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「日本茶」を出品できる海外のコンテスト、あれこれ。

「日本茶」を出品できる海外のコンテスト、意外と、結構あるものです。

僕も、「末吉製茶工房」という会社を2017年に起ち上げてから、自分たちの作るお茶についての第三者からの評価を知りたくて、いくつかの海外コンテストに挑戦してきました。
初めはほんの腕試しのつもりでしたが、今ではお茶作りをする上での指標の一つになっています。

最近では、海外のコンテストに出品するお茶屋さん、お茶農家さんもだんだんと増えてきているように感じます。
でも、挑戦したくてもできていない人は、まだまだ多いかと思います。
特に、個人でやっているお茶農家さん。

うちにもちょくちょく相談が来るようになったので、情報共有として、僕の知っていることを記事にしようと思います。

※ ここに書かれている情報は、記事作成時点のものですので、詳細は公式サイトや事務局にて直接ご確認ください。


パリで唯一の「日本茶」のコンクール "Japanese Tea Selection Paris"

申込みのしやすさ:☆☆☆☆☆
出品している人の多さ:☆☆☆


概要と申込みについて

開催国(都市)は、フランス・パリです。

「パリで唯一の日本茶のコンクール」

と謳っているだけあり、出品できるのは「日本茶」のみです。

「日本茶」のみが対象ということもあり、申し込み期限は茶農家の繁忙期(1番茶期)を避けた毎年8月中旬頃なのも、申し込みやすいポイントの一つです。
(ただ、3番茶が終盤の頃なので、そこは前もっての準備が必要です。)

公式サイトからの申し込みとなりますが、海外コンテストでありながら事務局は日系の現地企業ですので、申し込みフォームも日本語、困ったとき等の対応も全て日本人のスタッフとのやり取りで済みます。
出品茶も、日本国内の指定倉庫に送るだけで現地フランスまで届けてくれます。

オプションの有無によって変動しますが、出品料は1品当たり9,800円(2022年)とお手頃。
ちなみに、うちは、オプションで、
 ・報告書(5,000円~)
 ・フランスの現地機関でのEU残留農薬検査(60,000円)
もお願いしています。


審査・難易度

審査項目は、「味」「香り」「水色」です。

審査は、一次、二次、三次(グランプリ審査)まであり、審査員は、料理学校関係者、レストランシェフ(元リッツパリ総料理長 など)、ソムリエ、お茶専門店のオーナー、日本茶バイヤー、お茶関係ジャーナリスト等、フランスでも日本茶や日本食に精通しているメンバーで構成されています。

結果発表は、「金賞」までの発表が11月頃、「金賞」の中から最も優れている「グランプリ」を選び、発表されるのが翌年1月頃です。

公式サイトには、目安として、応募総数の内、33%以上が受賞する(銅賞以上)と書かれていました。
なお、2022年度の出品総数は230点でした。

また、上述したように、追加オプションではありますが、審査に関する報告書を入手できるので、出品した自分のお茶の立ち位置を知ることができるのも良い点でしょう。


年々、出品茶が増えていて、認知度もどんどん上がってきている印象です。

申込みしやすい海外コンテストとしては、”Japanese Tea Selection Paris” が間違いなく一番だと思います。

公式サイトはこちら

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「食のオスカー」とも呼ばれる、世界最大規模かつ権威のある食品の国際コンテスト "Great Taste Awards"

申込みのしやすさ:☆
出品している人の多さ:☆☆☆☆


概要と申込みについて

開催国(都市)は、イギリス・ロンドンです。

「食のオスカー」とも呼ばれており、世界最大規模の食品の国際コンテストで、世界各国から毎年1万点以上の食品が出品されています。

先ほどの ”Japanese Tea Selection Paris” とは違い、「日本茶」以外の多くの食品も出品されています。

申込み時期は、コロナの流行で多少変則的な時期もありましたが、大体2月上旬頃がエントリーの締切りです。
(2023年は2月7日(イギリス時間)が締切りでした。)

なお、エントリー数が、事務局が設定している上限に達すると、申し込み期限前であってもエントリーが締め切られるので注意が必要です。

申し込みは、公式サイトにて、まずはアカウント登録を済ませてからになります。
そして、アカウント登録も、その後に入力する申し込みフォームも、事務局から送られてくるメッセージも、全て英語です。
申し込みフォームも、毎年少しずつ変わっているので、「去年と同じように入力すればいいや」では済まないのも、申し込みの難易度を上げています。

ただし、アカウント登録や申し込みフォームの英語は、べらぼうに難しいものではないので、翻訳機能等を使えば何とかなると思います。

それと、忘れちゃいけない出品茶の送付についても英語です。
日本のEMSで送るのが確実で簡単だと思いますが、2022年はコロナや、ウクライナ・ロシア間の関係の影響でEMSが使えず、代わりの輸送サービスを探して送るのに一苦労しました。

出品茶についてはもう一つ、送付時期についても注意が必要です。
無着香のリーフティーの送付は、大体5月上旬頃で、うちのような茶摘みが遅い地域では、早生品種のお茶が間に合うかどうか。
エントリーはしたものの、新茶ではないお茶を送付しなければならない場合も十分有り得ます。

なお、出品料は、出品者の年間売上高にもよって変動しますが、うちは1品当たり68ポンド(2022年)でした。


審査・難易度

具体的な審査項目や審査方法等は公表されていないかと思いますが、公式サイトで度々謳われているのが、「何よりも味を重視する」ということです。

受賞の難易度については、他と比べて群を抜いていると思います。

エントリーした食品の内、毎年、約6割の食品が「No Star」、つまり、星が一つも与えられません。
最高評価の「三つ星」に至っては、エントリー数の約1~2%しか受賞できない、本当に狭き門となっています。

結果発表は、毎年8月頃で、全「三つ星」の中から最も優れた一品を選ぶ「Golden Fork」の発表は10月頃です。


こちらも、年々、日本からの出品(受賞)が増えている印象です。
申込みや事務局とのやり取りが全て英語で、かつ、受賞の難しさからも敬遠されがちなコンテストではありますが、「食のオスカー」と呼ばれる国際コンテストでの受賞の価値は、海外における知名度という点でも他のコンテストより頭一つ抜けていると感じます。


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「世界最高のリーフティーの祭典」を謳い、2022年に初開催となった "The Leafies"

申込みのしやすさ:☆☆
出品している人の多さ:☆☆


概要と申込みについて

開催国(都市)は、こちらもイギリス・ロンドンです。

「世界最高のリーフティーの祭典」を謳い、2022年に初開催となりました。
主催は、UK Tea Academy(イギリスに拠点を置く、世界の茶類に関わるティー・プロフェッショナルの育成機関)であり、また、老舗百貨店であり紅茶ブランドとしても有名なFortnum &Mason が共催となっているようです。

2022年は初開催ながら、世界のお茶が20種以上のカテゴリーに分けて募集され、約300種の茶葉が集まったそうですので、それだけ主催者、共催者の知名度の高さが伺えます。

申込み時期は、2022年は9月中旬がエントリーの締切りで、出品茶の送付は9月末でした。

なお、こちらのコンテストも、エントリーフォームや事務局から送られてくるメッセージは全て英語ですが、べらぼうに難しいものではないと思います。

なお、出品料は、1品当たり50ポンド(2022年)でした。


審査・難易度

具体的な審査項目や審査方法等は公表されていないかと思います。
一応、公式サイトでは、茶の専門家である欧州アジアの多様な審査員によって審査チームが編成され、厳正な審査が行われるとあります。

各カテゴリーにどれだけのお茶が出品されたのかという内訳が公表されていないため、厳密な受賞率は算定できませんが、やはり世界の茶類の専門機関が審査員というだけあり、受賞の難易度は高い印象です。
というのも、各カテゴリー毎に審査が行われ、当該カテゴリーの中で非常に優れたお茶には「GOLD(金賞)」が与えられることになるのですが、一方で、審査員のお眼鏡に敵うものがなければ「該当なし」とする容赦のない規定が明文化されています。

ですので、「GOLD(金賞)」は、各カテゴリーで1点のみ
「HIGHLY COMMENDED(優秀賞)」も1~2点程度の印象です。

なお、2022年の結果発表は10月でした。

こちらは2022年が初開催でしたので、去年のエントリー時期の時点では、周りは知らないか、様子見という印象でしたが、日本からの出品茶が割と入賞を果たしており、2023年以降は出品者が増えるのではと思っています。

Great Taste Awards と同様、申込みや事務局とのやり取りが全て英語で、かつ、受賞の難易度も高めですが、出品が「茶」に絞った国際コンテストで、かつ、世界の茶の専門機関からのお墨付きというのは、今後価値が高まっていくのではないかと思います。


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世界の優れた味覚と品質を持つ食品・飲料品を評価する ”Superior Taste Award”

申込みのしやすさ:☆☆☆
出品している人の多さ:☆☆☆


概要と申込みについて

開催国(都市)は、ベルギーのブリュッセルです。

世界の優れた味覚と品質を持つ食品・飲料品の評価を目的としたコンテストで、 ベルギーのブリュッセルに本部を置く国際味覚審査機構(iTQi)によって毎年開催されています。

ちなみに、iTQiとは、International Taste & Quality Institute(国際味覚審査機構)の略称で、審査員は、ヨーロッパで最も権威のある調理師協会および国際ソムリエ協会(ASI)に属する一流シェフやソムリエで構成されています。

申込み時期は、食品と飲料品とで少しずれがあるのですが、2023年は3月上旬、10月下旬の年2回、また、出品茶の送付期限も3月上旬11月上旬のようです。

なお、エントリーフォームや事務局から送られてくるメッセージは日本語ですので、ここでつまづくことはないと思います。

なお、出品料ですが、うちが出品した年は、1品当たり1,195ユーロ(2020年)でした。
今現在の出品料はどうなっているかわかりませんが、当時とそんなに変わっていなければ、この記事で紹介している他のコンテストと比べて出品料が高いのがネックでしょう。


審査・難易度

食品はシェフ、飲料品はソムリエにより審査される。
審査会は目隠し方式によっておこなわれ、同カテゴリー間の製品の優劣を競うものではない。
審査基準は主に賞味したときの心地良さに重点を置き、その分析方法は官能分析の方式に則っている。各審査員は5項目(製品の第一印象、製品の外観、香り、食感、そして味・後味)に従ってスコアをつけ、評価の根拠となるコメントを残す。
審査員全員から寄せられたスコアは「味覚」と「製品の第一印象」に特に高い重点を置いた上で集計され、その結果最終スコアが得られる。審査の最終スコアは、審査員からの提案・コメントとともに参加企業に秘密厳守で伝えられる(別途費用が必要)。

(出典:Wikipedia)

審査員による官能分析の評価が70%以上の製品のみが優秀味覚賞を受賞することができる。

・総合評定 70%以上-80%未満 - 製品は「美味しい」と評価され、1つ星を獲得する。
・総合評定 80%以上-90%未満 - 製品は「特記に値する」と評価され、2つ星を獲得する。
・総合評定 90%以上 ― 製品は「きわめて優秀」と評価され、3つ星を獲得する。

(出典:Wikipedia)

すみません、昔のことでよく思い出せなかったので、Wikipediaから引用させてもらいました。

味を重視していること、一流のシェフらがブラインドで審査することが、審査の特徴かと思います。

なお、2023年の結果発表は6月に行われるようです。

お茶に限らず、食品、飲料品が対象であり、日本からの出品も非常に多い印象です。
2022年度は、約5,000点のエントリーがあり、2,350点が受賞したようです。

日本からの出品も多く、Japanese Tea Selection Paris と同様、申込みや事務局とのやり取りを日本語でできるので、その点で出品のハードルは低いかと思います。


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お茶やハーブティーの真の価値を普及することを目的としたコンテスト "Teas of the World"

申込みのしやすさ:☆
出品している人の多さ:☆


概要と申込みについて

開催国(都市)は、フランス・パリです。

フランスの非政府・非営利団体であるAVPA(The Agency for the Valorization of Agricultural Products)が主催するお茶の国際コンテストです。

評価の高いものから順に、Gourmet d’Or(ゴールドメダル)、Gourmet d’Argent(シルバーメダル)、Gourmet de Bronze(ブロンズメダル)、Diplôme Produit Gourmet(グルメメダル)で評価されます。

申込み時期は、2021年は8月下旬がエントリーの締切りで、出品茶の送付は9月中旬でした。

こちらのコンテストも、エントリーフォームや事務局から送られてくるメッセージは全て英語ですが、べらぼうに難しいものではないと思います。
それと、

なお、出品料は、メンバーフィー110ユーロに加えて、1品当たり100ユーロ(2021年)という設定でした。


審査・難易度

具体的な審査方法等は、公式サイトから入手することができます。
ただ、審査項目については、公表されていなかった気がします。

審査方法としては、まずは、茶や美食の専門家等から構成される審査委員会によって、出品茶が賞を受賞するに値するかの評価が行われます。
その後、消費者や食の愛好家等のいわゆるアマチュアのメンバーから構成される審査委員会によって、最終的な賞の評価が決定されます。

本コンテストも、各カテゴリーにどれだけのお茶が出品されたのかという内訳が公表されていないため、厳密な受賞率は算定できません。

なお、2022年の結果発表は10月でした。


申込みや事務局とのやり取りが全て英語で、かつ、日本からの出品が少なく認知度もまだ低めという印象ですが、それを競合相手が少ないと捉えることもできるかと思います。


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おまけ(日本で開催されるコンテスト)

世界緑茶コンテスト

うちは出品したことないので、詳しい情報や体験談は書けないのですが、拾える情報を整理しておきます。

申し込み期限:6月末頃
申し込みフォーム:日本語
出品料:1品当たり15,000円(賛助会員は10,000円)
結果発表:10月頃

審査項目は、「コンセプト、名称」「パッケージデザイン」「コストパフォーマンス」「香気」「滋味」だそうです。

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日本茶AWARD

こちらは、うちも2018年から毎年出品しています。
が、正直なところ、2018年に受賞したっきり、うちは鳴かず飛ばずが続いております。

申し込み期限:6月下旬頃
申し込みフォーム:日本語
出品料:1品当たり8,000円
結果発表:11月下旬頃

審査は、「香味」「水色」を総合的に判断するようです。
大賞を決める最終審査は、消費者の投票によるところが特徴かと思います。

2021年度は、503点の出品中、72点が受賞しているようです。

公式サイトはこちら

末吉製茶工房の受賞茶はこちら



いかがだったでしょうか?
さらさらと概要だけを書くつもりが、意外と文章量が多くなってしまいました。

冒頭でも書きましたが、ここに書かれている情報は、記事作成時点のものですので、詳細は公式サイトや事務局にて直接ご確認ください。


最近はだんだんと暖かくなり、うちのお茶畑でも新芽が芽吹き始めました^^
皆さんに美味しいと感じてもらえるような、喜んでもらえるようなお茶をお届けできるように、より一層、丁寧にお茶作りに取り組んでいきます。

それでは、また次の記事でお会いしましょう!

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