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【美術館の名作椅子#18】NTTインターコミュニケーションセンター

NTTインターコミュニケーションセンター

設計:柳澤 孝彦(東京オペラシティ)
開館:1997年




・FELIX Sofa

デザイナー:Burkhard Vogtherr
発表:1985年
メーカー:arflex
価格:現在廃番

入ってすぐのエントランスに並ぶソファ群。
独立した4本の支柱には高さを調節する機能があり、2cm刻みで6段階に調節することができる。
建築的な構造で剥き出しの柱がポンピドゥーセンターのようだ。
だが、高さを調節できるソファというアイデアは斬新ではあるが、一度決めたらそれ以降そんなに高さを変えることは無いような気もする。
そう思うと無駄な機能と言えば無駄な機能かも。
機能的な意味合いよりも意匠的な意味合いの方が強いのかもしれない。



・BENCH

デザイナー:ジャスパー・モリソン
発表:1992年
メーカー:Vitra
価格:現在廃番

シンプルな中に柔らかい曲線美を感じさせるデザインがまさにジャスパー・モリソン。
主張しないデザインなので場に馴染み、薄いので省スペースにもなる。
ゆっくりと休憩をするためのベンチというより、短時間腰掛けるという目的が形状に表れている。
21_21 DESIGN SIGHTなどにも置かれている。



・KUF Chair

デザイナー:植木 莞爾
発表:1990年代
メーカー:arflex
価格:現在廃番

日本人植木莞爾のデザイン。
植木氏はMoMAのインテリアデザインに関わったり、アメリカのApple Store1号店のデザインやアートディレクションを行ったりした人物。
一見なんの変哲もないデザインの椅子にも見えるが、よく見ると細部の角度や曲線にしっかりとこだわりを感じるのが名作椅子たる所以か。



・R-L Chair

デザイナー:Ross Lovegrove
発表:1998年
メーカー:driade
価格:現在廃番

ジョージ・ネルソンのDAF Chairにインスパイアされたとも言われる椅子。

確かに形状はかなり意識しているのが窺える。
あまりに似すぎてインスパイアというかパク…いやなんでもない。
スケルトン素材が同年に発表された初代iMacともなんとなく似た雰囲気を感じるのは時代の空気感か、はたまたパク…いやなんでもない。



・AIR Chair

デザイナー:ジャスパー・モリソン
発表:1999年
メーカー:MAGIS
価格:¥33,000(2024年9月現在)

世界で初めてエアモールド成型で作られた椅子。
シンプルな中に柔らかい曲線美を感じさせるデザインはやはりジャスパー・モリソンのなせる技か。



・まとめ

ICCで用いられている椅子は館の歴史とともに同時代に発表されてきたモデルたちで彩られているのだが、残念ながら現在廃番になってしまっているものも多い。
それらはいずれも名作椅子だとは思うのだが、メーカー側もよほどの理由がない限り商業的に売れないモデルを作り続けるのはやはり難しいのだろう。
それでも名作椅子の歴史の中では廃番になりつつも後年新たな価値付けがなされてプレミア化しているモデルも多数ある。
はたしてICC所蔵の名作椅子たちはどのような運命を辿るだろうか。



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