている。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

カール・ツァイスのレンズ製品名はビオターとかディスタゴン、プラナー、 ゾナー、フレクトゴン・・・等々多種あってマニアで無い限り機種はわからないのですが、まあ、簡単に言えば、Tessarは構成レンズが4枚と言う事から名付けられたレンズと言う事ですね。

Carl Zeissと言えば高級レンズの代名詞で、その価格も貧乏人の自分にはとても手の届かないものです。

たとえば、ソニーのミラーレス、α用のレンズだと、シリーズ名は異なりますがSonnar 55mm/1.8だと、

希望小売価格113,300円(税込)   !!!!

比較的低価格で提供される単焦点標準系レンズの中にあって、10万円超えはなかなかにセレブ価格💦

こんなレンズ、とてもじゃないですが買えません😅
しかし、オールドレンズとなると話は別で、よほど銘玉でも無い限り、リーズナブルな価格で入手できます。
たとえば、自分が手に入れた50/2.8 Tessar M42マウントだと、状態にもよりますが大体1万円前後で流通しています。

ちなみに自分が手に入れたTessarは訳ありで数千円。
何が訳ありかというと、絞りが開放のまま動作しないというものでした。

確かにマニュアルモードにして絞りリングを操作しても、オートモードでマウント部のピンを押し込んでも絞りは動きません。
絞りが動作しない原因として考えられるのは

1.絞り機構の故障など、機械的・構造的問題
2.ヘリコイドグリスの染み出しで絞り羽根が癒着している。
3.絞り機構が除去されている

3は滅多にありませんが、先日、そんなクソ玉を説明も無く高値で買ってしまったので、皆無とは言えません。(`Д´) あのやろー!💢

外見から2はなさそうなので、たぶん1でしょう。
と言うわけで早速分解してみます。

レンズの分解

まず、マウント部の3つのネジを外します。

外すとマウントのカバーがゴッソリ外れます。
続いて絞り操作レバー、絞り操作環と外します。

このとき、カチッカチッとした操作感を出すための小さな鉄球がバネと共に仕込まれているので、そ~~~っと外してください。パパッと外してしまうと、鉄球がピョ~~~ンとどこかに飛んで行ってしまいお釈迦になりかねませんので・・・。

ああ、これか・・・
この時点ですぐに状況が理解できました。
絞りを動かすためのレバーを戻す、ねじりバネが機能していません。

レバーを外したらバネの先端が鏡筒の中に落ちてました。
絞り自体は操作するときちんと解放から最小絞りまで動作したので問題なさそうです。
ところが・・・!
ここで新たな問題発見。なんと、絞り羽根に油染みが・・・😨
こりゃあ、絞りまで全バラコース💦
前玉も外さないと~~~(~_~;)

前玉のカバーはピントリングを最短距離に操作してレンズを繰り出し、カバーを握って回すと外せます。
その後、カニ目回しで前玉を外します。

ここでも注意点が。
実は前玉が絞りユニットを抑える役目もしているのです。
なので、前玉は慎重に取り外してください。
自分は手荒に外したら、見事に絞り羽根がばらけてしまいました😥⤵

絞り羽根を操作する連動金具と、ストッパーを外すと絞りユニットが分解できます。
このとき、鏡筒と各パーツの位置関係がわかるように写真を撮っておきましょう。
特に絞り羽根を動かすレバーが入るスリット位置やストッパーの位置など、間違えると絞り羽根から再度組み立て直す羽目になります。

あと、ピンセットで示している絞り操作レバーのネジと、ヘリコイドの直進固定金具用のネジは同じように見えて、長さが異なるので間違えないように注意してください。

全バラ終了(爆)

画像では前玉を繰り出すヘリコイドまで全部分解していますが、ここまで分解しなくても絞りユニットは取り出せます。
ただ、今回はヘリコイドグリスの染み出しが問題になっていたので、そちらの清掃も兼ねて全部バラしました。

なお、ヘリコイドを取り出すときは、予め無限遠時のヘリコイド位置をマーキングしておく事を忘れずに!
そうしないと組み立てたときに、無限遠が出ないトラブルに遭遇しますので。

やはり、ヘリコイドグリスが劣化して染み出していたようですね。
ヘリコイドグリスと染み出した油を丁寧に除去し、絞り羽根は洗油で一枚一枚丁寧に洗浄。
洗油はパーツクリーナーで大まかに油を除去し、エタノールを含ませたキムワイプで拭き上げました。

ちなみにヘリコイドに使用したグリスはこちら。

慎重に絞り羽根を組み込み、ガイドと操作リングを戻します。
絞り羽根を操作する連動金具と、ストッパーを取り付け、前玉を戻します。
これがとにかく気を遣う作業。ミスると絞り羽根が再びバラバラに😣

前玉さえ戻せれば、あとは心配なし
絞りの動作も油染みが解消し、スムーズです。

さて・・・と・・・

問題のバネをどうするか・・・
最短の解決方法はバネの交換ですが、こんなバネ、手に入るわけがありません。
残す手段は2つ

1.一から作る     ←ムリ!
2.今あるバネを加工  ←何とかなる?

2を採用。
取り外した操作レバーからバネを取り出します。
腕金具とレバー、バネをつないでいるシャフトを抜きます。
シャフトは片側がカシメられているのでニッパの刃先で丁寧にカシメで広がった部分を戻し、反対側から引っ張ったら抜けました。

問題のバネはこんな感じのねじりバネ。
一方が絞りを動かすレバー金具に当たり、一方がレバーユニットの腕金具側に固定されます。
×印のところで折れて腕金具に固定されないので、バネを一巻き分伸ばしてヒゲを作る事にしました。
巻き数が減る事で若干テンションが低下しますが、まあ、大きな問題は無いでしょう。

腕金具にレバーとバネ、シャフトを戻してシャフトの片側をカシメます。
カシメツールは精密ドライバー(笑)
細いシャフトなので軽く当てて叩けば広がります。
要は抜けなければ良いので。

とここまでは良かったのですが・・・

意外な落とし穴にはまり、レバーユニットの組み立て、調整を数回行いました💦
と言いますのも、レバーのテンションを強くした方が絞りの動きも良くなると思い、最初強めにギュッと締め上げて組み立てたら、マウント部のピンが押されたまま戻ってこないという状態になってしまいました。
原因はレバーのテンションが強すぎ、マウント側のピンのバネ圧が負けてしまったこと。
つまり、マウント側のピンのバネ圧よりも、レバーのバネ圧は弱くなければならないのでした。

そんなわけでバネを外し、ヒゲの出る角度を調整し組み立てすること数回。。。ようやく正常動作するように出来ました😓

は~~~、やれやれ。
無事絞りも正常に動くようになって一安心。

いろいろアクシデントに遭遇しつつ、無事復活させる事が出来たTessarさん。

試し撮り・・・いつになったらいけるのか?

春はまだかいな🌸

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