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●美術館の名作椅子#02●東京国立近代美術館

東京国立近代美術館

設計:谷口 吉郎
開館:1952年




・Cab 413 Chair

デザイナー:マリオ・ベリーニ
発表:1977年
メーカー:Cassina
価格:¥418,000
(2024年現在)

アームなしの412とともにMoMAにも収蔵されている名作椅子
東近美では各所に大量に採用されている。

我が家のダイニングではこのCab413とアーム無しの412を愛用している。
美しさ、佇まい、座り心地、机との相性など全てお気に入りの逸品
我が家のものはCab35周年記念の2012年限定シボ革仕様。

我が家の《Cab_cチェア》

この革は汚れや傷に強いのでデイリーユースにとても良いが、ノーマルタイプに比べ柔らかく若干伸びやすいのが玉に瑕。

テーブル


この場所には圧巻の15連。ここだけで計6,270,000円!

Cab 413と共に置かれたスツール。
アアルトの名作《スツール60》かと思いきやコピー品だった。
ここはオリジナルにこだわってほしい。



・AIR FRAME 30014 Bench

デザイナー:デヴィッド・チッパーフィールド
発表:1992年
メーカー:ixc.
価格:¥300,000前後
(張地により変動)(2024年現在)

名作AIR FRAMEファミリー《3001》シリーズのベンチモデル《30014》。
シンプルで主張せずに場に馴染むので、多くの美術館・博物館で用いられている
東京藝術大学大学美術館神奈川県立近代美術館葉山館東京都写真美術館などにも置かれている。
張地によって価格が大きく変わるがここのは安価な合成皮革が用いられていた。
本革に比べ質感は圧倒的に劣るが、不特定多数が雑多に座る公共空間では合成皮革の方がメンテナンス性は高いかもしれない。



・バタフライスツール

デザイナー:柳 宗理
発表:1956年
メーカー:天童木工
価格:¥57,200
(2024年現在)

ジャパンデザインのアイコン的存在
世界の名だたる美術館にコレクションされている。
座り心地や強度に関してはそれほど優れているわけではないが、モノとしてのシンプルな存在感は唯我独尊
我が家にも一脚あり。

我が家の《バタフライスツール》



・スツール S-3010, 3030

デザイナー:剣持 勇
発表:1960年
メーカー:ワイ・エム・ケー長岡
S-3010:¥67,100
S-3030:¥63,800
(共に2024年現在)

長岡の籐家具メーカーが作る日本の伝統工芸的スツール
日本作品のブースの雰囲気にとても合う。
散らして不規則に配置しているのも心地良い。



・ANT Chair

デザイナー:アルネ・ヤコブセン
発表:1952年
メーカー:FRITZ HANSEN
価格:(ラッカー仕上げ)¥56,980
(2024年現在)

別名アリンコチェア
この椅子も国立新美術館をはじめ多くの美術館で用いられている。
ここでは監視員用の椅子として使われている。
いくつもの仕様があるがこれは比較的安価なラッカー仕上げと思われる。



・Side Chair

デザイナー:ハリー・ベルトイア
発表:1952年
メーカー:Knoll
価格:¥194,700
(2024年現在)

「眺めのよい部屋」に多数置かれる名作椅子。
ほぼ同時期のイームズにもワイヤーチェアがあるが、それとはまた違う雰囲気。
床のカーペットの色合いと共に醸し出すミッドセンチュリー感が近代美術館の雰囲気に合っている。



・ヒモイス

デザイナー:渡辺 力
発表:1952年
メーカー:オリジナル・横山工業

「眺めのよい部屋」の奥に置かれたヒモイス。
オリジナルは戦後物資が少なかった時代にローコストでの量産を目指して作られた。
2013年にシリアルナンバープレートをつけて「ロープチェア」として101脚のみ限定復刻された。

座面横紐本数がオリジナルは5本、復刻版は8本。
座面縦紐本数がオリジナルは13本、復刻版は15本。
ということで、近代美術館のものは復刻版なのだが、101脚しかないとのことなのでいずれにせよ貴重品であることには変わりない。
なお、現在は入手できない。



・USM Haller

《USM Haller》キャビネット&デスク

デザイナー:フリッツ・ハラー
発表:1965年
メーカー:USM

手前4つのボックスの組み合わせで約¥300,000(2004年現在)

名作中の名作。
何種類もある長さのパイプやパネルを用いて自由に形を組み替えられる。
公共機関やオフィス、ショップ、個人宅等、様々な場所で使用されている。
「●#01●国立西洋美術館」でも触れたが我が家でも複数愛用中。

USM Hallerは組み立て分解がたまらなく楽しい
メーカーは推奨していないが、必要な用具一式はホームセンターで揃えられ、慣れればさまざまなアレンジをすることができる。
組み立てる度に新たな発見がありその設計思想に感動する。
まさに大人のレゴ

デスクもUSM。
椅子は裏面のシールを見たらVitra製だったがモデル名は不明。
スタッキング機能を有するようだ。



・リキ ベンチ

デザイナー:渡辺 力
発表:1960年
メーカー:オリジナル・天童木工
カンディハウス製:¥372,900
(2024年現在)

無垢材の重厚感あるベンチ。
このベンチ、以前は室内で用いられていたかと思うのだが、写真の品は屋外に吹きっさらしで置いてある。
何やら貼ってあるので見てみると、

…とのこと。
今後修理するのか廃棄になるのか。
個人的には丁寧にメンテナンスをすればまだまだ使えそうな気もするのだが。
オリジナルは天童木工製だが現在はカンディハウスから販売されている。
東近美のものはどちらかわからなかったが年季の入り具合からすると天童木工製だろうか。



・まとめ

Cab413チェアが印象的な東京国立近代美術館。
各国の名作椅子をバランスよく採用しながらも、渡辺力、剣持勇、柳宗理など、ジャパニーズ・モダンの礎を創った巨匠たちの作品をしっかり押さえているところはさすが東近美。
建物と共に名作椅子たちも年数を重ねて味が出てきており、中には交換のタイミングを迎えているものもありそうだ。
ミッドセンチュリーの雰囲気漂うこの美術館にはやはりミッドセンチュリー期のデザインが合うと思うので什器や照明も含めて引き続き選定にはこだわってほしい。



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